【3003】 ヒューリック/中計は前倒達成公算、大手町プレイス住商棟を4,000億円超で取得へ。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【3003】 ヒューリック(東証プライム) BY

現在値 1,135円/100株  P/E 11.0  P/B 1.33 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計42円配当のため、配当利回りは約3.67%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待利回りは、約4.58%となります。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約5.46%となります(※いずれも3単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 2,875億円、経常利益 725億円 EPS 75.1円

■2019年12月期 売上高 3,572億円、経常利益 846億円 EPS 88.9円 

■2020年12月期 売上高 3,396億円、経常利益 956億円 EPS 95.2円 

■2021年12月期 売上高 4,407億円、経常利益 1,095億円 EPS 101.0円 

■2022年12月期 売上高 5,300億円、経常利益 1,200億円 EPS 103.1円ce修正

□2022年6月2Q 売上高 2,474億円、経常利益 574億円 EPS 48.5円 

□2022年9月3Q 売上高 3,992億円、経常利益 760億円 EPS 63.9円(10/28)

 

2022年6月中間期の売上高はYoY+12.4%の2,474億円、経常利益はYoY+1.6%の574億円となり、予算比は無いものの増収増益となりました。不動産事業は、傘下公募REITに対して学芸大シニア、私募REITには小舟町・五反田ビル(各90%)を下したほか、池袋東急ハンズや表参道ブルーサンクポイント、リーフみなとみらい等を売却して売却益を積み上げたものの、売却による賃収剥落で賃貸事業は減益となっています。新規物件として、ブリオーニ銀座ビル、日立ソリューションズタワー等を取得したほか、みなとみらいを追加取得して完全所有権化しています。

 

2022年12月期の通期見通しについては3Qで修正しており、非公表だった売上高の落着をYoY+18.5%の5,300億円としたほか、経常利益はYoY+9.5%の1,200億円(期予:1,095億円)に増額しています。不動産事業については、3Qで吉祥寺第二ビル、大阪駅前富士ビル、みなとみらいセンタービルを売却したほか、4Qでも物件売却が一段と進む見通しです。ホテル・旅館の回復が依然小甘いものの、マイナス寄与が縮小しているほか、賃貸事業における全社空室率も0.6%と低い水準を維持しています。

 

当社は中計の相次ぐ前倒し達成で都度ローリングをかけており、長計目標の2023年12月期の目標額(経常利益850億円)も既に達成していることから、2020年2月に新長計・新中計を公表しています。ローリング後の目標値については、3年経過後の2022年12月期に同1,100億円、10年経過後の2029年12月期に同1,800億円を目指す計画としていましたが、手前の3年目標は10月28日開示の直近見通しで100億円程超過達成することが明らかになっています。そのため、会社側では来年2月にも再度ロールした中計を公表する予定です。

 

当社はストック型の賃貸事業を軸とすべく、賃貸事業と開発/売却利益の比率を7:3にシフトさせる方針ですが、その方針とは裏腹に高水準の売却益の計上が続いています。当初3年における投資額は純額ベースで9,700億円を計画しており、実際にティファニー銀座、リクルート銀座8丁目ビルにくわえ、電通本社(3,000億円のうち40~50%と推計)を取得していますが、足許の売却ペースが速く、取得が全く追い付いていないとみられましたが、本年12月に住友商事の入居する大手町プレイス東棟を4,364億円(持分不詳)を取得予定となっています。

 

他方、財務面については、2018年に半エクイティの劣後債と劣後ローンのハイブリッドで1,500億円調達したほか、2020年にも同様に2,000億円を調達しています。本中計・長計期間はネットD/Eレシオを3.0倍まで許容するものの、昨年10月にグローバルPOで約1,000億円弱を調達しており、①建替・開発資金に621億円、②再生可能エネルギーに14億円、③残額を借入等返済に充てる方針としています。本件GPOの取組も寄与し、足許のネットD/Eは1.4倍程まで良化していることから、当面の取得余力はケアされているものと解されます。

 

他方、株主還元については、本中計期間から配当性向40%基準を設定しており、期初予想比では2円の増配となる42.0円(配当性向40.7%)を予想しています。


*参考記事① 2022-05-20 1,036円 BY 

【3003】 ヒューリック/東急ハンズ池袋など売却重なり1Q高進捗も、概ね計画線の推移か。

 

*参考記事② 2021-10-29 1,110円 BY 

【3003】 ヒューリック/GPOで1,000億円弱を調達、新中計も達成蓋然性は高い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ