【1518】三井松島HD/終掘の豪州リデル炭鉱はほぼ収益確定、大規模自社株買いでEPS下支え。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1518】三井松島ホールディングス(東証プライム) NT

現在値  2,676円/100株 P/E 3.16  P/B 0.62  3月配当株主優待 9月配当 

2023年石炭事業撤退で事業投資会社に転換。飲料ストロー等ニッチ事業のM&A主体。
配当金は3末・9末の合計年80円配当のため、配当利回りは約2.99%となります。

三井松島産業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、6,000円分の自社運営宿泊施設の宿泊割引券と10,000円分のオーダースーツ等お仕立券を進呈しておりますので、宿泊券のみ計算した場合の配当優待利回は約5.23%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準29号(新収益認識基準)を適用しています。

■2021年3月期 売上高 573億円、営業利益 19億円 EPS▲233円

■2022年3月期 売上高 465億円、営業利益 84億円 EPS 414円 

■2023年3月期 売上高 800億円、営業利益 357億円 EPS 1,676円

■2024年3月期 売上高 660億円、営業利益 160億円 EPS 846円 ce(5/15)
□2023年9月2Q 売上高 300億円、営業利益 72億円 EPS 363.5円 四e


2023年3月期の売上高はYoY+71.7%の800億円、営業利益はYoY*4.2倍の357億円となり、3Qの再上方修正を上回り、飛躍的な増収増益となりました。石炭販売が数量減(317万t→306万t)、終掘を控える石炭生産も数量減(136万t→110万t)となったものの、世界的な資源価格急伸で一般炭単価が急騰(116$→344$/t)したため、主に単価効果により収益が急拡大しました。他方、非石炭の再エネ事業、生活関連事業も概ね堅調に推移したため、全セグで増収増益となりました。


進行期である2024年3月期の通期予算については、売上高がYoY▲17.5%の660億円、営業利益はYoY▲55.3%の160億円と大幅な減収減益を見込みます。豪州石炭事業が期中で終掘を迎えるため、販売数量を(110万t→76万t)と見積もるほか、MtoMで石炭分野の一般炭販売価格を(344$→250$/t)に見直すものの、75%は既に収益確定している状況です。他方、生活関連事業の諸事業については、2月に丸紅から追加持分を取得して完全子会社とした感熱レジロール会社の通期貢献開始もあり、増収増益基調を継続する見通しです。

 

当社は2018年に5ヶ年中計を公表しており、進行期は最終年度に該当します。当初は営業利益を15億円→55億円まで引き上げる計画でしたが、史上空前の石炭市況高騰で早々に計数目標を達成し終えているような状況です。終掘影響を受けるこの2024年3月期の営業利益予算さえ計数目標を大幅超過する公算が強く、他目標指標として掲げるROE8%&配当性向30%についても同様に達成確実の状況です。

 

“特大ホームラン”となった石炭分野については、8.5億tの推定埋蔵量を有する豪州リデル炭鉱・現鉱区が年内に終掘となるため、JVのグレンコアとともに隣接鉱区(※当社持分で約130万tが約20年間採掘可能)を推進し、豪州政府許認可取得と来年の商用生産を目指してきました。然しながら、アボリジニ文化遺産保護等の観点から否認されたため、進行期に巡行水準の半分程度の採掘を以って業績貢献が無くなり、創業110年来の主力事業であった石炭事業自体が終了することとなりました。


当社はかねてより脱炭素潮流を睨み、非石炭分野である生活関連事業にシフトしています。今次中計期間では300億円のM&A取得枠を設定し、非石炭分野で営業益47億円を目指す計画あり、終わった期で投資額196億円&同営業益47億円と順調に買収実績を積み上げています。2021年5月には高圧送電線の架線金具の製造・販売を手掛ける日本カタン(年商約38億円・営業益約6億円)に20億円を投じて50%強の持分を取得したほか、昨年1月には丸紅オフィス・サプライ(年商約75.3億円・営業益約5.3億円)に23億円を投じて50.1%持分を取得したほか、上述のとおり本年2月の追加取得により完全子会社化しています。

 

株主還元については、今次中計では配当性向30%を基準としているものの、予想ベースでは年240円減配の年80円配当(配当性向9%)を見込んでいます。別途、自社株買い30億円(15.3%)を実施しており、これが全量買われる場合は総還元性向で30%水準に達するほか、EPS切上がりによる追加的な増配もあろうかと思われます。


*参考記事①  2023-02-14  3,605円 NT

【1518】三井松島HD/豪州リデル隣接鉱区否認で終掘確定的も、“あぶく銭”で空前の大増配。

 

*参考記事② 2022-08-24  3,760円 NT

【1518】三井松島ホールディングス/豪リデル炭鉱の終掘接近も一般炭価格は高騰・空前の大増配へ。

 

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