【8593】三菱HCキャピタル(東証プライム) BY
現在値 714円/100株 P/E 9.3 P/B 0.66 3月配当 9月配当 株主優待なし
三菱UFJグループ。三菱UFJリース(MUL)と日立キャピタル(HC)が2021年4月に統合。
配当は年2回・合計31円のため、配当利回りは約4.34%となります。
三菱HCキャピタルは株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。2021年3月期まではMULの業績を示しています。
■2020年3月期 売上高 9,237億円、最終利益 707億円 EPS 79.4円 MUL
■2021年3月期 売上高 8,943億円、最終利益 553億円 EPS 62.1円 MUL
■2022年3月期 売上高 17,655億円、最終利益 994億円 EPS 69.2円
■2023年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 1,100億円 EPS 76.6円ce
★2023年3月期 売上高 19,044億円、最終利益 1,181億円 EPS 82.2円cos(3/1)
□2022年9月2Q 売上高 9,447億円、最終利益 631億円 EPS 44.0円
□2022年12月3Q 売上高 14,104億円、最終利益 859億円 EPS 59.8円(2/10)
2022年9月中間期のYoY+13.4%の9,447億円、最終利益は同YoY+4.5%の631億円となり、予算比は無いものの増収増益となりました。前年上期の政策保有株式売却が剥落した海外セグと、JOLCO外貨建て為替評価損計上のあった航空セグが反落した一方、不動産関連の大口売却益計上があった従来型リースセグと不動産セグは増益となりました。他方、海運市況の活況により、通期貢献を開始したコンテナリースのCAIを擁するロジセグが顕著な伸びを示し、全社業績を押し上げました。
2023年3月期の見通しは期初予想を据え置いており、売上高未公表ながら最終利益は同YoY+10.7%の1,100億円を予想しています。前期の株式売却益の剥落(▲267億円)影響が大きいものの、逆に従来型リースや航空機、インフラセグの貸倒計上が消えるほか、海運市況の追い風を受けたCAIの通期稼働効果により、ロジセグが全社業績を牽引します。なお、2月10日開示済の3Qについては、好調な環境エネルギーや、航空セグの貸倒戻入も確認され、通期進捗率は78%と順調な推移が確認されます。
当社は2021年にリース4位の三菱UFJリース(MUL)と、同8位の日立キャピタル(HC)が経営統合した新会社であり、オリックスに次いでSMF&Lと並ぶ業界2位グループにつけています。新会社は①(インフラや不動産の)社会資本/ライフ、②環境・エネルギー、③モビリティ、④販売金融、⑤グローバルアセットを注力5分野として、セグメントを仕切り直しています。
新会社の中計は本年5月を予定しており、ひとまずは経営統合コストの一巡と合理化で年約100億円の収益改善を見込んでいます。金融系のMULとメーカー系のHCで事業領域の被りが少ないこと先に挙げた合理化効果で最終利益1,200億円までは射程圏とみられますが、部頭出し的に開示済の2026年3月期の計数イメージ「ROE10%」、「中計期間の利益年率成長率2桁」などを考慮すると、計算上は最終利益1,500億円水準の目標感が浮かび上がります。
また、2021年末にコンテナリース業界5位の米CAIを約1,200億円で買収し、既存事業(BIL)との統合で、最大手のTriton、2位のTextainerに次ぐ同業界3位圏となりました。足許の海運市況が追い風となる形で想定超で貢献しており、のれん代とその償却(341億円/20年償却)を考慮しても、最終利益で年200億円を超える規模の貢献が見込まれるため、1,500億円達成の可視性が向上しています。他方、本年3月に傘下の不動産ローン大手DAFをSBI系に2,000億円(負債込)で譲渡したため、営業利益が▲20億円程度剥落するものの、CAIの貢献度合いとは比較にならず、影響は軽微です。
他方、株主還元については24期連続の増配を見込んでおり、3円増配の年31円を予定しています。旧MUL社は配当性向30%(旧HC社は40%)としていたものの、2026年3月期までの4年間は旧HC基準の配当性向40%でガイドしています。目標ROE10%に対し、足許のROE8.0%に過ぎないことから、いずれ放出されるであろう日立製作所の残り持分(11.5%)を受け皿とする自社株買いシナリオも想定されます。
*参考記事① 2022-08-17 656円 BY
【8593】三菱HCキャピタル/米コンテナリースCAIの寄与順調、24期連続増配をガイド。
*参考記事② 2022-02-19 605円 BY
【8593】三菱HCキャピタル/CAIのれん代は概算341億円、翌期からの業績貢献期待は大きい。
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