【8410】セブン銀行/第4世代ATM置換えで当面はマイナス成長想定も、年11円配を堅持か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8410】セブン銀行(東証一部) BY

現在値 224円/100株  P/E11.4  P/B1.16  3月配当 9月配当 株主優待無し

提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も.。

 

配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約4.91%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 経常収益 1,216億円、経常利益 367億円 EPS 21.1円 

■2018年3月期 経常収益 1,276億円、経常利益 383億円 EPS 21.2円 

■2019年3月期 経常収益 1,472億円、経常利益 407億円 EPS 11.1円 

■2020年3月期 経常収益 1,485億円、経常利益 398億円 EPS 22.1円 

■2021年3月期 経常収益 1,342億円、経常利益 328億円 EPS 19.5円 ce
□2020年9月中
 経常収益 683億円、経常利益 187億円 EPS 12.0円(11/6) 

2020年9月中間期の経常収益は前年同期比8.3%減の683億円、経常利益は同6.7%減の187億円となり、減収減益となったものの、1Q開示の中間見通し対比では上振れました。新型肺炎の本格化を受け、3月までは前年同月比101.2%水準を確保していたATMの利用件数は、緊急事態宣言下の4月は同91.5%、5月は同93.2%と大きく減少し、6月こそ前年水準を回復したものの、その後は前年を割り込んで推移しました。また利用ミックスも変化しており、手数料単価の低い“〇〇Pay”のようなチャージ利用が増加したことに由り、受入単価が同9.4円減の124.4円に下落したほか、新型の第4世代(4G)ATMの設置工事費用の増加、DCの並行運用による費用増も嵩み、海外子会社による穴埋めはあったもののの、減収減益に沈んでいます。

 

2021年3月期の通期見通しについては、経常収益は前期比9.6%減の1,342億円、経常利益は同17.6%減の328億円を予想しています。期を通して新型肺炎禍による利用件数減が見込まれるほか、“〇〇Pay”のチャージ利用の構成比増加や、手数料単価の高い消費者金融や手数料改定にともなうメガバンク利用減少など利用ミックスが悪化するため、件数・単価の両方で低調な推移が予想されます。既に12月まで開示されているATMの月次利用状況によれば、足許12月は98件/台/日と堅調に推移しているものの、年明け以降は昨年の“〇〇Pay”のチャージキャンペーンの剥落影響を受けるため、見栄えのしないものとなる可能性がありますが、4G_ATM設置遅延といった費用減材料も残っているため、大幅な減益を見込む予算はやや保守的な印象もあります。

 

終わった2020年3月期が3年中計の最終年度であり、計画上は経常収益+400億円、経常利益+80億円の積上げを目指していましたが、実績は経常収益+269億円、経常利益+31億円と大幅な未達となりました。具体的な取組方針としては、①チャージ利用等のニーズ変化への対応、②4G_ATM開発、③関連会社による業容拡大、といった3点を掲げていましたが、これら施策自体は概ね成就したものの、主としてセブン・イレブンの出店計画の見直しによる新設台数の伸び悩みが響いて目標未達となった格好です。

 

現状、新型肺炎禍で親のセブン&アイHD(3382)も今次中計の開示を見送っていることから、当社も同様にインターバルを置く格好となっていますが、同社が次回本決算時での中計開示する旨を3Qに公表しているため、当社の新中計公表は来年5月頃になると推察されます。今後発表される新中計では、マイナンバー対応の新型4G_ATM置き換わりによるKYC(本人確認)領域の進展や、口座開設等の金融機関のBPO拡大などの施策が織り込まれるとみられますが、多機能搭載の4G_ATMの減価償却費用負担が非常に重く、年間▲30億円~▲50億円のコスト増が予想されるため、今後数年間は2桁幅の減益基調(マイナス成長)が続くものとみられます。

 

そのため業績成長は期待しずらいものの、株主還元については「配当性向40%」水準を堅持しつつ、「安定的かつ継続的な」配当を実施するという基本ポリシーを変えていないことから、中期的には業績悪化が想定されるものの、年11円の配当は当分据え置かれるものと考えています。また、その他の投資論点として、イオン同様にセブン&アイHDとの親子上場が続いていることから、ガバナンス改善の観点から資本関係の整理がなされる可能性があろうかと考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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