【3612】ワールド/TOBで子供服のナルミヤ(9275)を子会社化、最終益均衡圏も復配が濃厚。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3612】ワールド(東証一部) OP

現在値 1,225円/100株  P/E 78.1  P/B 0.51  3月配当優待 9月配当優待

総合アパレル大手。SCから百貨店まで展開。構造改革進め18年再上場。MA積極化。
配当金は年27円のため、配当利回りは約2.20%となります。

ワールドは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で半年以上保有を継続する単元株主に対して、1,500円分の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.65%となります(なお3単元保有時は優待が5,000円分となるため、利回りが上昇します)。


業績を確認していきます。IFRS基準となります。

■2018年3月期 売上高 2,458億円、営業利益 132億円 EPS 373円 

■2019年3月期 売上高 2,498億円、営業利益 148億円 EPS 354円 

■2020年3月期 売上高 2,362億円、営業利益 123億円 EPS 241円 

■2021年3月期 売上高 1,803億円、営業利益▲216億円 EPS▲511円

■2022年3月期 売上高 1,831億円、営業利益 21.4億円 EPS 0.87円 ce修正

□2021年9月2Q 売上高 773億円、営業利益▲21.4億円 EPS▲43.4円 

□2021年12月3Q 売上高 1,262億円、営業利益 49.4億円 EPS 86.4円(2/3) 


2021年9月中間期の売上高はYoY▲2.2%の773億円、営業利益はYoY+123億円の▲21.4億円となり、対計画で未達となりました。主力のブランド事業は、百貨店向けMU業態(UNTITLED、INDIVI等)、SC向けML(SHOO・LA・RUE、THE SHOP TK等)ともに4月下旬からの緊急事態宣言再発出と、夏場のデルタ株による施設の休館・時短影響により、対前々期70%台後半を前提としていたSSSは60%台後半で推移しました。EC及びサイト構築・運用のデジタル事業も投資先行で赤字拡大、生産・サプライチェーン・販売代行のプラットフォーム(PF)事業も、改装・開業案件の中止により大幅な減収減益となりました。尚、全社利益の大幅な良化は、不採算店の閉鎖等によるリストラ効果の発現等に由ります。

 

2022年3月期の通期見通しは1月に修正しており、売上高がYoY+1.6%の1,831億円(期予:1,964億円)、営業利益はYoY+250億円となる21.4億円(期予:63.5億円)まで減額しています。前提の対前期SSSを上期実績107.5%に対し、下期111.7%で置き直すほか、不採算店撤退が前期より70店も多い純減380店まで達するため、トップラインは横ばい止まりとなります。デジタル事業は、終了ブランド値引販売反動のほか、OMO施策等の投資も重く、PF事業についても顧客側の業績悪化でにより苦しい状況が続きます。他方、ブランド撤退や人員削減による効率化、値引販売による在庫処分一巡と(プロパー比率上昇)により、採算性は大きく改善し、黒字を確保する見通しです。

 

当社は2019年8月、2020年2月に相次ぐ大規模リストラ策を公表・敢行しており、「HusHusH」「3can4on」「aquagirl」「OZOC」「anatelier」「JET」「SunaUna」など合計10ブランドの撤退と、「CORDIER」などの他社移管にくわえ、延べ434人強の人員削減を行いました。特に希望退職者も枠以上の応募数となったほか、不採算店の閉鎖も想定超で進捗し、リストラにともなう一過性費用こそ累計141億円まで膨らんだものの、巡行の損益改善は年90億円まで伸長しました。

 

アパレルブランドを相当数絞ってしまったことから、目下では既に売上構成比の5割を占める雑貨・EC・PF外販を成長ドライバーに位置づけています。具体的には調理器具の「212 KITCHEN STORE」や、雑貨の「one's terrace」の増床・大型化を図るほか、PF事業における異業種販売代理、店舗・オフィス内装の受注拡大、アスプルンドの家具のホールセール強化といった具合に、従来型のアパレルからその周辺領域に軸足を移しています。他方、本年2月には既に持分法適用会社のナルミヤ・インターナショナル(9275)に追加で33億円を投じて、日本産業パートナーズらから26.6%持分をTOBを通じて買い付けており、子会社化しています。ナルミヤは元々百貨店系のブランドであり、昨今はSC向けの「プティマイン」「ラブトキシック」などが成長していることから、当社販路とのシナジーを見込んだ取得とみられます。

 

財務については、2018年の再上場時に公募と自社株売りで約400億円(@2,900円)を調達し、利払いの多いDBJ向け優先株を償還するなどに一部使用したものの、IPOによりかなり資本が充実しました。また、メガバンクを相手先とした150億円の永久劣後ローンも全額資本認定されていることから、自己資本比率は現状でも35.0%、D/Eレシオも1.0倍と健全な状況をキープしています。配当に関しては、最終利益が均衡圏であることから、期初予想より4円少ない年27円に減配されてしまったものの、復配自体は確実な情勢です。

 

*参考記事① 2021-09-07 1,417円 OP

【3612】ワールド/相次ぐリストラと永久劣後ローンで“筋肉質化”も、収益改善道のり険しい。

 

*参考記事② 2020-08-29  1,622円 OP

【3612】ワールド/再上場からの大リストラ敢行も、株主還元コミットは強い。

 

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