【8354】ふくおかフィナンシャルグループ/外債含み損を一掃で下方修正、福岡中央銀行と経営統合。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8354】ふくおかフィナンシャルグループ(東証プライム) OP

現在値 3,015円/100株  P/E 18.6 P/B 0.63  3月配当株主優待 9月配当 

傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位。

配当は年2回・合計105円のため、配当利回りは約3.48%となります。
 

ふくおかフィナンシャルグループは株主優待制度を導入しており、200株以上保有の1年以上株主に対して、預金金利上乗せやポイント進呈等の各種サービスクーポンを進呈しています。
 

業績を確認していきます。

■2020年3月期 経常収益 2,831億円、最終利益 1,106億円 EPS 581.8円 

■2021年3月期 経常収益 2,747億円、最終利益 446億円 EPS 234.9円

■2022年3月期 経常収益 2,804億円、最終利益 541億円 EPS 284.6円

■2023年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 305億円 EPS 162.0円ce修正

□2022年9月2Q 経常収益 1,540億円、最終利益 307億円 EPS 163.0円

□2022年12月3Q 経常収益 2,482億円、最終利益 326億円 EPS 173.3円(1/31) 


2022年9月中間期の経常収益はYoY+10.3%の1,540億円、最終利益はYoY+10.1%の307億円で着地し、中間予想比でやや上振れました。大企業向け貸出減少も、堅調な中小企業向けで打ち返し、末残はYoY+1.4%の14兆6,294億円に増加しました(貸出金利回りはYoY▲2.0bp.の1.00%)。利益面については、みんなの銀行で▲34億円の赤字を計上したほか、外債売却損があったものの、与信費用がYoY+2億円の5億円と低水準で推移したことから増益確保となりました。


2023年3月期の通期見通しは3Q時点で減額しており、最終利益はYoY▲43.6%の305億円(期予:570億円)に修正しています。予算上の計数諸元は、末残YoY+0.7%の14兆6,130億円、貸出金利回りYoY▲2.3bp.の0.99%、与信費用は60億円(4bp)で組んでいますが、3Q残高の伸びが高く、利回りも既に底這いに転じているため余裕含みとなります。他方、投資先行のみんなの銀行は通期で▲76億円の赤字計上を見込むほか、大幅な含み損状態にある外債のロスカットを3Q時点から進めており、通期でおよそ▲380億円分の損失を織り込みます。

 

進行期を初年度とする3ヵ年中計では、最終年度の2025年3月期迄に最終利益を541億円→650億円に引き上げるほか、ROE6%維持、OHR64.6%→60%への改善を目標としています。計数的には無理がないとみられるものの、出来上がりの数字はみんなの銀行への先行投資の多寡と、金利上昇による外債の損出しの如何が“変数”となりますが、外債損出しの方は足許で一掃しつつあるため、(逆ザヤの程度が限られる国債の含み損を一旦度外視すれば、)変数が一つ減ったことになります。

 

取組事項は、①第二次業務改革、②営業改革、③戦略子会社強化、④新事業挑戦を挙げています。①と②は所謂DXであり、アプリや店頭タブレット導入、法人ポータルサイト構築を進めるとともに、十八親和銀行との統合による支店合理化で業務負荷半減(人員換算▲250名)を図ります。③は傘下のCVCを活用した創業・ベンチャー支援、人材紹介、事業承継・ビジネスマッチングを強化するほか、旧・十八総合リースを東京センチュリーとの合弁に改組し、先進的取組の強化と福岡地域への本格進出を図る計画です。

 

④はアクセンチュアと共同開発したネット銀行である“みんなの銀行”への投資を一層推進します。向こう3年で190万口座&預金残高1,800億円へと飛躍的に積み上げる意欲的な目標となっていますが、現状45万口座&預金残高177億円に留まっており、積極的なマーケティング投資とは裏腹に極めてスローな成長となっています。また、これら取組以外では昨年11月に福岡の第二地銀であり、かねてからの親密行である福岡中央銀行(福証;8540)との経営統合を公表していますが、企業規模があまりにも違うため影響は軽微です。

 

株主還元については、配当性向を35%基準に引き上げたこともあり、進行期は10円の増配となる年105円配を予定しています。なお、足許の外債含み損の吐き出しで、配当性向は一時的に65%にまでハネ上がるものの、期初の配当予想を据え置いています。

 

*参考記事① 2022-09-09 2,417円 OP

【8354】ふくおかFG/投資先行のみんなの銀行はBaaS進出へ、外債含み損が気掛かり。

 

*参考記事② 2022-03-14 2,243円 OP

【8354】ふくおかFG/アクセンチュア開発の「みんなの銀行」は低調だが、与信費用は低水準。

 

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