【4819】デジタルガレージ/Blockstream公正価値洗替で大幅減も、実態はFT中心に堅調 | なちゅの市川綜合研究所

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【4819】デジタルガレージ(東証プライム) OP

現在値  4,125円/100株  P/E--.- P/B 2.34  3月配当 株主優待なし

決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。


配当金(実績)は3月一括配当の37円配当で、配当利回りは約0.90%となります。

デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 収益 369億円、税前利益 100億円 EPS 161.3円 

■2021年3月期 収益 404億円、税前利益 143億円 EPS 212.4円

■2022年3月期 収益 729億円、税前利益 453億円 EPS 654.7円 

■2023年3月期 収益 (未定)億円、税前利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

◆2023年3月期 収益 397億円、税前利益 18.3億円 EPS 38.8円 cos.

□2022年9月2Q 収益 145億円、税前利益▲66.4億円 EPS▲92.2円 

□2022年12月3Q 収益 223億円、税前利益▲118億円 EPS▲168.9円(2/10)  

 

2022年9月中間期の収益はYoY▲63.7%の145億円、税前利益はYoY▲の340億円となり、予算比は無いものの大幅な減収減益となりました。フィナンシャル(FT)事業については、行動制限の解除に伴い得意とする旅行や娯楽関連の決済が増加し、決済取扱高はYoY+20.2%の2.4兆円、取扱件数も同+22.5%の4.6億件と2割増となりました。他方、マーケティング(MT)事業については、金融関連が堅調も、不動産関連の大型案件が剥落し、反落となりました。また、インキュベーション(IT)事業についても、米国Blockstreamの公正価値の洗替効果が大きく影響し、(評価損ではあるものの)セグメント利益は実に164億円もの減益となりました。

 

2023年3月期の通期見通しは非開示となっているものの、コンセンサス上の収益はYoY▲45.5%の397億円、税前利益はYoY▲95.9%の18.3億円程が見込まれています。旅行やEC向けの堅調持続、インバウンドの高額対面決済の復元や各種アライアンス効果発現が継続するFT事業は2割の増収増益が見込まれるほか、カカクコムの20%持分損益を取り込むLTI事業も、外食需要回復で「食べログ」の回復が見込まれます。他方、IT事業は上述のBlockstreamの公正価値洗替影響が大きく、実態堅調ながらも“見かけ上”の全社収益は大きく悪化します。

 

進行期は2025年3月期を最終年度とする5年中計の中間年度であり、計数目標として、MT事業・FT両事業のCAGR20%、LTI事業を同15%、収益性指標としてROE20%を定めています。FT事業は急速な非現金化潮流の進展で向こう5年で取扱高を2.6兆円→10兆円まで急拡大させる計画です。資本提携先であり、POSレジ最大手の東芝テック(6588)と各種QRコード等のマルチ支払ソリューションの提供や、飲食・小売業向けの配達・在庫連携も兼ねたSaaSを開発したほか、JCBとは事業者向け“DGFT請求書カード払い”を開発し、B2C市場の3倍の規模(1,000兆円)のB2B市場開拓を推進します。

 

IT事業はブロックチェーンの汎用化技術に強みを持つ米Blockstream(3.8%)は直近で大幅な評価額減少があったものの、個人資産管理ツール提供の米MX Technologies(3.2%)、食品B2B・B2Cの米GrubMarket(1.8%)等は為替影響もあり、評価額を維持しています。国内pre-IPOはスマートセキュリティのSecual(3.5%)、国内外不動産テックのGOYOH(5.0%)、相続DXのAGE Technologies(12.4%)、工事コスト削減コンサルのTHIRD(13.3%)。他方、BEENOSの大口出資先(同社8.7%)としても知られるインド最大手の自動車マーケットプレイスのDroom(当社2.0%)は上場延期となっています。


株主還元については、今次中計期間においては「税引前事業CFに対する」配当性向を20%と定めています。この修正フォーミュラについては減価償却費こそ配当原資に戻るものの、支払家賃相当額のリース権償却費や、評価益がP/Lに顕在化される投資先の含み益、持分法利益(要はカカクコム)を控除した値に対して20%掛け目となります。配当予想額自体は2月28日に公表されており、2円増配の年37円配当が予想されています。


*参考記事① 2022-09-30  3,360円 OP

【4819】デジタルガレージ/見た目の好調は、為替による海外投資先の評価額洗替効果が大きい。

 

*参考記事② 2022-03-12  3,995円 NT

【4819】デジタルガレージ/米Blockstreamの新ラウンド実施で、評価額だけは急伸。

 

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