【1518】三井松島HD/豪州リデル隣接鉱区否認で終掘確定的も、“あぶく銭”で空前の大増配。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1518】三井松島ホールディングス(東証プライム) NT

現在値  3,605円/100株 P/E 2.23  P/B 0.91  3月配当株主優待 9月配当 

柱は豪州生産、輸入販売など石炭産業。豪以外の権益も拡大。 
配当金は3末・9末の合計年320円配当のため、配当利回りは約8.88%となります。

三井松島産業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、6,000円分の自社運営宿泊施設の宿泊割引券と5,000円分のオーダースーツ等お仕立券を進呈しておりますので、宿泊券のみ計算した場合の配当優待利回は約11.92%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準29号(新収益認識基準)を適用しています。

■2020年3月期 売上高 665億円、営業利益 27.4億円 EPS 172円 

■2021年3月期 売上高 573億円、営業利益 19.4億円 EPS▲233円

■2022年3月期 売上高 465億円、営業利益 84.1億円 EPS 414円 

■2023年3月期 売上高 780億円、営業利益 350.0億円 EPS 1,615円ce修正(2/10)
□2022年9月2Q 売上高 334億円、営業利益 118.7億円 EPS 655円 

□2022年12月3Q 売上高 560億円、営業利益 244.8億円 EPS 1,387円(2/10)


2022年9月中間期の売上高はYoY+56.2%の334億円、営業利益はYoY4.4倍の118.7億円となり、予算比は無いものの飛躍的な増収増益となりました。石炭販売が数量減(158万t→155万t)、終掘を控える石炭生産も数量減(72万t→53万t)となったものの、世界的な資源価格急伸で一般炭単価が高騰(89.6$→255.2$/t)したため、主に単価効果で収益が急拡大しました。他方、非石炭の再エネ事業、生活関連事業も概ね堅調に推移したため、全セグで増収増益となりました。


なお2023年3月期の通期見通しについては、3Q時点で再上方修正しており、売上高はYoY+67.4%の780億円(期予:570億円)、営業利益はYoY4.1倍の350億円(期予:143億円)に大幅増額しています。諸元修正が主要因であり、石炭分野の一般炭販売価格をMtoMで引き上げる(期初:200$→346.1$/t)ほか、販売数量も(期初80万t→89万t)に見直します。他方、生活関連事業については、電子部品分野で期ズレが発生するため減額したものの、通期では5月買収の日本カタン上乗せにより、増収増益を確保します。

 

進行期は5年中計の4年度目であり、最終年度の翌2024年3月期までに営業利益を15億円→55億円まで引き上げる計画でした。然しながら、史上空前の石炭価格急騰で終わった期の営業利益で84.1億円を叩き出すなど、計数目標を1年前倒し、かつ、大幅超過に達成しているような状況です。

 

“特大ホームラン”となった石炭分野については、8.5億tの推定埋蔵量を有する豪州リデル炭鉱において、現鉱区が2024年3月期までに終掘となります。そのため、JVのグレンコアとともに隣接鉱区(※当社持分で約130万tが約20年間採掘可能)を推進し、豪州政府許認可取得と来年の商用生産を目指してきましたが、先住民保護等の観点から否認され、当社の石炭事業は終掘・終了する見通しとなりました。尚、翌期は進行期の半分の150万t~200万t程度が採掘可能なため、今次中計期間の業績は担保される公算です。


中長期的には脱炭素潮流で需要減少が予想されることから、かねてより非石炭分野である生活関連事業にシフトすべく、M&Aを連発しています。昨年5月には高圧送電線の架線金具の製造・販売を手掛ける日本カタン(年商約38億円・営業益約6億円)に20億円を投じて50%強の持分を取得したほか、本年1月には丸紅オフィス・サプライ(年商約75.3億円・営業益約5.3億円)に23億円を投じて50.1%持分を取得しています。EBITDAコンシャスの買収が多く、のれん償却負担は年8億円以上(B/S上は130億程度)まで膨らむ見通しですが、ひとまずは石炭の“あぶく銭”によりプチ総合商社化が進んでいます。

 

株主還元については、当初年80円→年160円へ配当を倍増させる予定でしたが、3Q時の再々増額修正で前期比4倍の年320円配当まで修正しています。自己資本比率は6割近傍にまで急改善しているものの、会社側は今後のM&Aに備えて財務温存する意図や、翌期の配当の段差を減らす意図もあるとみられることから、更なる追加増配の可能性は低いと考えます。


*参考記事①  2022-08-24  3,760円 NT

【1518】三井松島ホールディングス/豪リデル炭鉱の終掘接近も一般炭価格は高騰・空前の大増配へ。

 

*参考記事② 2021-09-13 1,366円 NT

【1518】三井松島HD/“脱炭素”潮流は大逆風も、事業ポートフォリオ多角化は急速に進む。

 

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