【4819】デジタルガレージ(東証一部) NT
現在値 3,520円/100株 PER--.- PBR2.98 3月配当 株主優待なし
決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。
配当金は3月一括配当の38円配当で、配当利回りは約1.08%となります。デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。2019年3月期よりIFRSに変更しています。
■2016年6月期 売上高 437億円、税前利益 61.9億円 EPS 109.8円
■2017年3月変 売上高 484億円、税前利益 36.7億円 EPS 91.1円
■2018年3月期 収益 255億円、税前利益 83.7億円 EPS 135.9円 IFRS
■2019年3月期 収益 356億円、税前利益 134億円 EPS 210.2円 IFRS
◆2020年3月期 収益 373億円、税前利益 111億円 EPS 173.0円 IFRS cos.
□2020年9月2Q 収益 195億円、税前利益 73.2億円 EPS 114.6円
□2020年12月3Q 収益 286億円、税前利益 103億円 EPS 163.6円(2/10)
2019年9月中間期は収益は前年同期比7.5%増の195億円、税前利益は同1.0減の73.2億円となり、開示されている予算との比較は無いものの増収減益となりました。マーケティング(MT)事業において、フィナンシャル(FT)事業との協業による決済アプリ開発やモール事業が引き続き好調に推移したほか、持分法のサイバー・バズ(7069)のインフルエンサー分野も伸長しました。また、フィナンシャル(FT)についても、決済取扱高が前年同期比21%増の1.2兆円、取扱件数も同20%増の2.2億件となり、これら主要2事業は2割を超えるセグメント増益を果たしました。その一方、インキュベーション(IT)事業における保有株式の公正価値評価益(為替非考慮)自体は同2.2倍の41億円へ伸長したものの、円高による為替差損と大型案件剥落によりIT事業は2割を超えるセグメント減益となり、全社業績は微減益での落着となりました。
なお2020年3月期通期予算に関しては会社公表予算がないものの、コンセンサスとの比較によれば、収益は前期比4.7%増の373億円、税前利益は同17.2%減の111億円水準が予想されています。MT事業については、クレジット会社向けのポイントマーケティングや、各種パフォーマンスアド、SNSマーケティングが好調に推移しているほか、FT事業についても傘下の決済大手2社が決済手法の多様化とインバウンド等の取り込みにより順調に取扱高を増やしており、2月10日に開示済の3Q決算においても順調な業績進捗が確認出来ます。然しながら、IT事業については投資資産残高自体は前期末比32%増の351億円まで積み上げているものの、米ドルベースの案件が多く、為替影響が響いて依然減益ペースで進捗しています。ただ、残るLTI事業についても持分法のカカクコムが底堅く推移していることから、4Q単独期間にIT事業の案件計上等がなくとも、全社業績としてはコンセンサスを手堅くクリアしてくるものとみられます。
今期は2020年3月期を最終年度とする中期3年計画の最終年度となっており、3年間におけるMT・FT両事業の売上高CAGR15%、ROE20%、配当性向20%などの定量目標を設定しています。事業別施策については、MT事業におけるAI活用によるデータマーケティングの強化と、電通・CCI連合とADKとの合弁会社でデータサイエンス事業を手掛けるBI.GARAGE社の商品拡充とクライアント拡大、決済絡みのFT事業やカカクコムの属するLTI事業との横断的な取り組み強化を図ります。また、FT事業については、傘下の決済大手2社であるベリトランス・イーコンテクストを軸に、POS首位の東芝テックと協業でマルチ決済手法の提供を開始したり、自前でもとd払いやLINE PAY、ALIPAY、WeChatPayなど複数の決済手法を共通QRコードで支払う「クラウドペイ」をローンチしており、乱立傾向にあるQRコード決済の一元化サービス獲得を狙います。
一方、IT事業についてはは新クライテリア設定による新分野投資と時間軸の再設定に取り組む方針となっており、具体的な案件としては、ベトナム最大級のECサイト・電子ウォレットサービスであるSendoやインド最大手の自動車売買オンライン市場Droom、日本の先進的車椅子会社WHILLなどに出資しており、(為替影響を無視したとするならば)順調な投資残高の積み上がりが確認されます。セグメント変更やIFRSへの移行などもあり、中計進捗の実態を捉えるのが難しいものの、MT・FTの両事業は概ね順調な成長が確認できるため、最後の出来上がりはこのIT事業の投資案件次第という感じですが、昨年9月に上場させたサイバーバスも持分法会社としてMT事業でキープしていることなどもあり、特筆すべき成果までは期待出来ないものと考えています。
なお株主還元に関しては、中計では配当性向20%基準を定めていますが、去る2月21日に未定としていた今期配当を開示しており、25周年記念配当の10円を加えた38円配当を予定しています。同中計では別途ROE20%も定めていますが、足許のROEは21%を超える水準まで切り上がってしまっているので、追加の自社株買い等については無いものと思われます。
*参考記事① 2018-01-08 3,080円 NT
本業順調も投資先のIPOが待たれる、デジタルガレージ(4819)。
*参考記事② 2017-04-19 2,332円 OP
全セグメントで躍進、収益盤石化進む・デジタルガレージ(4819)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
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