【4432】ウイングアーク1st/インボイス・電帳簿等の特需が想定超、一転して均衡圏に回復へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4432】ウイングアーク1st(東証プライム) OP

現在値 1,913円/100株  P/E 15.7  P/B 1.94 2月・8月配当 株主優待なし

帳票・文書管理ソフトと企業内データ活用支援の2本柱。間接販売が主。MBOで再上場。


配当は2月・8月の年2回、合計42円60銭のため、配当利回りは2.23%となります。
ウイングアーク1stは株主優待制度を導入していません(※再上場前はクオカード優待が存在)。

業績を確認していきます。 当社は2021年のIPO銘柄となります。

■2020年2月期 売上高 186億円、営業利益 56.8億円、EPS 130.7円 

■2021年2月期 売上高 182億円、営業利益 32.0億円、EPS 79.5円  

■2022年2月期 売上高 198億円、営業利益 59.8億円、EPS 132.2円  

■2023年2月期 売上高 220億円、営業利益 56.5億円、EPS 121.8円 ce修正(1/12) 
□2022年8月2Q 売上高 113億円、営業利益 37.2億円、EPS 82.5円  

□2022年11月3Q 売上高 170億円、営業利益 52.3億円、EPS 115.1円(1/12) 

2022年8月中間期の売上高はYoY+17.9%の113億円、営業利益はYoY+27.6%の37.2億円となり、予算比は無いものの2桁の増収増益となりました。帳票・文書管理のBDS事業(SVF/SPA)が改正電帳法関連、インボイス駆け込みなどの追い風で同+19.5%となったほか、データ活用のDE事業も分析ソフトのDr.Sumが好調に推移し、同+15.0%と2桁増となりました。各種KPIについては、ストック比率はライセンス比の上昇で56.8%となり、クラウド成長率は+15.7%、保守継続率は94.9%とまずまずの推移となりました。


2023年2月期の通期見通しは3Q時点で増額しており、売上高はYoY+10.9%の220億円(期予:210億円)、営業利益がYoY▲5.6%の56.5億円(期予:47.5億円)に修正しています。BDS事業については、SVFがオンプレのライセンスを中心に高水準の受注を確保しているほか、上述の法令等改正による強い“追い風”が継続します。DE事業は、MotionBoardの伸びが鈍化していたものの、足許では受注の回復がみられます。他方、利益面については、セミナーや広告宣伝、ブランディング等の戦略投資(▲18億円)により当初2割の減益想定でしたが、想定超のトップライン伸長により、期末までに均衡圏(横ばい)を奪回するものとみられます。

 

当社は2013年にMBOで非公開化した1stHDの再上場案件であり、オリックスやカーライルの所有を経て、2021年の再上場後は伊藤忠とCTCの合弁会社が筆頭株主(22.2%)となっています。インボイス事業で正面から競合するSansan(旧2.3%)はその後の株式売却で大株主から抜けてしまったものの、依然として東芝デジタルS(13.5%)、PKSHA(3.4%)、といった、本邦DX関連でネームが強い株主が大株主に名を連ねています。

 

2022年初に開示した中計では、約5年後の2027年2月期に①クラウド成長率CAGR40%(全社売上高198億円→320億円)、②リカーリング比率75%、③調整後EBITDAを73億円→120億円に引き上げる計画としています。向こう3年で戦略投資に55億円(営業人員と広告費:24億円、ブランディング:15億円、開発:12億)を投じるものの、ソフトウェア等のCAPEXでは無く殆どが費用性投資のため、進行期を含む中計序盤の3ヵ年は営業利益のベースが年18億円押し下げられているような状況です。

 

電帳法改正とインボイス関連の受注や引き合いは足許時点でも非常に強い状況が継続しているため、電帳法宥恕期間内に一気に刈り取る方針であり、「アクセルベタ踏み」の先行投資を進めています。ただ上記法令等改正に限らず大企業のデータ化ニーズは根強く、部門導入からスモールスタートした大企業顧客が多いことから、採用部門の拡大によりARPU(単価)の漸増が確認されるほか、帳票データ管理・活用というリカーリング性が強いモデルのため、法改正によるイニシャルの仮需で数字が大きく崩れる可能性は低いと考えています。

 

なお、株主還元については、2022年2月期の配当を向こう3年の下限としているため、年42円60銭(配当性向34.9%)が据え置かれる見通しです。なお、通常の配当性向は30%基準のため、参照する実績純利益の43.5億円を超えた場合は増配となりますが、株数変動もあることから増配については微妙な状況です。

 

*参考記事① 2022-07-08 1,629円 OP

【4432】ウイングアーク1st/先行投資で減益予想、まずはトップライン成長を確認したい。

 

*参考記事② 2022-01-19 1,562円 BY

【4432】ウイングアーク1st/3度目の正直で再上場、DX潮流と伊藤忠支援も翌期は減益公算か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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