【4819】デジタルガレージ/カカクコム逆風も、グッドパッチやQDレーザ上場益で底上げ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4819】デジタルガレージ(東証一部) NT

現在値 4,335円/100株  P/E--.-  P/B3.42  3月配当 株主優待なし

決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。
配当金(実績)は3月一括配当の38円配当で、配当利回りは約0.87%となります。デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。2019年3月期よりIFRSに変更しています。

■2018年3月期 収益 255億円、税前利益 83.7億円 EPS 135.9円  

■2019年3月期 収益 356億円、税前利益 134億円 EPS 210.2円 

■2020年3月期 収益 369億円、税前利益 100億円 EPS 161.3円 

■2021年3月期 収益(未定)億円、税前利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

◆2021年3月期 収益 375億円、税前利益 95.1億円 EPS 138.7円 cos.

□2020年9月2Q 収益 192億円、税前利益 60.3億円 EPS 86.9円
□2020年12月3Q 収益 287億円、税前利益 93.6億円 EPS 136.6円(2/10) 

 

2020年9月中間期の収益は前年同期比1.7%減の192億円、税前利益は同17.6%減の60.3億円となり、開示されている予算との比較は無いものの減収減益となりました。マーケティング(MT)事業については主力のデジタルアドこそ堅調だったものの、新型肺炎禍で不動産業・小売業向けの取扱が減少したため当該セグメントは大幅減益となりました。一方、フィナンシャル(FT)については、巣ごもり需要でブーストされたEC業界の市場成長もあり、決済取扱高は前期比20%増の1.4兆円、取扱件数も同35%増の3.3億件となり、前年並みの利益を確保しました。また、インキュベーション(IT)事業についても、6月上場のグッドパッチ(7351)の一部売出しがあったほか、欧米・アジアの公正評価額増加により投資残高は半年前より1割強増え、406億円にまで上伸しました。

 

2021年3月期の通期予算に関しては例年通り非開示となっているものの、コンセンサスでは収益は1.6%増の375億円、税前利益は同4.9%減の95.1億円が観測されています。然しながら、2月10日開示の3Qでは税前利益は既に93.6億円に達していることから、増益着地に期待のかかる状況です。MT事業は新型肺炎禍で、不動産関連広告や持分法のサイバー・バズのインフルエンサーマーケが低調に推移しているほか、FT事業も旅行やインバウンドの高額決済の剥落を受けており、決済件数自体は増加しているものの利益としては横ばい圏となります。また、LTIで20%の持分損益を取り込むカカクコム“食べログ”も大逆風の状況で、利益寄与は殆どありません。それでも全社で増益が視野に入るのは、前期のパルコへの本社移転費用(10億円)が剥落することや、IT事業のイグジットが相次いでおり、スタメン(4019)、QDレーザ(6613)といった銘柄の売却益が押し上げる見通しです。

 

当社は新型肺炎禍であるにも拘らず、今期より新5年中計を定めており、業績目標としてMT事業・FT両事業のCAGRを20%、LTI事業を同15%、収益性指標としてROE20%を定めています。FT事業については、国策や新型肺炎により急速なキャッシュレス化の潮流に乗り、傘下の決済大手2社(ベリトランス、eコンテクスト)の“地すべり”的な成長が期待され、向こう5年で取扱高を2.6兆円→10兆円に引き上げる計画であるほか、MT事業もFT事業の加速度的な成長による恩恵を受けつつ、電通やCCI、ADKと合弁による傘下データサイエンス会社(BI.Garage)の活用による収益強化と顧客基盤拡大を図る方針です。

 

IT事業については、北米・アジア・日本を中心に438億円の投資残高を確保しているほか、新型肺炎禍でスタートアップの資金調達環境が良好で資金流入が継続していることから、順調な評価額の積み上がりが期待されます。今期は国内で上記3社のIPOを果たしたほか、国内IPO予備軍としてエッジAIのIdien、住宅ローンテックiYell、VRプラットフォームのPsychic VR Lab等が控えています。このほかアジア圏ではベトナムのマーケットプレイスSendo、インド最大手の自動車マーケットプレイスDroomといった有力企業への投資実行する一方で、足許では横浜銀行と神奈川県ご当地ファンドを立ち上げるなど、かなりウイングを広げた投資を行っています。


株主還元に関しては、従来中計では配当性向20%基準を定めていましたが、今次中計では「税引前事業CFに対する」配当性向を20%を新たに定めています。税引前のため一見すると還元強化にも見えますが、減価償却費こそ戻るものの、支払家賃相当額のリース権償却費や、評価益が勝手に顕在化されてしまう投資先の含み益、持分法利益(要はカカクコム)は全て控除された上での20%となるので、一概にそうとも言い切れない部分があります。特に今期は堅調な各国株主市場の恩恵を受けて投資先の評価益が膨らんでいるので、目下の業績は堅調でも記念配込の年38円からは減配される可能性も燻ります。

 

*参考記事① 2020-08-20  3,505円 NT

【4819】デジタルガレージ/電子決済事業は順調成長も、“食べログ”のカカクコムが痛打。

 

*参考記事② 2020-03-03 3,520円 NT

【4819】デジタルガレージ/決済事業は順調成長も、投資案件のExit物足りぬ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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