【9375】近鉄エクスプレス(東証一部) OP
現在値 3,220円/100株 P/E 5.94 P/B 1.32 3月配当 9月配当 株主優待なし
国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実。15年にシンガポールのAPLLを子会社化。
配当は3月末・9月末の年2回計120円配当のため配当利回りは約3.73%となります。
近鉄エクスプレスは株主優待制度を導入しておりましたが、2021年3月をもって廃止しています。
業績を確認をしていきます。
■2018年3月期 売上高 5,531億円 営業利益 173億円 EPS 97.3円
■2019年3月期 売上高 5,920億円 営業利益 207億円 EPS 136.9円
■2020年3月期 売上高 5,445億円 営業利益 197億円 EPS 65.7円
■2021年3月期 売上高 6,091億円 営業利益 341億円 EPS 301.6円
■2022年3月期 売上高 9,400億円 営業利益 580億円 EPS 542.4円ce修正
□2021年9月2Q 売上高 4,240億円 営業利益 247億円 EPS 224.9円
□2021年12月3Q 売上高 7,031億円 営業利益 454億円 EPS 434.1円(2/9)
2021年9月中間期の売上高はYoY+60.8%の4,240億円、営業利益はYoY+89.9%の247億円となり、予算との比較は無いものの飛躍的な増収増益となりました。日本の航空及び海上輸出入は、新型肺炎禍からの復調鮮明でエレキや自動車関連が大増勢となったほか、国内物流も流量増加で関連会社も軒並み増となりました。海外についても、米州・欧州・中近東等の展開全域で自動車・エレキ製品・ヘルスケア製品を中心に取扱数量が急回復し、SG拠点のAPLL社も半導体供給影響で部分的に数量減となったものの、その他リテールで巻き返して3割増収を果たしています。
進行期である2022年3月期の通期見通しは3Q時点で再修正しており、売上高がYoY+54.3%の9,400億円(期予:6,300億円)、営業利益はYoY+69.7%の580億円(期予:317億円)まで大幅に増額しています。世界的に自動車の挽回生産の動きが顕著に出ているため、特に北米向けの自動車関連の航空・海上輸送が増勢となっているほか、足許ではベトナム等の東南アジアでも同様のスポット大口が出るなどしており、展開全域で大幅な取扱数量が大幅増となる見通しです。利益面では、海上コンテナ物流混乱の継続により、航空機の貨物スペースが依然ひっ迫しているため、顧客への価格転嫁が進んで利益が一段と膨れ上がる公算です。
当社は進行中の2022年3月期を最終年度とする3年中計において、KPIとして取扱数量(航空80万t・海上90万TEU)を掲げて事業規模拡大をまずは最優先事項とし、中長期的にスケール化による原価低減を目指す方針です。そのため、売上高を5,920億円→8,800億円(当初7,200億円から修正)に拡大させることを目標とする一方、営業総利益率は16.4%で横引きしていましたが、最新見通しによれば、売上高は大幅な過達となるものの、営業利益率は仕入航空運賃の高騰による原価率の悪化で15%を割り込むとみられます。ただ売上高と利益率の“入り繰り”はあるものの、グロス利益額の改善は当初計画水準より最低200億円程度は上振れる公算です。
2015年に1400億円もの巨費を投じて買収したAPLLについても、向こう15年程は年間▲60億円ものれん償却負担があるものの、システム統合や不利契約の解消等が進んで利益が出やすくなっているほか、シンガポール域の経済活動の回復により業績モメンタムが急速に改善しています。全体的な市況については、依然として異常なレベルでの追い風商状が継続しており、IATA予想によれば退役航空機の増加により2024年迄は現状の状態が続くとみられています。そのため、当社は定期チャーターやBSA(一括スペース契約)の活用で対応しており、独自仕入れによる輸送安定化が顧客からの特命受注等に繋がっている模様です。
他方、株主還元については、長期ビジョンで掲げている“ネット有利子負債ゼロ”との兼ね合いはあるものの、目下の業績の飛躍的な急回復により自己資本比率は従来の10%台半ばの水準から30%半ば水準まで飛躍的に良化していることから、大幅な増配に踏み切っています。今期の配当予想は期初の50円から120円まで増額しており、前々期との比較では4倍もの水準となりますが、上振れ着地なら更なる積み増しも期待出来そうです。
*参考記事① 2021-07-31 2,663円 OP
【9375】近鉄エクスプレス/航空貨物需給のタイト化が空前の追い風、改めて増配に期待。
*参考記事② 2020-09-04 2,179円 OP
【9375】近鉄エクスプレス/航空貨物運賃の上昇を追い風に、通期で底堅く上振れも。
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