【3003】 ヒューリック/1Qから売却益高水準、新中計経常益1,500億円の達成可視性は高い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック(東証プライム) BY

現在値 1,207円/100株  P/E 10.6  P/B 1.33 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計46円配当のため、配当利回りは約3.81%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待利回りは、約4.63%となります。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約5.46%となります(※いずれも3単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 3,396億円、経常利益 956億円 EPS 95.2円 

■2021年12月期 売上高 4,407億円、経常利益 1,095億円 EPS 101.0円 

■2022年12月期 売上高 5,234億円、経常利益 1,232億円 EPS 104.0円

■2023年12月期 売上高 (非公表)億円、経常利益 1,320億円 EPS 113.7円ce

□2023年3月1Q 売上高 1,125億円、経常利益 317億円 EPS 28.9円(4/27) 

□2023年6月2Q 売上高 2,550億円、経常利益 670億円 EPS 55.9円 四e

 

2022年12月期の売上高はYoY+17.0%の5,234億円、経常利益はYoY+12.4%の1,232億円となり、3Qの落着見通しを上振れ、2桁の増収増益となりました。不動産事業は、傘下公募REITに対して学芸大シニア、私募REITに小舟町・五反田ビル(各90%)を下したほか、池袋東急ハンズや表参道ブルーサンクポイント、大阪駅前第4ビル(区分)、みなとみらいセンタービル等を売却しました。他方、取得についてはブリオーニ銀座ビル、日立ソリューションズタワーのほか、みなとみらい(桜木町駅前)を追加取得して完全所有権化しています。

 

進行期である2023年12月期の予算については、売上高は例年通り非公表としているものの、経常利益はYoY+7.1%の1,320億円を見込んでいます。不動産事業については、1Q時点で公募REITに王子ビル、田園調布シニア、石神井シニアを、私募REITにもビル数棟を拠出したほか、南青山4丁目ビルや新橋相鉄ホテルを相次いで売却しており、引き続き高水準の売却益の計上が見込まれます。また、大手町プレイス取得による賃収増や、ホテル事業も大幅な回復が想定され、実際に4月27日開示の1Qは売上高1,125億円&経常利益317億円と高水準の進捗が確認されます。

 

当社は中計の相次ぐ前倒し達成で都度ローリングをかけており、2020年に策定した3ヵ年中計で2022年12月期に経常利益1,100億円、10年経過後の2029年12月期に同1,800億円を目指す計画としていましたが、手前の3年中計は早々に過達状態となったことから、再度ロールしています。ロール後の目標は2025年12月期に経常利益1,500億円(CAGR9.4%)としており、他KPIとしてネットD/E3.0倍、ROE10%等を定めるほか、10年長計の前倒し達成も視野に入れています。

 

取組事項として①高品質賃貸PF構築、②開発建替推進・出口多様化、③新事業領域強化の3軸を挙げています。①は今次中計期間で26棟の新築の竣工を控えているほか、2025年までに名有り100棟達成(現状84棟)を目指して案件取得を加速する計画です。3年間でネット投資額9,000億円を見込み、日立ソリューションズやトヨタモビリティ東京といったCRE提案への取組を強化するほか、電通本社(3,000億円のうち推計40~50%)、大手町プレイス東棟4,364億円(持分不詳)といった大型・高性能のSクラスビルの取得によりPFの質改善を図ります。

 

②については、みずほ銀行銀座中央支店(銀座一丁目駅直結)の建替や、銀座コア(銀座駅直結)の再開発など銀座エリアに注力するほか、同様に関西のブランド集積竹中工務店・JR西日本・LVMHとのJVで心斎橋プラザビル4棟の一体再開発を推進しています。③の新事業は“3K(観光・高齢者・環境)”を軸に、観光はKPGの観光地高級旅館“ふふ”や都心型の“ザ・ゲートホテル“の全国展開を、高齢者はシニア施設の開発・取得により2025に5,000室体制(現行4,000室)まで拡大させます。このほか、持分法出資会社のリソー教育とともに、こども教育に特化した一貫施設“こどもデパート”を首都圏で20棟展開する計画です。

 

財務面については、2018年に半エクイティの劣後債と劣後ローンのハイブリッドで1,500億円、2020年にも同スキームで2,000億円を調達したほか、2021年にはグローバルPOで約1,000億円弱を調達しています。今次中計期間ではネットD/Eレシオを3.0倍まで許容しているものの、足許のネットD/Eは1.3倍程と余力の大きい状況です。株主還元については、本中計期間より配当性向「40%」から「40%以上」に改定しており、期初予想では4円の増配の46円(配当性向40.4%)を予想しています。


*参考記事① 2022-11-23  1,135円 BY

【3003】 ヒューリック/中計は前倒達成公算、大手町プレイス住商棟を4,000億円超で取得へ。

 

*参考記事② 2022-05-20 1,036円 BY 

【3003】 ヒューリック/東急ハンズ池袋など売却重なり1Q高進捗も、概ね計画線の推移か。

 

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