【4432】ウイングアーク1st(東証プライム) OP
現在値 2,269円/100株 P/E 16.8 P/B 2.24 2月・8月配当 株主優待なし
帳票・文書管理ソフトと企業内データ活用支援の2本柱。間接販売が主。MBOで再上場。
配当は2月・8月の年2回、合計45円のため、配当利回りは1.98%となります。
ウイングアーク1stは株主優待制度を導入していません(※再上場前はクオカード優待が存在)。
業績を確認していきます。
■2021年2月期 売上高 182億円、営業利益 32.0億円、EPS 79.5円
■2022年2月期 売上高 198億円、営業利益 59.8億円、EPS 132.2円
■2023年2月期 売上高 223億円、営業利益 59.4億円、EPS 129.5円
■2024年2月期 売上高 238億円、営業利益 63.5億円、EPS 134.9円 ce
□2023年8月2Q 売上高 120億円、営業利益 39.0億円、EPS 68.9円 四e
2023年2月期の売上高はYoY+12.7%の223億円、営業利益はYoY▲0.7%の59.4億円となり、3Q時点の増額見通しをやや上回って着地しました。帳票・文書管理のBDS事業(SVF/SPA)が改正電帳法対応・インボイス駆け込みの仮需で膨れ、特に買い切りのライセンス型が高水準で推移したことから同+16.3%と2桁幅で伸長しました。また、データ活用のDE事業についても、主力のMotion Boradで大型案件剥落があったものの、分析ソフトのDr.Sumが好調で同+6.7%となりました。各種KPIについては、ストック比率はライセンス比の上昇で60.2に低下したものの、クラウド成長率は+20.3%、保守継続率は95.6%と良好に推移しました。
進行期である2024年2月期の通期予算については、売上高がYoY+6.5%の238億円、営業利益がYoY+6.8%の63.5億円を見込んでいます。BDS事業については、俗に“2027年問題”と云われるシステム切れを背景に、SVFのライセンス販売が高水準を維持するほか、invoiceAgentも法令改正特需が持続します。他方、DE事業はMotionBoardこそ安定成長を見込むものの、人材不足による新商品投入遅れもあり、モメンタムは横ばい圏となります。利益面については、広告宣伝費・人件費・開発費等の戦略投資(▲17.5億円)を織り込んでおり、実際に採用も進捗していることから、経費予算も消化が見込まれます。
当社は2022年初に開示した中計で、約5年後となる2027年2月期に①クラウド成長率CAGR40%(全社売上高198億円→320億円)、②リカーリング比率75%、③調整後EBITDAを73億円→120億円に引き上げる計画を公表しています。当初3年で戦略投資に55億円(営業人員と広告費:24億円、ブランディング:15億円、開発:12億)を投じるものの、非CAPEXの費用性投資のため、2025年3月期までの3ヵ年は営業利益のベースが年18億円押し下げられます。
中計初年度は電帳法改正とインボイス制度の追い風で計画超過ペースで推移しており、これら法対応の期限にかかる進行期(2024年2月期)も特需継続が見込まれます。BDS事業は、かかる環境背景からSVFの成長を見込むほか、インボイス制度を契機に契約を開始した無償ユーザーが多いinvoiceAgentへの課金化誘導のため、利便性向上のため大手システムベンダーとの協業によりERPやワークフローシステムとの早期連携を推進します。
他方でDE事業については、MotionBoardが所謂“BI”製品であり、時間の限られた法対応ニーズのあるSVF等よりも必需性が少ない状況です。そのため、提案角度を変えた業務用アプリしての提案や、Dataringという裏側のデータマネジメントシステムの提案で分析ニーズの獲得を図り、多くのエンプラ系顧客を押さえる集計ツールのDr.Sumと同様のクロスセルの増大を目指します。
なお株主還元については、上述の戦略投資にともない、2022年2月期の実績配当を向こう3年の下限(年42円60銭)とする方針でした。他方、参照する実績純利益のバーである43.5億円を超過した場合は、配当性向30%目安(実際は33.3%程度)で洗替していることから、このフォーミュラに従って1円90銭増配の年45円配当を見込んでいます。
*参考記事① 2023-01-18 1,913円 OP
【4432】ウイングアーク1st/インボイス・電帳簿等の特需が想定超、一転して均衡圏に回復へ。
*参考記事② 2022-07-08 1,629円 OP
【4432】ウイングアーク1st/先行投資で減益予想、まずはトップライン成長を確認したい。
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