【8410】セブン銀行/新型ATM置換えで減価償却費増大も、非現金支出で高配当維持の公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8410】セブン銀行(東証一部) BY

現在値 241円/100株  P/E 14.3 P/B 1.21 3月配当 9月配当 株主優待無し

提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も.。

 

配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約4.56%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 経常収益 1,276億円、経常利益 383億円 EPS 21.2円 

■2019年3月期 経常収益 1,472億円、経常利益 407億円 EPS 11.1円 

■2020年3月期 経常収益 1,485億円、経常利益 398億円 EPS 22.1円 

■2021年3月期 経常収益 1,372億円、経常利益 356億円 EPS 22.0円 

■2022年3月期 経常収益 1,376億円、経常利益 283億円 EPS 16.7円 ce
□2021年9月中 経常収益 666億円、経常利益 127億円 EPS 7.5円 ce 

2021年3月期の経常収益は前年同期比7.5%減の1,372億円、経常利益は同10.5%減の356億円となり、減収減益となったものの見通し比ではやや上振れしました。新型肺炎の本格化による外出機会の減少により、1QのATMの利用件数は前年同期比90%台前半にまで落ち込み、期末にかけてやや持ち直したものの、通期での利用件数/1日は1.7%減の90.5件となりました。また、手数料単価の低い“〇〇Pay”のようなチャージ利用増加によるミックス悪化により、受入単価が同9.5円減の121.4円に下落したほか、新型の第4世代(4G)ATMの設置工事費用の増加、DCの並行運用による費用増も嵩み、堅調な海外子会社による穴埋めはあったもののの、減収減益に沈んでいます。

 

2022年3月期の通期見通しについては、経常収益は0.2%増の1,376億円、経常利益は同20.5%減の283億円を予想しています。“〇〇Pay”のチャージ利用の増加や、高単価の消費者金融や手数料改定にともなうメガバンク利用の減少にともなうミックス悪化が予想され、受入単価は121.4円→110.9円まで大幅減となる想定です。他方、利用件数/1日については低単価のチャージ利用増加により90.5件→95.5件まで増加する前提ですが、単価減を利用件数で埋めきれないとみられます。なお、利益の大幅減は4G_ATM設置推進による償却負担増が一因であり、期末時点の稼働台数については約2%増(純増550台増)となる26,226台を見込んでいます。

 

当社は今般、2026年3月期を最終年度とする新中計を公表しており、向こう5年間で経常収益+330億円、経常利益は▲10億円と大幅な増収を見込む一方で、利益は横ばいどころかマイナス成長で計画しており、あくまで規模拡大を優先する方針となっています。具体的な取組方針としては、①ATMビジネスの機能拡張、②海外展開、③700億円規模の成長領域投資を軸としていますが、リプレイス中の4G_ATMの減価償却費負担の累計増が非常に重く、年間▲30億円~▲50億円ものコスト増が予想され、ATM新設による増収ではカバーしきれない見通しです。

 

なお①のATM機能拡張については、マイナンバー対応の新型4G_ATM置き換わりによるKYC(本人確認)領域の進展や、口座開設等の金融機関のBPO拡大等の多角化で収益基盤の拡大を図るとともに、②の海外展開については、全米で9,300台程を展開する米国子会社のFCTIにくわえ、フィリピン・インドネシアでの台数拡大により成長を目指す方針です。③の700億円の投資については、主として①の多角化に300~400億円を割り振るほか、海外のATM増設に200億円、その他CXや組織変革に100億円を投じ、投資総額ベースでは過去5年より500億円積みまし、1,500億円規模の積極的な投資を実行していく計画です。

 

そのため業績成長は期待しずらいものの、株主還元については「配当性向40%」水準を堅持しつつ、「安定的かつ継続的な」配当を実施するという基本ポリシーを変えていないほか、当面の業績低迷については、専ら減価償却費の増大による非現金支出が原因のため、(増配こそ期待できないものの、)年11円の配当は当分据え置かれるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-01-22 224円 BY

【8410】セブン銀行/第4世代ATM置換えで当面はマイナス成長想定も、年11円配を堅持か。

 

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