【3741】セック (東証プライム) OP
現在値 2,271円/100株 P/E 14.7 P/B 1.69 3月配当 株主優待なし
リアルタイムソフト技術に強み、モバイル端末向けや防衛・ロボットも。
配当金は3月一括の年62円配当のため、配当利回りは2.73%となります。
なお、セックは株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 63.4億円、営業利益 9.3億円 EPS 134.3円
■2021年3月期 売上高 65.2億円、営業利益 10.1億円 EPS 142.3円
■2022年3月期 売上高 65.6億円、営業利益 10.6億円 EPS 152.6円
■2022年3月期 売上高 69.5億円、営業利益 10.7億円 EPS 155.4円 ce
□2022年6月1Q 売上高 16.0億円、営業利益 1.6億円 EPS 23.9円(8/8)
□2022年9月2Q 売上高 31.0億円、営業利益 3.6億円 EPS 52.7円 ce
2022年3月期の売上高はYoY+0.5%の65.6億円、営業利益はYoY+5.1%の10.6億円となり、計画並みの着地となりました。移動通信領域で開発案件が大幅に減少したほか、宇宙先端領域のサービスロボットや宇宙天文分野の大型案件剥落があったものの、ネット領域における民間向けや社会基盤領域の官公庁向けが堅調に推移し、全社で微増収を確保しました。他方、利益面は主に外注費の抑制により対計画でも増益を確保しています。
進行期である2023年3月期の予算は、売上高がYoY+5.9%の69.5億円、営業利益はYoY+0.7%の10.7億円を予想しています。前提となる期末受注残高はYoY+24.7%の31.9億円と高水準を確保しており、特に移動通信領域のクロスリアリティ(xR)案件の大幅な伸長が見込まれるほか、宇宙先端領域の自動運転関連やロボット、社会基盤領域の官公庁向けも堅調推移が予想されます。他方、利益面についてはR&Dの推進や、本社SBSの10階ワンフロア増床(従来は8‐9階)による家賃負担増加と増床費用により、微増止まりとなります。
当社は中期計画を対外公表していない(社内のみ)ものの、社会基盤システムやモバイル分野の安定的な収益基盤をベースに、宇宙先端分野(自動運転・ロボット)に注力しています。特にロボットの売上高は2014年度を起点に、【1.4→3.1→5.8→6.8→11.3→14.1→17.1億円】と成長してきましたが、大型案件の終了もあり、直近期は16.6億円に反落しています。
ロボット事業は以下の3軸①ロボットSIer(ロボットOSやロボットミドルウェアといった標準化技術)、②製品適用(自律移動ソフト、可視化ソフト)、③高付加価値化(エンジ、AI、MR、画像認識)で推進しています。①のROSやRTMは従来より取り組んできた領域ですが、②の代表製品である屋内自律ロボット用ソフトの「Rtino」を切り口に、省電力・低排出・小型化を実現しつつ高速処理を可能にしたFPGA技術による、所謂“エッジAI”の開発及び顧客導入を推進していく目論見です。
但しこれらのロボット領域は国内外で競合が激しいだけでなく、日進月歩で研究領域が簡単に陳腐化してしまうことから、本来的には宇宙領域の進展が期待されます。当該領域は国内競合が殆どおらず、JAXAやNICTから継続的にシステム開発等の受注を受けています。2020年にはJAXAがデブリ(宇宙ゴミ)の除去に関して契約したアストロスケールとの協業を公表しており、成長力は依然いまひとつであるものの、中長期的な種蒔きが進められています。
財務面については実質無借金状態であり、自己資本比率は実に85%台をキープしています。配当は1円増配の年62円を予想していますが、配当性向は既に40%に引き上げていることから、これ以上の株主還元は利益のベースが上がってこないと難しいものとみられます(※直近5月には発行済株式の0.6%にあたる0.7億円の自社株買いを実施)。
*参考記事① 2021-08-25 2,415円 NT
【3741】セック /ロボットと宇宙関連の先端技術需要が好調、採算良化期待も。
*参考記事② 2020-09-24 3,170円 NT
【3741】セック/豊富な受注残抱えるロボット事業好伸で、低進捗も通期で巻き返しか。
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