【3741】セック (東証1部) NT
現在値 3,170円/100株 PER26.1 PBR2.74 3月配当 株主優待なし
リアルタイムソフト技術に強み、モバイル端末向けや防衛・ロボットも。
配当金は3月一括の年53円配当のため、配当利回りは1.67%となります。
なお、セックは株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 44.2億円、営業利益 4.3億円 EPS 61.4円
■2018年3月期 売上高 51.7億円、営業利益 6.2億円 EPS 91.4円
■2019年3月期 売上高 59.8億円、営業利益 8.2億円 EPS 119.8円
■2020年3月期 売上高 63.4億円、営業利益 9.3億円 EPS 134.3円
■2021年3月期 売上高 64.0億円、営業利益 8.5億円 EPS 121.1円 ce
□2020年6月1Q 売上高 13.3億円、営業利益 1.0億円 EPS 16.6円(8/11)
□2020年9月2Q 売上高 28.5億円、営業利益 3.0億円 EPS 42.9円 ce
2020年3月期の売上高は前期比6.1%増の63.4億円、営業利益は13.0%増の9.3億円となり、2桁の増益を確保したほか、中間時点の増額予算も上回って着地しました。移動通信領域で各種開発案件が減少したほか、ネット領域における非接触IC搭載ソフトの開発が減少した一方、社会基盤領域において、官公庁や交通系モバイル決済の開発が好調に推移しました。また宇宙先端領域については大躍進となり、特に車両自動走行研究関連のAIやミドルウェア、ROS関連の開発案件のほか、サービスロボットの研究開発案件が大幅に増加したほか、宇宙天文分野も順調に推移しました。利益面については、ベースアップを含めた人件費や外注費が大幅増となったものの、トップラインの伸びで全てこなした格好です。
進行期である2021年3月期の予算は、期初時点から開示しており、売上高が0.9%増となる64.0億円、営業利益は8.7%減の8.5億円と増収ながらも減益を予想していますが、前提となる期末の受注残高は前年同期比14.9%増の23.4億円を確保していることを踏まえると保守想定とみられます。移動通信領域やネット領域の開発案件については顧客の設備投資抑制により低調な推移が見込まれるものの、潤沢な受注残高を抱えた宇宙先端領域が力強く牽引する見通しです。8月11日には1Qを開示しており、売上高は同微増の13.3億円、営業利益は同27.6%減の1.0億円で進捗しており、新型肺炎による影響は新規顧客開拓が低調だった点以外は特に挙げられておらず、足許時点の受注残高についても同16.3%増の25.9億円と期初から更に積み上げていることから、期初の会社予算は十分に達成可能な状況にあると考えられます。
当社は中長期的な定量目標値を示していないものの、社会基盤システムやモバイル分野での長い実績に基づく安定的な収益を基盤に、宇宙先端分野(自動運転・ロボット)に注力度合を深めています。特にロボット事業だけを取り出すと、2015年3月期を起点に同事業の売上高は【1.4→3.1→5.8→6.8→11.3→14.1億円】、と年々伸長しており、従来から強みを持つSE、リアルタイムミドルウェア、ロボットOSといった標準化技術を活用した開発案件の受注が堅調に推移しています。今後はこうした標準化だけでなく、自律移動ソフトや機能安全ソフトといった製品適用ビジネスの強化や、AI活用による高付加価値を図る方針であり、ロボット市場それ自体の成長が著しいため、このような派生分野の伸びも相当程度期待出来るとみられます。
財務面については実質無借金状態であり、自己資本比率も80%台をキープしているため新型肺炎禍でも資金繰りには何ら問題がなく、期初から配当予想を開示しています。ただ配当性向は既に40%水準へと切り上げてしまっていることもあり、実績期の50周年記念配当の20円分については単純に剥落させ、73円→53円(配当性向43.5%)へと減配させる見通しです。但し、当社は普通配ベースでも連続増配基調を辿ってきた経緯もあるため、業績予想の上振れ達成を前提に年60円までは普通配当で出してくる可能性があると考えています。
*参考記事① 2018-08-07 2,992円 NT
ロボット開発案件増で、1Q 開示前に中間見通しを増額・セック(3741)。
*参考記事② 2017-08-25 2,439円 NT
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