【4819】デジタルガレージ(東証一部) NT
現在値 4,995円/100株 P/E--.- P/B3.60 3月配当 株主優待なし
決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。
配当金(実績)は3月一括配当の32円配当で、配当利回りは約0.64%となります。デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。2019年3月期よりIFRSに変更しています。
■2019年3月期 収益 356億円、税前利益 134億円 EPS 210.2円
■2020年3月期 収益 369億円、税前利益 100億円 EPS 161.3円
■2021年3月期 収益 404億円、税前利益 143億円 EPS 212.4円
■2021年3月期 収益(未定)億円、税前利益 (未定)億円 EPS 194.7円 ce
◆2022年3月期 収益 405億円、税前利益 130億円 EPS(未定)円 cos.
□2021年6月1Q 収益 108億円、税前利益 48.7億円 EPS 72.5円(8/13)
□2021年9月2Q 収益 220億円、税前利益 73.0億円 EPS 104.2円 四e
2021年3月期通期の収益は前期比9.6%増の404億円、税前利益は同43.1%増の143億円となり、開示予算との比較は無いものの大幅な増収増益となりました。マーケティング(MT)事業は金融・通信向けのデジタルアドが堅調だったものの、新型肺炎禍で不動産・小売向けが低調となり、リストラ費計上で大幅減益となりました。一方、フィナンシャル(FT)については、巣ごもり需要によるEC市場成長により、決済取扱高が前期比18%増の3.1兆円、取扱件数も同35%増の6.6億件となり、前期並みを確保しました。他方、インキュベーション(IT)事業については、グッドパッチ(7351)、スタメン(4019)、QDレーザ(6613)合計3社の国内IPO‐Exitがあったほか、欧米・アジアの公正評価額増加により投資残高はこの1年で3割増の472億円にまで上伸し、セグメント利益は3倍の103億円を叩き出し、全社業績を大きく牽引しました。
2022年3月期の通期予算に関しては例年通り非開示となっているものの、コンセンサスでは収益は微増の405億円、税前利益は同9.1%減の130億円が観測されています。MT事業は新型肺炎禍で不動産関連が引き続き弱いものの、好調な通信・金融のデジタルアドの堅調推移が見込まれます。FT事業もインバウンドの高額対面決済が剥落しているものの、好調なEC周りのB2Cで押し上げるほか、LTIで20%の持分損益を取り込むカカクコム“食べログ”も最悪期を脱します。IT事業についても、好調なテック系企業の株価パフォーマンスに支えられる格好で公正評価額の続伸が見込まれます。
進行期は2025年3月期を最終年度とする5年中計の2年度目であり、業績目標としてMT事業・FT両事業のCAGRを20%、LTI事業を同15%、収益性指標としてROE20%を定めています。FT事業については、国策や新型肺炎による急速な非現金化の潮流に乗り、傘下の決済大手2社(ベリトランス、eコンテクスト)の“地すべり”的な成長が期待され、向こう5年で取扱高を2.6兆円→10兆円まで飛躍的に引き上げる計画であるほか、この4月には旧ヘラクレス上場のベリトランスと、旧香港上場のイーコンテクストをDGFT社として統合し、グループ全体がFT事業を中核とした成長を目指す方針としています。MT事業もFT事業の加速度的な成長による案件派生のほか、電通やCCI、ADKと合弁による傘下データサイエンス会社活用による収益強化と顧客基盤拡大を図る方針です。
他方IT事業については、北米・アジア・日本を中心に472億円の投資残高を確保しているほか、新型肺炎禍で株式市場が堅調に推移しているほか、スタートアップの資金調達環境が良好で資金流入が継続していることから、当面は漸増基調の継続がも目されます。国内IPO予備軍としてエッジAIのIdien(2.6%)、住宅ローンテックiYell、VRプラットフォームのPsychic VR Lab(1.6%)等が控えています。またアジア圏ではベトナムのマーケットプレイスSendo(12.7%)、インド最大手の自動車マーケットプレイスDroom(3.2%)といった有力企業への投資実行する一方で、北米では衣料品リサイクルのTHIRDUP(0.6%)、暗号通貨のCoinbase(0.04%)がIPOするなど、Exitも順調に進んでいます。
株主還元に関しては、従来中計では配当性向20%基準を定めていましたが、今次中計では「税引前事業CFに対する」配当性向を20%を定めています。税引前のため一見すると還元強化にも見えますが、減価償却費こそ戻るものの、支払家賃相当額のリース権償却費や、評価益がP/Lに顕在化されてしまう投資先の含み益、持分法利益(要はカカクコム)は全て控除された上での20%となるので、お世辞にも高い水準とは言えません。そのため、IPOの大型Exit等本当にキャッシュの入る投資利益が無い限りは大した増配は期待できないと考えます。
*参考記事① 2021-02-20 4,335円 NT
【4819】デジタルガレージ/カカクコム逆風も、グッドパッチやQDレーザ上場益で底上げ。
*参考記事② 2020-08-20 3,505円 NT
【4819】デジタルガレージ/電子決済事業は順調成長も、“食べログ”のカカクコムが痛打。
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