【3612】ワールド(東証プライム) OP
現在値 1,345円/100株 P/E 8.3 P/B 0.57 3月配当優待 9月配当優待
総合アパレル大手。SCから百貨店まで展開。構造改革進め18年再上場。MA積極化。
配当金は年2回・計48円のため、配当利回りは約3.57%となります。
ワールドは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で半年以上保有を継続する単元株主に対して、1,500円分の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.68%となります(なお3単元保有時は優待が5,000円分となるため、利回りが表記よりも上昇します)。
業績を確認していきます。IFRS基準となります。
■2020年3月期 売上高 2,362億円、営業利益 123億円 EPS 241円
■2021年3月期 売上高 1,803億円、営業利益▲216億円 EPS▲511円
■2022年3月期 売上高 1,713億円、営業利益 21.9億円 EPS▲7.7円
■2023年3月期 売上高 2,120億円、営業利益 109.0億円 EPS 147.2円ce
□2022年9月2Q 売上高 967億円、営業利益 40.7億円 EPS 54.0円
□2022年12月3Q 売上高 1,574億円、営業利益 121.3億円 EPS 180.5円(2/3)
2022年9月中間期の売上高はYoY+25.1%の967億円、営業利益はYoY+62億円の40.7億円となり、対予算で減収増益となりました。主力のブランド事業は、百貨店向けMU業態(UNTITLED、INDIVI等)が好調に推移したほか、SC向けML(SHOO・LA・RUE、THE SHOP TK等)も回復がみられ、予算前提のSSS平時比80%には届かなかったもの、百貨店割合増によるミックス良化や、低下販売の推進により収益性が一段と回復しました。また、ECモール及びサイト構築・運用のデジタル事業も外部売上の拡大で黒字転換した一方、生産・サプライチェーン・販売代行のプラットフォーム(PF)事業は外注費や為替影響で減収減益となりました。
2023年3月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高はYoY+23.7%の2,120億円、営業利益はYoY5倍の109億円を見込んでいます。不採算店の撤退継続で出退店自体は純減▲60店となるものの、行動制限全面解除に伴って既存店は尻上がりに回復しており、1月単月SSSは平時比82.7%と予算前提超過水準まで浮上している状況です。そのため、2月3日既開示の3Q決算については、売上高1,547億円&営業益121億円で進捗しており、既に過達状態となっています。なお買収したナルミヤが通期寄与し、売上高324億円・営業益15億円程が通期で寄与します。
当社は翌2024年3月期までを構造改革期間とし、進行期を“収益性復活”、翌期を“再成長復帰”に位置付けています(計数目標なし)。2019年・2020年の相次ぐ大規模リストラで「3can4on」「aquagirl」「OZOC」など10ブランド超の撤退と他社移管、400人超の人員削減を実施し、年間100億円程の損益改善を既に実現しています(リストラなかりせば進行期も均衡圏の確保が精々だった)。
上記の取組によりアパレルブランドが減少したものの、売れ筋ブランドへの集約化が済んだことから、百貨店向けMU品の生産拠点を国内自社工場へ“回帰”させ、為替影響抑制のほか、高付価値化と安定供給を志向します。他社比で出遅れているECについても、昨年9月にようやく新アプロローンチに漕ぎつけており、モール化(他社物販売)やOMOに弾みをつける方針です。またシェアリングの「Laxus」、リユースの「Tin Pan Alley」、オフプライスの「&Bridge」といったデジタル分野における循環型事業の業態創出も進んでおり、グループ全体での有機的な業容拡大が期待されます。
昨年2月には、持分法適用としていたナルミヤ・インターナショナル(9275)に追加で33億円を投じ、子会社化しています。ナルミヤは元来当社が得意とするような百貨店向けのハイエンド品が中心であるものの、SC向けの「プティマイン」「ラブトキシック」も好調に推移しており、子会社化後も期待通りの成長が続いています。
財務については、2018年の再上場時に公募と自社株売却で約400億円(@2,900円)を調達して優先株償還をするなどしたものの、新型肺炎禍後に調達した150億円の永久劣後ローンも全額資本認定されていることから、自己資本比率は33.5%をキープしています。そのため、配当余力が十分確認されるほか、業績も上振れ含みのため、配当性向30%基準の年48円は上積み公算が高いものとみられます。
*参考記事① 2022-08-31 1,359円 OP
【3612】ワールド/好調な百貨店向け中心に正価販売進む、買収したナルミヤも通期寄与。
*参考記事② 2022-02-24 1,225円 OP
【3612】ワールド/TOBで子供服のナルミヤ(9275)を子会社化、最終益均衡圏も復配が濃厚。
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