【3923】ラクス/次なる収益ドライバー期待のかかる“楽楽明細”の成長維持が鍵。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3923】ラクス(東証プライム) OP

現在値 1,572円/100株 P/E --.- P/B 33.6  3月配当 株主優待なし

クラウドとIT人材派遣の2本柱。“メールディーラー”と“楽楽精算”が利益成長を牽引。

配当基準日は3月末、年1円95銭配予想のため配当利回りは約0.12%となります。


業績を確認します。 

■2020年3月期 売上高 116.0億円、営業利益 11.7億円 EPS 4.4円 

■2021年3月期 売上高 153.8億円、営業利益 38.9億円 EPS 16.2円

■2022年3月期 売上高 206.2億円、営業利益 15.7億円 EPS 6.0円 

■2023年3月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

□2022年6月1Q 売上高 61.6億円、営業利益 2.8億円 EPS 1.0円(8/12)

□2022年9月2Q 売上高 127.0億円、営業利益 4.9億円 EPS 1.6円 ce

2022年3月期の売上収益はYoY+34.1%の206.2億円、営業利益はYoY▲59.5%の15.7億円で着地し、中間で公表された通期見通し比上振れしました。クラウド事業の売上高はYoY+35%となり、新プロダクトの“楽楽明細”・“楽楽販売”は更に高い伸びを示したほか、主力商品の“楽楽精算”は高成長を維持したほか、解約率が5.2%→5.0%に良化&月額客単価も78,665円→85,308円に増加し、順調なトップライン成長を遂げました。一方、利益面については、積極採用による人員増とオフィス増床といった戦略投資増加により、大幅な減益となっています。

 

進行期の予算は半期分のみを公表しており、2023年9月2Qに売上高YoY+34.0%の127.7億円、営業利益YoY▲44.6%の4.9億円を見込んでいます。“楽楽精算”ほか主要プロダクトの加盟社数増加と売上増加を最優先に投資を積極化させる方針であり、人件費(48.6→70.4億円)、広宣費(19.0→26.8億円)を大きく積み増すほか、連れて外注費やオフィス賃料も増加するため、減益幅が拡大する見通しです。8月12日開示の1Q決算は売上高YoY+33.7%&営業利益YoY▲44.9%と概ね順調に推移しています。

 

進行期は5ヵ年中計の2年度目となっており、最終年度である2026年3月期までに売上高CAGRを26~30%、純利益29.3→100億円、純資産200億円の達成を目標としていますが、初年度実績を踏まえ売上高目標の下限を微増額していることから、目下は良好な進捗が確認されます。当初4ヵ年は成長投資期間に位置づけ、顧客獲得に奏功しているとされるTVCM等の広宣費に“湯水のごとく”費用を投じるとともに、積極的な営業人員の採用により、来年に控えるインボイス制度や電帳法改正による特需の刈り取りを狙う方針です。

 

主力プロダクトである“楽楽精算”の導入社数は2位に6倍以上の差をつける圧倒的首位の9,400社を確保(※中小企業の構成比が高いため売上高では2位)しています。経費精算システム市場の全体TAM1,310億円のうち、シェア70%想定TAMは917億円であり、現状の76.5億円からすればまだ成長余地が残ります。

 

他方、注力中の“楽楽明細”の導入社数は直近1年で2,240社→3,877社に増加しており、請求書発行システム市場も全体TAM13,746億円&シェア30%想定TAMも4,124億円と大きいものの、SansanやMoneyForward、ウイングアーク1stらの競合が大変激しいため、成長可視性には不透明感も残ります。

 

また当社の場合、急激なトップライン成長に耐えられるだけの人員採用も論点であり、年間500人程の採用を計画しているものの、終わった期だけでなく進行期も未達ペースで推移しています。上述のとおり、“楽楽精算”の次なる柱として目される“楽楽明細”には多くの人的リソースを割く必要があるものの、最新開示の7月月次では“楽楽明細”の成長モメンタムに鈍化の兆しが見えることから、月次と採用状況を細かく確認していく必要があるものと考えています。

 

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