【7192】日本モーゲージサービス(東証プライム) OP
現在値 907円/100株 P/E 12.8 P/B 1.96 3月配当 株主優待あり
固定金利住宅ローン「フラット35」貸付が主力。子会社で住宅瑕疵保険、経営支援も。
配当金は3月一括の20円配当のため、配当利回りは2.21%となります。
日本モーゲージサービスは株主優待制度を導入しており、3単元を保有する3月末株主(1年継続保有)に対して、3,000円分のクオカードと4,5000円のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.96%となります。また、3年以上の保有で9,000円分のカタログギフトを追加進呈しているほか、5年以上の保有で9,000円分のカタログギフトと更に1,000円分のクオカードを追加進呈しているため、この場合の配当優待利回りはそれぞれ約6.61%、約6.98%となります(全て3単元保有時の利回りを記載)。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 71.1億円、営業利益 14.8億円 EPS 72.1円
■2021年3月期 売上高 71.2億円、営業利益 14.2億円 EPS 65.8円
■2022年3月期 売上高 76.8億円、営業利益 16.6億円 EPS 76.9円
■2023年3月期 売上高 75.0億円、営業利益 15.0億円 EPS 70.5円 ce
□2022年6月1Q 売上高 18.4億円、営業利益 4.1億円 EPS 20.5円(8/5)
□2022年9月2Q 売上高 36.2億円、営業利益 7.3億円 EPS 34.2円 ce
2022年3月期の売上高はYoY+7.9%の76.8億円、営業利益はYoY19.9%の16.9億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。主力の住宅金融事業については、通常のフラット35が住宅ローン業界の手数料競争激化で苦戦したものの、独自のミックス商品やつなぎ商品といったプロパーローンが大きく伸長しました。他方、全国の新築着工件数の多寡が影響する住宅瑕疵保険事業については、クラウド連携の奏功のほか、グリーン住宅ポイント優遇制度による押し上げにより好伸しました。出退店については、出店12・閉店4の純増8となり、期末46店体制となりました。
進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY▲2.5%の75.0億円、営業利益はYoY▲11.5%増の15.0億円と減収減益予想となりました。住宅金融事業については、柱の注文住宅が住宅原材料の供給制約や価格高騰による影響を受けるほか、フラット35の手数料競争の激化により、店舗数増も反落を見込みます。他方、“助っ人クラウド”とのシナジー本格発現が見込まれる住宅瑕疵保険事業、住宅アカデメイア事業ともに2桁増を見込みます。なお、8月5日開示済の1Qは増収増益で進捗しているほか、例年当社予算はコンサバ想定のため、予算に拘わらず、悪くても横ばい程度で仕上がるものとみられます。
当社は3年中計をローリング形式で公表しており、最終年度の2025年3月期までの3ヵ年で売上高76.8億円→90億円、営業利益16.9億円→20億円を目指すこととしていますが、
1年前の前回公表時と同値であるため、今回も事実上の“下方修正”となっています。総額22兆円ともされる住宅ローン市場は今なお成長を続けており、フラット35を含むモーゲージはうち1割、そのうち当社シェアは4~5%に過ぎないものの、価格高騰により市況悪化の兆しがみられるほか、競争激化により成長可視性が揺らいでいます。
住宅金融事業の展開店舗数は直近で46店まで増加しているものの、152店を展開する最大手のアルヒ(7198;旧SBIモーゲージ)との差が詰まっていない状況です。また、当社が特に厚い顧客基盤を持つ中小工務店が、仕入のスケールメリットを生かせる大手ハウスメーカーよりも原材料価格の高騰影響をより直接的に受けていることも割引要素です。そのため、日本で5社のみ認定されている新築住宅瑕疵保険を足掛かりに、住設機器メンテナンスや保証のアカデメイアをクロスセルさせる目論見が、土台の受注減でワークしない可能性が想定されます。
他方で財務面については、クラウドシステム拡充を主目的に2020年にMSワラントを20億円分(最大希薄化11.2%、下限@885円)を発行しており、転換の進捗により約5億円(@1,070円)の調達を済ませていますが、行使期間がこの9月末に迫っているため、僅か4分の1程度で打ち止めとなる公算です。株主還元に関しては、据置となる年20円(配当性向28.4%)を予定していますが、
*参考記事① 2021-07-08 1,002円 OP
【7192】日本モーゲージサービス/木材価格高騰や競合激化もあり、中計達成時期を1年先送り。
*参考記事② 2020-09-07 1,281円*分割修正済 OP
【7192】日本モーゲージサービス/増配公表後のMSワラント発行は消化難、「とりあえず」増資か。
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