【9001】東武鉄道 / 旅行需要の急回復で早くも超過ペース推移、中計達成可視性も高まる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9001】東武鉄道 (東証プライム) OP

 

現在値 3,055円/100株 P/E 25.4  P/B 1.32  3月配当優待 9月優待

 

関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。

配当は3月末・9月末合計年25円配予想のため、配当利回りは約0.74%となります。

 

東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.72%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に変更しています。 

■2020年3月期 売上高 6,538億円、営業利益 626億円、EPS 168円

■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円 

■2022年3月期 売上高 5,060億円、営業利益 247億円、EPS 64.4円 新収益

■2023年3月期 売上高 5,920億円、営業利益 410億円、EPS 111.6円 ce修正(11/2)

□2022年9月2Q 売上高 2,854億円、営業利益 240億円、EPS 62.4円

□2022年12月3Q 売上高 4,473億円、営業利益 454億円、EPS 135.5円(2/8) 

 

2022年9月中間期の売上高はYoY+22.1%の2,854億円、営業利益はYoY*3.6倍の240億円となり、対前・対計画で大幅増となりました。主力の運輸事業の予算前提はFY2019比で定期82%&定期外同87%としていたものの、概ね計画線を確保しました。レジャー事業については、CY銀座、AC銀座、錦糸町の各ホテルは計画割れとなったものの、東武成田は稼働率が93%台まで回復し、スカイツリー入場者数が112万人(計画93万人)に上振れ、旅行業も大幅増となりました。不動産事業は、草加の分譲マンションや清水公園の戸建分譲があったものの、前年上期の大型案件剥落で計画通りながらも大幅減益となりました。

 

2023年3月期通期見通しは中間時点で増額しており、売上高YoY+17.0%の5,920億円(期予:5,580億円)、営業利益YoY+65.8%の410億円(期予:330億円)に修正しています。3Q終了時点の運輸事業は、定期YoY105%&定期外114%で推移しており、外出・旅行需要の回復で定期外が特に上伸しています。また、インバウンド受入再開や全国旅行支援開始もあり、下期からスカイツリー入場者数やホテル稼働率が顕著に増加しており、連れて旅行業も大きく回復しています。そのため2月8日開示済の3Qについては、売上高4,473億円&営業益454億円と早くも増額後の通期見通しを超過している状況です。

 

当社は向こう3ヵ年については“事業構造改革期”として中計を策定せず、経常利益確保と有利子負債の削減を経営の主要課題に挙げています。一応の参考計数として、2025年3月期までに売上高5,060億円→6,042億円、経常利益274億円→500億円まで引き上げる目標感を示しています。計数諸元は運輸事業が平時の9割水準、ホテルは同完全復元、スカイツリーは同8割、百貨店は同9割となっていますが、旅行需要等の急回復で足許の営業利益が既に500億円を睨む水準まで急回復しているため、達成可視性が高くなっています。

 

取組事項としては、①事業構造改革(コスト削減)、②新ビジネスモデル構築、③社会課題解決型収益拡大の3点が掲げられています。①はワンマン運転拡大や、大師線の無人運転化、“Remote”という省エネ・省人化システムといったICT活用によるコスト削減により損分点(固定費8割→7割)の引き下げを図ります。同様にレジャー事業についても、ホテルの宴会・婚礼部門の統合や、婚礼営業部門廃止、料飲部門効率化とマルチタスク化で人件費を削減(損分点▲15%引き下げ)するとともに、スカイツリーもQRコードや券売機の導入等によりコスト削減を図ります。

 

②の新モデルについては、顧客情報を自社ポイント制度に集約し、2025年3月までにハウスアプリ会員50万人獲得を目指し、これらデータ基盤の活用によりデジタル関連売上高400億円を計画しています。また、新型スペーシアの導入(2023年)や、SL投入増による鬼怒川路線の観光路線化、日光・川越・浅草~スカイツリーMaaSといった取組により、沿線観光資源のマネタイズを強化するほか、池袋・獨協大学・南栗橋・有明・日本橋での不動産(再)開発を推進し、鉄道外収入の底上げを図ります。

 

財務状況については、自己資本比率は28.4%と引き続き回復していますが、中期的には池袋駅西口の再開発でも莫大な資金需要が見込まれるため、スカイツリー開発時以来の公募増資可能性を孕んでいます。なお配当については、ここ2年間は従来の半分の年20円配を実施していましたが、進行期は5円増配の年25円配を予想しているほか、早々に年40円配の復元意向を示しています。

 

*参考記事①  2022-09-16  3,375円 NT

【9001】東武鉄道/インバウンド復活で定期外収入増加期待、1Q順調進捗で上振れか。

 

*参考記事②  2022-02-15 2,927円 NT 

【9001】東武鉄道/3Q持ち直しで減額予算を再増額、当初予算水準を奪回か。

 

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