【8354】ふくおかFG/アクセンチュア開発の「みんなの銀行」は低調だが、与信費用は低水準。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8354】ふくおかフィナンシャルグループ(東証一部) OP

現在値 2,243円/100株  P/E 8.04 P/B 0.44  3月配当株主優待 9月配当 

傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位。

配当は年2回・合計95円のため、配当利回りは約4.24%となります。
 

ふくおかフィナンシャルグループは株主優待制度を導入しており、200株以上保有の1年以上株主に対して、預金金利上乗せやポイント進呈等の各種サービスクーポンを進呈しています。
 

業績を確認していきます。

■2019年3月期 経常収益 2,461億円、最終利益 516億円 EPS 300.7円

■2020年3月期 経常収益 2,831億円、最終利益 1,106億円 EPS 581.8円 

■2021年3月期 経常収益 2,747億円、最終利益 446億円 EPS 234.9円

■2022年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 530億円 EPS 278.8円 ce

□2021年9月2Q 経常収益 1,396億円、最終利益 279億円 EPS 147.0円 

□2021年12月3Q 経常収益 2,125億円、最終利益 441億円 EPS 232.8円(2/4)


2021年9月中間期の経常収益はYoY▲1.3%の1,396億円、最終利益はYoY+6.4%の279億円となり、対予算でも上振れました。引き続き新型肺炎禍関連の貸出が牽引する格好でボリュームが増加し、末残はYoY+4.1%の14兆5,227億円と順調に増加しました。他方、貸出金利回りはYoY▲4bp.の1.01%に続落しており、利回り減を数量増で埋めた格好となります。原価面については、与信費用の上期実績はYoY+74億円の3億円となったものの、前年同期の一過性戻り益影響のため実質は低水準で推移しています。


2022年3月期の通期見通しは中間時点で微増額しており、トップライン未公表であるものの、最終利益はYoY+18.7%の530億円(期予:500億円)に修正しています。期を通じて58億円(4bp)と他行比で低めの与信費用ではあるものの、既開示の3Q時点では9億円のため想定以下となる見込みです。また、好調な投信販売による役務利益の増加や、十八親和銀行の統合による経費節減効果発現もあり、先行投資の続くみんなの銀行の赤字を吸収して、上振れ着地となる公算が高そうです。

 

進行期は第6次中計の最終年度となっており、この3ヵ年で最終利益を559億円→575億円に引き上げるほか、ROEは6%を維持し、OHRは64%→60%へと引き下げる目標としています。取組事項は①業務プロセス再構築、②事業モデル高度化、③DX推進が挙げられており、例えば①や③については、店舗でのタブレット活用や投信・保険取引の電子化、RPA・AI-OCRの活用等といった所謂DX対応による省力化となっています。②については、傘下のCVCを活用した創業・ベンチャー支援、人材紹介、事業承継・M&Aやビジネスマッチングの強化等により、役務利益の積み上げを図ります。

 

当社(ここでは福岡銀行)は2019年4月の十八銀行との経営統合後から整理を進め、2020年半ばにシステム統合を実施し、更に十八親和銀行の事務・システム統合まで既に完了しています。統合シナジーと業務改革により、1,800名分の人員捻出と60億円のコスト削減効果が実現しており、実店舗ベースでは38店の統合が完了しています。他方、アクセンチュアと開発して、2021年4月にサービスを開始した「みんなの銀行」は、Google Cloud上に勘定系システムを持つ画期的なデジタル銀行ですが、初年度口座獲得40万件目標に対して、足許17万件に留まっており、年間50億円程の赤字を垂れ流すなど苦戦を強いられています。

 

なお株主還元については、今次中計で配当性向を30%→35%基準に引き上げており、今期は10円増配となる年95円配当を予定しています。なお、純利益550億円からは所定の配当テーブルが切上がって年105円配当ゾーンに入ることから、今期の与信費用がこのまま大きく未消化で終わるか、有価証券売却で最終利益が膨らめば、再増配する可能性もあろうかと思われます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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