【7192】日本モーゲージサービス(東証プライム) NT
現在値 572円/100株 P/E 11.0 P/B 1.13 3月配当 株主優待あり
固定金利住宅ローン「フラット35」貸付が主力。子会社で住宅瑕疵保険、経営支援も。
配当金は3月一括の20円配当のため、配当利回りは3.50%となります。
日本モーゲージサービスは株主優待制度を導入しており、3単元を保有する3月末株主(1年継続保有)に対して、3,000円分のクオカードと4,5000円のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.86%となります。また、3年以上の保有で9,000円分のカタログギフトを追加進呈しているほか、5年以上の保有で9,000円分のカタログギフトと更に1,000円分のクオカードを追加進呈しているため、この場合の配当優待利回りはそれぞれ約10.4%、約11.0%となります(全て3単元保有時の利回りを記載)。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 売上高 71.2億円、営業利益 14.2億円 EPS 65.8円
■2022年3月期 売上高 76.8億円、営業利益 16.6億円 EPS 76.9円
■2023年3月期 売上高 73.2億円、営業利益 14.7億円 EPS 68.1円
■2024年3月期 売上高 71.0億円、営業利益 12.0億円 EPS 51.7円 ce
□2023年6月1Q 売上高 17.3億円、営業利益 3.5億円 EPS 17.1円(8/4)
□2023年9月2Q 売上高 34.5億円、営業利益 6.6億円 EPS 31.3円 ce
2023年3月期の売上高はYoY▲4.7%の73.2億円、営業利益はYoY▲13.3%の14.7億円となり、対前・対計画で減収減益となりました。主力の住宅金融事業については、持家の新設着工戸数が低調だったほか、住宅価格高騰による在庫増や変動金利選好の流れで、フラット35市場が縮小した影響を受けました。他方、住宅瑕疵保険事業については、時限措置ながら政府の住宅取得支援策が下支えとなったほか、省エネ評価ニーズ増で取扱件数は微減で留まったものの、同様に減収減益となりました。なお出退店については、出店8・閉店2の純増6となり、期末51店体制となりました。
進行期である2024年3月期の予算については、売上高がYoY▲3.1%の71.0億円、営業利益はYoY▲18.4%の12.0億円と減収減益を予想しています。柱の住宅金融事業は、新設着工戸数の漸減基調や住宅価格の高止まり、目下の金利動向から当社が得意先とする中小住宅事業者の事業環境は一段の悪化が見込まれるほか、連れて住宅瑕疵保険事業も軟化します。なお、8月4日開示済の1Qで減収減益で進捗しているものの、終わった期が上場来初めての計画割れとなったことから、保守的な通期予想となっており、計画線の進捗と解されます。
当社はこれまで3年中計をローリング方式で公表しており、1年前公表の従前計画では翌2025年3月期までの3ヵ年で売上高76.8億円→90億円、営業利益16.9億円→20億円を目指す計画としていましたが、今次公表を見送っています。総額22兆円の住宅ローン市場自体は成長しており、フラット35を含むモーゲージはうち1割、当社シェアはうち4~5%のため拡大余地があるものの、足許の急激な金利動向から変動金利とのスプレッドが拡大(135~150bps.)しており、急激に苦戦を強いられています。
住宅金融事業の店舗網は51店まで拡大しているものの、238店(FC込)を展開する最大手のアルヒ(7198;旧SBIモーゲージ)との差が詰まっていない状況です。また、当社が特に厚い顧客基盤を持つ中小工務店の戸建て顧客層において、住宅価格高騰による取得見送りと賃貸選好傾向、金利負担を嫌気した変動金利への移行が顕著になっています。そのため、“助っ人クラウド”という工務店支援サービスの無償利用促進による囲い込みや、相対的に割安な中古住宅の拡大等により当面はシェアを守る“守り”の取組に注力します。
財務面については、クラウドシステム拡充を主目的に2020年にMSワラントを20億円分(下限@885円)を発行し、うち一部を調達したことから、自己資本比率は31.5%と一定水準を維持しています。株主還元に関しては、次回進呈を以って株主優待制度を廃止する一方、配当は据置の年20円(配当性向38.6%)を予定しています。
*参考記事① 2022-09-14 907円 OP
【7192】日本モーゲージサービス/ 主要顧客の中小工務店が苦しく、中計はまた後ろ倒し。
*参考記事② 2021-07-08 1,002円 OP
【7192】日本モーゲージサービス/木材価格高騰や競合激化もあり、中計達成時期を1年先送り。
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