【8593】三菱HCキャピタル/米大手コンテナリースCAI買収で上乗せ、株主還元強化に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8593】三菱HCキャピタル(東証一部) BY

現在値 583円/100株  P/E 8.8 P/B 0.70  3月配当 9月配当 株主優待なし

三菱UFJグループ。三菱UFJリース(MUL)と日立キャピタル(HC)が2021年4月に統合。


配当は年2回・合計26円のため、配当利回りは約4.46%となります。
三菱HCキャピタルは株主優待制度を実施しておりません。

 

業績を確認していきます。2021年3月期まではMULの業績を示しています。

■2018年3月期 売上高 8,699億円、最終利益 636億円 EPS 71.6円 MUL

■2019年3月期 売上高 8,642億円、最終利益 687億円 EPS 77.3円 MUL

■2020年3月期 売上高 9,237億円、最終利益 707億円 EPS 79.4円 MUL

■2021年3月期 売上高 8,943億円、最終利益 553億円 EPS 62.1円 MUL

■2022年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 950億円 EPS 66.1円 ce

■2022年3月期 売上高 14,425億円、最終利益 1,152億円 EPS 78.5円 con

□2021年6月1Q 売上高 4,077億円、最終利益 327億円 EPS 22.8円(8/13)

□2021年9月2Q 売上高 6,700億円、最終利益 570億円 EPS 39.0円 四e


2021年3月期のMUL売上高は前期比3.2%減の8,943億円、最終利益は同21.8%減の553億円、HCの売上高は同0.7%増の4,671億円、同4.3%増の430億円となりました。MULについては、売却益の増加により不動産事業が堅調だった一方、新型肺炎禍により航空機事業がエアライン破綻の影響によりリース料の大幅減収や貸倒損失増加により一気に均衡圏手前まで減益となり、全社業績の足を大きく引っ張りました。他方HCについては、環境・エネルギー事業が好調に推移したほか、モビリティ等の重点分野が軒並み堅調だったため、辛くも増収増益を確保しています。


2022年3月期の通期予算はトップライン未公表であるものの、最終利益のみ単純合算値での比較で8.8%増益となる950億円を予想しています。通常のリース業を中心とするカスタマー事業については、ロックダウンの影響を大きく受けたHCの欧州事業の持ち直しをはじめ、国内外で底堅い推移が予想されます。また、大打撃を受けた航空機事業についても引当金減少等の与信コスト減少、不動産や環境・エネルギー事業については好調維持が見込まれます。これら以外の要素として、大活況のコンテナ市場の追い風や、実績期に続いて政策保有株式の売却があれば上乗せが期待されるところです。

 

当社は本年4月に金融周りに強い業界4位の三菱UFJリースと、メーカー系であり現物周りに強い業界8位の日立キャピタルが合併した新会社であり、リース業界で圧倒的首位のオリックスに次いでSMFLと業界2位・3位を争うポジションにつけています。統合して間もないため、中長期的な経営計画を開示していないものの、今後は①(インフラや不動産の)社会資本/ライフ、②環境・エネルギー、③モビリティ、④販売金融、⑤グローバルアセットを注力5分野としたうえで、経営統合による負のコストが一巡し、逆に正のコストメリットが本格的に顕在化する2~3年後の2024年3月期には純利益で約100億円の改善を見込んでおり、同事業年度の最終利益は1,200億円程度に達するとみられます。

 

MULとHCは事業重複が殆どなく、そのままスタンドアローンで並立してコスト部分だけを節約できるような格好となりますが、その他の外部成長策として本年6月にコンテナリース業界5位の米CAIの買収を公表しています。買収額は約1,200億円であり、当社子会社のBILと合算すると当社は同業界で最大手のTritonに次ぐ2位圏につけることとなります。CAIの年間純利益は160億円程とみられ、目下の好調なコンテナリース市況を鑑みると当社連結業績に多大なる業績寄与が期待されます。別途400億円と目されるのれん代が発生するものの、仮に10年で償却を取っても利益の上乗せ幅は100億円以上と目されます。

 

他方、株主還元については23期連続の増配を見込んでおり、予想配当は50銭増配となる年26円を予定しています。これまでMULは配当性向30%方針、HCは配当性向40%方針であり、年26円の場合の配当性向は39.3%となり、見えずら上は旧MUL基準から大幅に引き上がったような見えがかりとなります。但し、会社側はこの配当額については「連続増配を守る」ことを第一に設定したとのアナウンスしているため、ターゲットとする配当性向は中計等の公表を待つ形となりますが、統合後も配当による還元を基本方針としていることから、更なる増配も十分にあり得るものと考えています。

 

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