【8593】三菱HCキャピタル/新中計純益1,600億円は高ハードルも、日立の持分は順調に減少。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8593】三菱HCキャピタル(東証プライム) OP

現在値 929円/100株  P/E 11.1  P/B 0.87  3月配当 9月配当 株主優待なし

三菱UFJグループ。三菱UFJリース(MUL)と日立キャピタル(HC)が2021年4月に統合。


配当は年2回・合計37円のため、配当利回りは約3.98%となります。
三菱HCキャピタルは株主優待制度を実施しておりません。

 

業績を確認していきます。2021年3月期まではMULの業績を示しています。

■2021年3月期 売上高 8,943億円、最終利益 553億円 EPS 62.1円 MUL

■2022年3月期 売上高 17,655億円、最終利益 994億円 EPS 69.2円 

■2023年3月期 売上高 18,962億円、最終利益 1,162億円 EPS 80.9円

■2024年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 1,200億円 EPS 83.5円 ce

★2024年3月期 売上高 20,097億円、最終利益 1,204億円 EPS 83.9円cos(6/19)

□2023年9月2Q 売上高 9,700億円、最終利益 644億円 EPS 44.8円 四e 

2023年3月期は売上高YoY+7.4%の18,961億円、最終利益は同YoY+16.9%の1,162億円となり、対前・対計画ともに増収増益となりました。海外セグの政策保有株式売却の剥落(▲267億円)影響が大きかったものの、従来型リースや航空機、インフラセグの貸倒計上が消失したほか、不動産セグの大口売却益計上も寄与しました。また海運市況の活況裡で、通期貢献を開始したコンテナリースのCAIを擁するロジセグが顕著な伸びを示し、全社業績を一段と押し上げました。


進行期である2024年3月期の予算については、売上高未公表ながら、最終利益は同YoY+3.2%の1,200億円を予想しています。総じて各種貸倒費用の剥落が見込まれるほか、旅客需要回復により航空セグの大幅回復が予想される一方、海外セグで有価証券評価益の反動減や増税影響を受けるほか、CAIを中心とするロジセグも海運市況正常化で一服となります。また、全社ではDX・人材投資費用が嵩み、均して横ばい圏となります。

 

当社は本年5月に2026年3月期を最終年度とする中計を公表しており、向こう3年で最終利益を1,162億円→1,600億円(CAGR11.2%)に引き上げるほか、ROA1.5%(+0.4%pt)、ROE10%(+1.8%pt)を定量目標としています。当面は特に航空セグの収益牽引が顕著になるものとみられ、新型肺炎禍で貸倒引当金の計上が相次いだ状況から一変して、正常化した受取リース料が収益寄与する見通しです。

 

他方、2021年にコンテナリース業界5位の米CAIを約1,200億円で買収し、世界3~4位級につけています。海運市況の一服により、一時のような“追い風”効果は望めないものの、船会社のコンテナ船投資が再開するなど再反転の兆しが見込まれることから、のれん代とその償却(341億円/20年償却)を考慮しても、引き続き最終利益で年100億円超の収益貢献が見込まれます。その他では、日立キャピタルとの統合シナジー見込額100億円のうち50億円程度しか顕在化していないため、残り半分が“アップサイド”となりますが、これらが順調に積み上がっても1,600億円はかなりハードルが高い印象です。

 

株主還元については25期連続の増配を見込んでおり、4円増配の年37円配当を予定しています。旧MUL社は配当性向30%(旧HC社は40%)としていたものの、2026年3月期までの4年間は旧HC基準の配当性向40%でガイドしています。なお、懸念の日立製作所の残り持分は限定的(4.4%)となっており、自社株買いこそ期待出来なくなったものの、需給リスクは一段と後退したものとみられます。


*参考記事① 2023-03-04 714円 BY

【8593】三菱HCキャピタル/買収したCAIが想定超で推移、傘下DAFはSBI系に譲渡。

 

*参考記事② 2022-08-17 656円 BY

【8593】三菱HCキャピタル/米コンテナリースCAIの寄与順調、24期連続増配をガイド。

 

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