【8593】三菱HCキャピタル/米コンテナリースCAIの寄与順調、24期連続増配をガイド。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8593】三菱HCキャピタル(東証プライム) BY

現在値 656円/100株  P/E 8.5 P/B 0.67  3月配当 9月配当 株主優待なし

三菱UFJグループ。三菱UFJリース(MUL)と日立キャピタル(HC)が2021年4月に統合。


配当は年2回・合計31円のため、配当利回りは約4.74%となります。
三菱HCキャピタルは株主優待制度を実施しておりません。

 

業績を確認していきます。2021年3月期まではMULの業績を示しています。

■2020年3月期 売上高 9,237億円、最終利益 707億円 EPS 79.4円 MUL

■2021年3月期 売上高 8,943億円、最終利益 553億円 EPS 62.1円 MUL

■2022年3月期 売上高 17,655億円、最終利益 994億円 EPS 69.2円 

■2023年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 1,100億円 EPS 76.6円 ce

★2023年3月期 売上高 19,044億円、最終利益 1,091億円 EPS 76.0円 cos(8/8)

□2022年6月1Q 売上高 4,603億円、最終利益 320億円 EPS 22.3円(8/10) 

□2022年9月2Q 売上高 9,500億円、最終利益 630億円 EPS 43.9円 四e


2022年3月期の売上高は統合前の旧MUL単独業績との比較でYoY+86.3%の17,655億円、最終利益は同YoY+79.7%の994億円となり、対予算で上振れました。売却複数件が剥落した不動産セグのみ大幅減となったものの、従来型リース事業については、ロックダウン影響が大きかった旧HC社欧州事業の持ち直しや、米国ENGS社の好伸により収益一段増となりました。苦戦中の航空機事業についても、条件変更による減損・貸倒費用計上があったものの、アセット売却や破綻先の評価益計上で増益を確保しています。また政策保有株式の売却により267億円の一過性利益を計上し、全社利益を大きく押し上げています。


2023年3月期の予算については、売上高未公表ながら最終利益は同YoY+10.7%の1,100億円を見込んでいます。全社では株式売却益の剥落(▲267億円)の影響が大きいものの、前の期で従来型リースや航空機、インフラで想定超の貸倒費用を計上した反動や、昨年期中買収したCAIの通期稼働効果により埋めて、2桁増益を確保する計画です。8月10日に1Qが開示されており、欧米・米州の従来型リースの堅調推移が確認されているほか、為替効果により四半期で+10億円の差益を計上するなど、通期進捗率29%で順調に推移しています。

 

当社はリース4位の三菱UFJリース(MUL)と、同8位の日立キャピタル(HC)が合併した新会社であり、同首位のオリックスに次いでSMFLと並ぶ同2位グループにつけています。ただ、2022年5月開示予定とされていた中計開示は、更に1年先送りされています。新会社は①(インフラや不動産の)社会資本/ライフ、②環境・エネルギー、③モビリティ、④販売金融、⑤グローバルアセットを注力5分野としたうえで、経営統合コストの一巡と合理化効果で年約100億円の改善を見込んでいます。

 

終わった期も進行期も依然統合関連の費用がマイナス寄与するものの、本来的には金融系のMULとメーカー系のHCで事業領域が殆ど被っていないことから、単純な業績の“足し算”と、先に挙げた合理化効果で最終利益は1,200億円程が射程に入るとみられます。また、現時点の開示資料を読み解く分には、「ROE10%を目指す」とされる4年後の2026年3月期の最終利益は1,500億円水準と計算されますが、一旦は会社側の正式公表を待ちたいと思います。

 

昨年11月にコンテナリース業界5位の米CAIを約1,200億円で買収し、既存事業(BIL)との統合で、最大手のTriton、2位のTextainerに次ぐ同業界3位圏となりました。CAIはコンテナ市況活況によるフル稼働状態となっているほか、不採算事業整理や円安寄与により、最大ポテンシャルでの業績寄与が期待されます。買収にともなうのれん代が341億円・20年償却がガイドされたものの、直近四半期の同社単独の営業益が80億円+であることを踏まえれば、最終益で250~300億円程度/yの上乗せが見込まれるため、先に挙げた業績水準の達成が一段と高まることとなります。

 

他方、株主還元については24期連続の増配を見込んでおり、3円増配の年31円を予定しています。これまでMULは配当性向30%(HCは40%)方針としていたものの、2026年3月期までの向こう4年間は配当性向40%でガイドしています。足許のROEが8.2%であり、目標10%であることから、日立製作所の残り持分(11.5%)が崩れるようであれば、自社株買いといったシナリオもあろうかと思われます。

 

*参考記事① 2022-02-19 605円 BY

【8593】三菱HCキャピタル/CAIのれん代は概算341億円、翌期からの業績貢献期待は大きい。

 

*参考記事② 2021-08-30 583円 BY

【8593】三菱HCキャピタル/米大手コンテナリースCAI買収で上乗せ、株主還元強化に期待。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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