【3741】セック/クロスリアリティ(xR)中心に受注残豊富、1Qから好発進で強含みの状況。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3741】セック (東証プライム)  OP


現在値 3,260円/100株  P/E 18.5  P/B 2.23 3月配当 株主優待なし

リアルタイムソフト技術に強み、モバイル端末向けや防衛・ロボットも。

 

配当金は3月一括の年71円配当のため、配当利回りは2.18%となります。

なお、セックは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 65.2億円、営業利益 10.1億円 EPS 142.3円 

■2022年3月期 売上高 65.6億円、営業利益 10.6億円 EPS 152.6円 

■2023年3月期 売上高 74.8億円、営業利益 12.1億円 EPS 172.4円 

■2024年3月期 売上高 77.5億円、営業利益 12.3億円 EPS 175.6円 ce

□2023年6月1Q 売上高 18.2億円、営業利益 2.5億円 EPS 37.6円(8/10) 
□2023年9月2Q 売上高 35.0億円、営業利益 4.6億円 EPS 66.7円 ce 

2023年3月期の売上高はYoY+14.2%の74.8億円、営業利益はYoY+14.4%の12.1億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。ネット領域で民間大型案件の剥落があったものの、移動通信領域のクロスリアリティ(xR)案件やスマート建設が好伸したほか、宇宙先端領域のサービスロボットの需要が増加しました。また、社会基盤領域の官公庁向けも堅調に推移し、期末4Q時点の受注高は過去四半期で最高となりました。利益面についても、トップライン伸長で外注費と広告宣伝費の大幅増を飲み込み、2桁増益を確保しています。


進行期である2024年3月期の予算は、売上高がYoY+3.5%の77.5億円、営業利益はYoY+1.2%の12.7億円を予想しています。前提となる期末受注残高はYoY+17.7%の37.6億円と高水準を確保しており、宇宙先端領域はほぼ横ばい想定とするものの、特に移動通信領域のxR案件・スマート建設の旺盛な需要が見込まれるほか、社会基盤領域の官公庁向けの堅調推移が予想されます。他方、利益面についてはR&Dの推進や、社員数増加と待遇改善を織り込み微増益を見込みます。なお8月10日開示済の1Qは売上高18.2億円&営業益2.5億円と強含みで推移しており、通期増額に期待がかかります。


当社は中期計画を対外公表していないものの、売上構成比3割程で官公庁など需要が安定的な社会基盤領域でベースを固めつつ、他の先進的領域(宇宙関連・自動運転・ロボット等)の拡大で成長を志向しています。現状は受託開発型ビジネスモデルのため、要員数と売上はほぼ比例関係にあるものの、会社側では“ソリューション”と呼ぶ自社開発製品を拡充していく方向性であり、これにより採算性の向上も図ります。

 

ロボット事業は以下の3軸①ロボットSIer(ロボットOSやロボットミドルウェアといった標準化技術)、②製品適用(自律移動ソフト、可視化ソフト)、③高付加価値化(エンジ、AI、MR、画像認識)で推進しています。①のROSやRTMは従来より取り組んできた領域ですが、②の代表製品である屋内自律ロボット用ソフトの「Rtino」を切り口に、ロボットの“目”の機能を担う画像認識AIの「Rtrilo」や、省電力・低排出・小型化と高速処理を可能にしたFPGA技術による、所謂“エッジAI”周りの開発及び顧客導入を推進していく目論見です。

 

但しロボット領域は国内外で競合や技術革新が激しいことから、競合が少なく、当社の優位性が保持されやすい宇宙領域の進展が期待されます。当社はJAXAやNICTから継続的にシステム開発等の受注を受けています。2020年にはJAXAがデブリ(宇宙ゴミ)の除去に関して契約したアストロスケールとの協業を公表したほか、JAXAと共同研究中の次世代宇宙機・航空機設計のモデリングを、汎用的な3Dモデルへ展開させ、建設・製造・医療といった他業種での活用を目指します。

 

財務面については実質無借金状態であり、自己資本比率は実に85%程をキープしています。配当は2円増配の年71円を予想していますが、配当性向は既に40%に引き上げていることから、これ以上の株主還元は利益のベースが上がってこないと難しいものとみられます。

 

*参考記事① 2022-09-05 2,271円 NT

【3741】セック/通信領域のクロスリアリティ(xR)案件増勢で、滑り出しは好調。

 

*参考記事② 2021-08-25  2,415円 NT

【3741】セック /ロボットと宇宙関連の先端技術需要が好調、採算良化期待も。 

 

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