【4819】デジタルガレージ/米Blockstreamの新ラウンド実施で、評価額だけは急伸。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4819】デジタルガレージ(東証一部) NT

現在値 3,995円/100株  P/E--.-  P/B 2.21  3月配当 株主優待なし

決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。


配当金は3月一括配当の35円配当で、配当利回りは約0.88%となります。

デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。2019年3月期よりIFRSに変更しています。

■2019年3月期 収益 356億円、税前利益 134億円 EPS 210.2円 

■2020年3月期 収益 369億円、税前利益 100億円 EPS 161.3円 

■2021年3月期 収益 404億円、税前利益 143億円 EPS 212.4円

■2022年3月期 収益(未定)億円、税前利益 (未定)億円 EPS(未定)円 ce

◆2022年3月期 収益 648億円、税前利益 362億円 EPS 487.3円 cos.
□2021年9月2Q 収益 401億円、税前利益 274億円 EPS 401.2円  

□2021年12月3Q 収益 528億円、税前利益 336億円 EPS 494.4円(2/10)

 

2021年9月中間期の収益はYoY2.1倍の401億円、税前利益はYoY4.5倍の274億円となり、予算比は無いものの大幅な増収増益となりました。フィナンシャル(FT)事業については、EC向けの順調な伸長にくわえ、飲食向けモバイルオーダーの増加により決済取扱高はYoY+18%の1.6兆円、取扱件数も同+12%の3.4億件に好伸し、マーケティング(MT)事業も受託開発減少で減収したものの増益を確保しています。他方、インキュベーション(IT)事業については、米国Blockstreamが8月のシリーズBラウンドで2.1億ドルもの資金調達をしたことから公正価値が大きく引き上がり、(評価益ではあるものの)セグメント利益は3倍の155億円を叩き出しています。

 

2022年3月期の通期見通しについては例年通り非開示となっているものの、コンセンサスでは収益はYoY+60.1%の648億円、税前利益はYoY2.5倍の362億円程が観測されています。受託業種の見直しを進めるMT事業のみ横ばいに留まる公算であるものの、インバウンドの高額対面決済が剥落状態にあるFT事業については、旅行周りの回復やEC市場の拡大で2桁の成長が継続します。他方、LTI事業で20%の持分損益を取り込むカカクコムも「食べログ」が復調気配であるほか、IT事業も公正価値上昇と一部Exitにより大増益が確実なため、通期業績はトップライン段階から6割を超える成長となる見込みです。

 

今期は2025年3月期を最終年度とする5年中計の2年度目であり、業績目標としてMT事業・FT両事業のCAGRを20%、LTI事業を同15%、収益性指標としてROE20%を定めています。FT事業は、国策と新型肺炎禍による急速な非現金潮流に乗って、向こう5年で取扱高を2.6兆円→10兆円まで引き上げる計画です。また本年1月にはPOSレジ大手の東芝テック(6588)と資本業務提携に踏み切っており、当社が自社株処分により2%分の持分を同社に売り出して46億円を調達する一方、そのうち37億円を同社株取得に投じて“持ち合い”ます。早速この3月には飲食・小売業向けに、現場でのデリバリー差配や在庫連携が出来るようなSaaSを開発し、リリースしています。

 

IT事業については、ブロックチェーンの汎用化技術に特色を持つ米Blockstreamの最新ラウンドが牽引する形で、公正価値がYoY+41%の667億円まで急速に膨らんでいます。国内IPO予備軍としては、スマートセキュリティのSecual(3.5%)、国内外不動産テックサービスのGOYOH(5.0%)等が控えるほか、アジア圏ではインド最大手の自動車マーケットプレイスのDroom(2.0%)が既に上場申請済となっています。ただ足許においては、Tech企業の株価バリュエーションが大変出にくくなっているので、評価額洗替による公正価値の減少や、数字に表れない実態ベース(持分を実際にExitした場合)では価値が下落する可能性がありそうです。


株主還元については、今次中計では「税引前事業CFに対する」配当性向を20%を定めています。税引前のため一見すると還元強化にも見えますが、減価償却費こそ戻るものの、支払家賃相当額のリース権償却費や、評価益がP/Lに顕在化される投資先の含み益、持分法利益(要はカカクコム)を全て控除した修正値に対して20%となるため、キャッシュインが実現する当社持分の売り出しを伴うIPO等が無い限り、大幅な増配は期待薄とみられます。


*参考記事① 2021-09-04  4,995円 NT

【4819】デジタルガレージ/旧上場のベリトランスとイーコンテクストを統合、一段と金融色強く。

 

*参考記事② 2021-02-20 4,335円 NT

【4819】デジタルガレージ/カカクコム逆風も、グッドパッチやQDレーザ上場益で底上げ。

 

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