【8354】ふくおかFG/投資先行のみんなの銀行はBaaS進出へ、外債含み損が気掛かり。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【8354】ふくおかフィナンシャルグループ(東証プライム) OP

現在値 2,417円/100株  P/E 8.04 P/B 0.51  3月配当株主優待 9月配当 

傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位。

配当は年2回・合計105円のため、配当利回りは約4.34%となります。
 

ふくおかフィナンシャルグループは株主優待制度を導入しており、200株以上保有の1年以上株主に対して、預金金利上乗せやポイント進呈等の各種サービスクーポンを進呈しています。
 

業績を確認していきます。

■2020年3月期 経常収益 2,831億円、最終利益 1,106億円 EPS 581.8円 

■2021年3月期 経常収益 2,747億円、最終利益 446億円 EPS 234.9円

■2022年3月期 経常収益 2,804億円、最終利益 541億円 EPS 284.6円

■2023年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 570億円 EPS 299.8円 ce

□2022年6月1Q 経常収益 751億円、最終利益 170億円 EPS 89.9円(8/5) 

□2022年9月2Q 経常収益(未定)億円、最終利益 280億円 EPS 147.2円 ce


2022年3月期の経常収益はYoY+2.1%の2,804億円、最終利益はYoY+21.2%541億円で着地し、中間の修正見通し比で上振れました。新型肺炎禍関連の貸出が牽引してボリュームが増加し、末残はYoY+3.7%の14兆5,155億円に増加した一方、貸出金の利回りはYoY▲3.6bp.の1.01%に続落し、利回り減を数量増で埋めました。原価面については、与信費用はYoY+12億円の15億円ながらも一過性戻り益影響のため実態低水準で推移しており、みんなの銀行は計画線ながらも▲59億円の赤字計上となりました。


2023年3月期の通期予算はトップライン未公表であるものの、最終利益はYoY+5.3%の570億円を見込んでいます。中小企業向けを中心に貸出金は堅調推移を見込み、末残自体はYoY+0.7%の14兆6,130億円と微増を見込む一方、利ザヤは更に縮小してYoY▲2.3bp.の0.99%の前提で組んでいます。与信費用は60億円(4bp)と実績考慮で無理の無い計画とみられる一方、投資フェーズが続くみんなの銀行は▲76億円の赤字計上となる想定です。

 

終わった期は第6次中計の最終年度であり、3ヵ年で最終利益を559億円→575億円に引き上げ、ROE6%の維持、OHRは64%→60%へと引き下げる目標としていましたが、中計未織込の先行投資除きで概ね達成となりました。今次公表の第7次中計では、最終年度の2025年3月期までに最終利益を541億円→650億円に引き上げるほか、ROE6%維持、OHR64.6%→60%への改善を目標としています。計数的には無理がないとみられるものの、出来上がりの数字はみんなの銀行への先行投資の多寡と、含み損に転じた外債の損出しにも大きく振らされるため、現時点では達成可視性の見極めが難しい状況です。

 

注力取組事項として、①第二次業務改革、②営業改革、③戦略子会社強化、④新事業挑戦を挙げています。①と②は所謂DXへの取組であり、個人向けはアプリの刷新や店頭タブレット運用の拡充、法人向けはポータルサイトの構築により、支店業務負荷半減(人員換算▲250名)とひいてはOHRの低減を図ります。③は傘下のCVCを活用した創業・ベンチャー支援、人材紹介、事業承継・ビジネスマッチングを強化するほか、旧・十八総合リースを本年4月に大手の東京センチュリーとの合弁に改組し、先進的取組の強化と福岡地域への本格進出を図る計画です。

 

④はアクセンチュアと共同開発し、Google Cloud上に勘定系システムを持つデジタル銀行である“みんなの銀行”への投資を一層推進する計画です。初年度の口座獲得は目標の40万件に対して33万件と未達だったものの、向こう3年で190万口座まで引き上げるほか、預金残高も59億円→1,800億円へと飛躍的に積み上げる意欲的な目標となっています。特に福岡エリアは若年層の人口増加が顕著であり、“Cover”という同行内の簡易ローン商品の伸長が期待されるほか、BaaS領域にも本格進出し、他業種の裏方銀行業としての業容拡大を図ります。

 

他方、株主還元については、従前中計で配当性向を30%→35%基準に引き上げたこともあり、進行期は更に10円の増配となる年105円配を予定しています。5月には自社株買い50億円(1.5%)を公表しており、株主還元の拡充感は感じられるものの、やはり配当の基準となる最終利益に外債の損出しがヒットしてくる可能性があることから、一段の増配は見込みにくいような状況です。

 

*参考記事① 2022-03-14 2,243円 OP

【8354】ふくおかFG/アクセンチュア開発の「みんなの銀行」は低調だが、与信費用は低水準。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ