本業順調も投資先のIPOが待たれる、デジタルガレージ(4819)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4819】デジタルガレージ(東証一部) --

現在値 3,080円/100株 PER26.3 PBR4.13 3月配当 株主優待なし

決済事業、広告、ベンチャー投資など多角展開。持分にカカクコム。
配当金は3月一括配当の24円で、配当利回りは約0.78%となります。
デジタルガレージは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。
■2014年6月期 売上高 337億円、経常利益 44.4億円 EPS 60.7円
■2015年6月期 売上高 380億円、経常利益 76.1億円 EPS 108.1円  
■2016年6月期 売上高 437億円、経常利益 61.9億円 EPS 109.8円
■2017年3月変 売上高 364億円、税前利益 58.2億円 EPS 91.3円  

■2018年3月期 売上高 585億円、税前利益 80.0億円 EPS 116.5円 ce 
□2017年9月中 売上高 287億円、税前利益 34.9億円 EPS 52.9円(11/10) 

 

2017年9月中間期の売上高は前年同期比20.6%増の287億円、税前利益は

同25.7%減の34.9億円と増収減益となりました。マーケティング(MT)における

エンタメ・ゲーム関連のパフォーマンスアドの拡大により、3割程の大増収を

確保したほか、フィナンシャル(FT)も取扱高成長率がEC市場の成長率(9.9%)

を超えて2桁の伸びを確保しました。一方、インキュベーション(IT)については

前年の印大手決済会社/Citrusの株式売却益が剥落したほか、変則決算対

応でカカクコム(2371)の持分取込が薄くなり、全社合計では減益となりました。
 

2018年3月期通期予算に関しては、売上高は前期(※9ヶ月変則決算のため、

比較において12ヶ月に換算した理論値を採用)比21%増の585億円、税前利益

は同19%増となる80億円の期初予想を据え置いています。MTではFacebook等

のソーシャル向け広告が拡大しているほか、FTにおいてはC2C決済や各業種

における非EC決済が軒並み拡大しているため、この2事業は順調な業績進捗

が期待されます。しかしながら、中間時点の利益予想進捗率は44%に留まって

いるため、下期のITで売却益が実現出来るか否かが予算達成の鍵となります。


今期は2020年3月期を最終年度とする中期3箇年計画の初年度となっており、

向こう3年間において、MT・FT両事業の売上高CAGR15%、ROE20%、配当性向

を20%とするなど、各種の定量目標を設定しております。事業別施策としては、

MTはAI活用によるデータマーケティング注力、FTはAI/ブロックチェーン活用に

よるFintech推進、ITは新クライテリア設定による新分野投資と時間軸の再設定

にそれぞれ取り組む方針です。また横断的な取り組みとして、クレディセゾンや

カカクコムとの協業による「DG Lab」への注力や、大和証券と設定した同ファンド

への出資により、新事業の創出を目指していく方針です。

基本的にMTについてはカカクコムやTwitter絡み、大株主でもある電通からの

サポートが継続的に期待出来るほか、FTについては既に両社とも非上場化を

済ませているベリトランスやイー・コンテクストが、依然成長を続けるEC市場に

おいて平均を上回るピッチで成長しているため、会社側が目論むような水準感

での成長は可能であると判断しています。そこで鍵となるのはやはりITであり、

投資残高は直近で131億円と順調に積み上がっているものの、当社の投資先

は小粒かつアーリーステージのものが多いため、いつ・どの位モノになる案件

なのかが不明です。国内のIPOも14年のクラウドワークスや、15年のアイリッジ

以降は音沙汰無しなので、そろそろ“名有り”となる案件が欲しいところです。


ちなみに株主還元に関しては、配当性向20%基準に則り、4円増配の通期24円

配当を見込んでいます。恵比寿からの本社移転が囁かれている状況であり、

引越資金も要るので今期の配当に関してはそんなものかと思いますが、別途

中計においてROE20%(足許では13.5%程度)を設定しているため、株価水準に

よっては自社株買いをする用意があるのかもしれません。

*参考記事① 2017-04-19 2,332円 ---

全セグメントで躍進、収益盤石化進む・デジタルガレージ(4819)。

*参考記事② 2016-10-15 1,960円 ---
子のカカクコムに合わせて3月決算に移行、デジタルガレージ(4819)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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