【8002】丸紅(東証一部) OP
現在値 815円/100株 PER5.9 PBR0.73 3月配当 9月配当 株主優待なし
芙蓉グループの総合商社大手。穀物・発電で商社首位。プラントや輸送機、農業化学品に強み。
今期予想配当金は年2回・合計35円のため、配当利回りは約4.29%となります。
丸紅は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2016年3月期 営業収益 73,000億円、最終利益 624億円 EPS 35.9円
■2017年3月期 営業収益 71,288億円、最終利益 1,553億円 EPS 88.1円
■2018年3月期 営業収益 75,403億円、最終利益 2,111億円 EPS 119.4円
■2019年3月期 営業収益 74,012億円、最終利益 2,308億円 EPS 130.7円
■2020年3月期 営業収益 予想非開示、最終利益 2,400億円 EPS 135.9円 ce
■2020年3月期 営業収益 75,356億円、最終利益 2,314億円 EPS 132.3円 con
□2019年9月2Q 営業収益 36,510億円、最終利益 1,117億円 EPS 63.2円(11/5)
2019年9月中間期の営業収益は前年同期比10.9%減の3兆6510億円、最終利益は同26.4%減の1,117億円となり、期初予想との比較はないものの概ねコンセンサス水準で着地したものとみられます。メキシコ湾石油事業減損や米ガビロン不適切会計の過年度修正分など正味▲110億円程の減損を計上したほか、前年上期に計上した国内発電事業の売却益剥落などを考慮し、これら一過性損益▲320億円を控除した実態ベースの最終利益は▲80億円程と実質的にも減益となりました。豪ロイヒルが鉄鉱石価格上昇で大きく増益を確保して全社業績を引き上げた一方、電力事業は前期売却によるフロー収入が剥落したほか、パルプ事業は市況下落、ガビロンについては天候不順や米中貿易摩擦の影響を受けており、いわゆる非資源分野の落ち込みを鉄鋼石価格の値上がりによる資源分野で下支えした格好となり、数字の見栄えはともかく実態はさえない内容となりました。
なお2020年3月期通期の予算については、営業収益の開示はないものの、最終利益は前期比3.9%増の2,400億円の期初予想を据え置いております。但しその構成比を変更しており、市況および上期実績を鑑み、鉄鉱石やLNGなどの資源分野で110億円上乗せしているものの、パルプやガビロン等の非資源事業を▲90億円減額しており、入れ繰りがあります。懸念のガビロンについては、米ヘレナのアグリ本部長の下にガビロンを集約といった組織変更でテコ入れしているものの、今期は天候不順によりトウモロコシの作付けが遅れていることもあり、下期偏重型のため今期も苦しい展開になる見通しです。そのため、通期見通しについても、このガビロン及び化学品の低迷を鉄鉱石価格が引き続き堅調なロイヒルで埋める組み立てとなりますが、予算はやや過大な印象であり、実際に最終利益のコンセンサス水準も会社予想より100億円近く下で推移しています。
当社は2022年3月期を最終年度とする3年中計「GC2021」において、最終利益3,000億円を目標に据えているほか、財務的な目標としてネットD/E0.8倍を設定しています。具体的には3年間累計で9,000億円(CAPEX込)を投資実行する計画であり、既存事業維持/強化に各2,000億円・5,000億円、新規事業分野に2,000億円を投じる方針です。計画初年度は上期で1,000億円程投じているほか、今期末から来期初にかけて米航空機リース会社であるAircastle社(後述)の株主追加取得を実行する予定のため、中計に対する投資計画は概ねインラインとみられます。
当社は2013年より資本参加(持分28.8%)しているAircastle社の株式追加取得をリリースしており、みずほリースとのJVで完全所有となる見通しです。当社は今般1,200億円を投じ、直接・間接併せた持分は75%となるため、ほぼフル寄与する翌2021年3月期には60億円+の利益寄与が見込まれます。Aircastle社はNYSE上場企業であり、本来的には100%持分ベースで150億円~200億円のポテンシャルを有する相応規模の会社のようですが、過去の業績トラックにはブレがあるほか、会社側も保有機体数を増やして急拡大するような意図がないとみられることから、航空機リース市場(5%~6%)の伸び程度に留まる可能性が高そうです。そのため、本中計目標達成のためにはAircastle社だけでは足りず、これ以外にもう一発大型案件が欲しいというのが素直な印象です。
株主還元については、本中計期間中の配当性向を25%、必要に応じて自社株買いという2軸で実行する方針としており、今期の配当は前期比1円増の年35円配を予想しています。一応、期初の配当予想を下回らないことをコミットしてはいるものの、他商社とは異なり累進配当は特にコミットしていないため、期初予算から減益ガイダンスとなった場合は減配する可能性がある点には留意が必要です。当社は中計にも財務良化目標を挙げているとおり、財務面では他社より見劣りするため、この辺については仕方ないのかな、という感じもします。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。 |