【3612】ワールド/既存店化回復・構造改革ともに想定超で、当面は強含みが見込まれよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3612】ワールド(東証プライム) OP

現在値 1,661円/100株 P/E 9.7  P/B 0.67 3月配当優待 9月配当優待

総合アパレル大手。SCから百貨店まで展開。構造改革進め18年再上場。MA積極化。
配当金は年2回・計51円のため、配当利回りは約3.07%となります。

ワールドは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で半年以上保有を継続する単元株主に対して、1,500円分の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.87%となります(なお3単元保有時は優待が5,000円分となるため、利回りが表記よりも上昇します)。


業績を確認していきます。進行期は11ヵ月変則決算となります。

■2021年3月期 売上高 1,803億円、営業利益▲216億円 EPS▲511円

■2022年3月期 売上高 1,713億円、営業利益 21.9億円 EPS▲7.7円  

■2023年3月期 売上高 2,142億円、営業利益 116.8億円 EPS 152.7円 

■2024年2月期 売上高 2,001億円、営業利益 110.0億円 EPS 155.9円 ce変則11m
★2024年3月期 売上高 2,206億円、営業利益 131.4億円 EPS 165円 ce参考12m

□2023年6月1Q 売上高 534億円、営業利益 57.1億円 EPS 95.0円(8/3)

□2023年9月2Q 売上高 1,025億円、営業利益 51.0億円 EPS 79.4円 ce 


2023年3月期の売上高はYoY+25.0%の2,142億円、営業利益はYoY*5.3倍の116.8億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。主力のブランド事業はアパレルを中心に鋭く回復し、SC向けML(SHOO・LA・RUE、THE SHOP TK等)が急速に持ち直したほか、百貨店向けMU業態(UNTITLED、INDIVI等)も引き続き堅調に推移し、予算前提の平時比SSS80%に対して、82.5%と過達となりました。利益面についても、百貨店割合増によるミックス改善や、定価販売の推進、在庫サイクルの高速化で収益性が一段と回復しました。また、ECモール及びサイト構築・運用のデジタル事業も二次流通(RAGTAG)の回復と外販強化で黒字転換した一方、生産・サプライチェーン・販売代行のプラットフォーム(PF)事業は外注費や為替影響で減収減益となりました。

 

進行中の2024年2月期は11ヵ月変則決算入りするため参考開示となるものの、12ヵ月換算した実勢ベースの予算は、売上高がYoY+3%の2,206億円、営業利益はYoY+11%の131.4億円を見込んでいます。出退店(12ヵ月)は純減▲4店を計画する一方で、予算前提の平時比SSSは82.5%→86.4%と一段の回復を見込み、ブランド事業は最高益更新を目指します。なお、8月3日に既開示の1Q決算では売上高534億円&営業益57.1億円と高進捗が確認されるほか、4ヶ月分が既開示の平時比SSSも9割前後で推移しており、報酬改善による人件費増をこなして、実質増収・増益を確保する見通しです。

 

当社はこの2024年3月期までの5年間を“構造改革期間”として位置づけ、計数目標こそ持たないものの、2019年・2020年の相次ぐ大規模リストラで「3can4on」「aquagirl」「OZOC」など10ブランド超の撤退と他社移管、400人超の人員削減を実施し、年間100億円程の損益改善を果たしました。そのため、今回1年前倒しでロールしており、2026年2月期までの3年間で売上高を2,142億円→2,548億円、(コア)営業利益を135億円→190億円に引き上げる計数目標を掲げ直しています。

 

今次中計での取組事項については、主力のブランド事業は①ブランド拡充、②マルチチャネル出店、③ブランド改廃の3軸を挙げています。①は有力セレクトショップのストラスブルゴ買収にくわえ、未開拓だったロードサイド&低価格業界業態を開発します。②は百貨店向けの「UNTITLED、INDIVI」等を駅ビル・FBから、越谷レイクタウンのような超広域SCへ出店レンジを拡大するほか、逆に郊外型廉価業態の「Shoo La Rue」等の都心部展開を進めます。

 

また、追加的に33億円を投じて子会社化したナルミヤ・インターナショナル(9275)については、本年4月には日本産業パートナーズほか3本のファンドから更に追加で6%分(推定6億円)を取得して、約58%持分まで買い増しています。ナルミヤは元来当社が得意とするような百貨店向けのハイエンド品が好調に推移しているほか、SC向けの「プティマイン」「ラブトキシック」も順調に伸長しており、更なる貢献が見込まれます。

 

財務については、2018年の再上場時に公募と自社株売却で約400億円(@2,900円)を調達して優先株償還をするなどしたものの、新型肺炎禍後に調達した150億円の永久劣後ローンも全額資本認定されていることから、自己資本比率は34.8%をキープしています。なお今次中計期間も配当性向30%基準を据え置いており、年3円増配となる年51円配を見込んでいます。


*参考記事① 2023-02-07 1,345円 OP

【3612】ワールド/百貨店中心に既存店回復顕著で3Q時点で超過達成、期末で増配か。

 

*参考記事② 2022-08-31 1,359円 OP

【3612】ワールド/好調な百貨店向け中心に正価販売進む、買収したナルミヤも通期寄与。 

 

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