【9783】ベネッセHD/年内入試浸透で進研ゼミの会員数減続く、全事業で手詰まり感が強め。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9783】ベネッセホールディングス(東証プライム) NT

 

現在値 1,947円/100株  P/E 16.3  P/B 1.22  3月配当優待 9月優待

 

「進研ゼミ」など通信教育最大手。高齢者ホーム、出版等へ多角化。傘下に「ベルリッツ」。

配当は3月末・9月末合計年60円を予想しているため、配当利回りは約3.08%となります。

 

ベネッセホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、単元を保有する株主に対してカタログギフトを進呈しており、ハウスカードのポイント2,600円相当*2回で計算した場合の配当優待利回りは約5.75%となります(※写真は選択商品の豊島美術館・レモンフィナンシェ)

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。

■2020年3月期 売上高 4,485億円、営業利益 212億円、EPS 65.3円

■2021年3月期 売上高 4,275億円、営業利益 130億円、EPS 32.4円 

■2022年3月期 売上高 4,319億円、営業利益 201億円、EPS 11.0円

■2023年3月期 売上高 4,170億円、営業利益 215億円、EPS 119.2円ce修正

□2022年9月2Q 売上高 2,019億円、営業利益 106億円、EPS 56.5円(11/9)

 

2022年9月中間期の売上高はYoY▲7.1%の2,019億円、営業利益はYoY▲18.1%の106億円となり、予算比は無いものの減収減益となりました。柱の国内教育は大学・社会人向けが好調も、学習意欲低下による進研ゼミの会員減に歯止めがかからずに減収となりました。幼児向けも中国・上海のロックダウンで営業制限を受けたほか、介護事業も期初入居率が90.1%と低水準スタートだっただけでなく、光熱費原価の高騰により収益が圧迫されました。尚、赤字だったベルリッツの売却による損益浮上分が19億円含まれます。

 

2023年3月期の見通しは中間時点で減額しており、売上高はYoY▲3.5%の4,170億円(期予:4,260億円)、営業利益はYoY+6.6%の215億円(期予:250億円)に修正しています。国内教育は社会人向けや鉄緑会など一部好調な部分はあるものの、小・中・高の進研ゼミの会員数がYoY▲8.8%で推移している点など実勢の低調を織り込みます。介護事業は期末稼働率93.0%まで回復する想定を据え置きつつも、光熱費原価高騰の転嫁を進めます。尚、ベルリッツ剥落による通期の損益改善は+27億円となります。

 

進行期は2026年3月期を最終年度とする5年中計の3年度目であり、当初計画では当初3ヵ年で新型肺炎禍前の営業利益212億円を超える260億円を目標としていましたが、上記減額修正により、横ばい程度の業績確保が精々となる見通しです。最終的には後半3ヵ年で売上高5,000億円(CAGR3%)&営業利益400億円(営業利益率8%)を目指しており、本年5月に“変革事業計画”を開示する予定ではあるものの、一旦は数値計画を据え置いています。

 

柱の進研ゼミについては、新型肺炎禍の学習意欲低下だけでなく、AOや推薦等の年内入試割合の増加により、従来型の画一的な通信教育離れが進み、会員数減少が続いています。そのため、目下ではシェアNo.1の教育ソフトである“ミライシード”を擁するGIGAスクール分野に注力しており、2025年に迫った自治体の端末切替時におけるBYODへの切替を想定し、任天堂との提携によりSwitch対応品をリリースするなど、学校と家庭のシームレスな学習機会を提供すべく新モデルの構築を模索しています。

 

中国のK&F事業については、情操教育中心の当社サービスは中国版ゆとり教育の“双減政策”の規制対象外となるものの、日本と異なり契約が自動更新ではないため、ロックダウンによる営業制限影響を大きく受けており、正常化待ちとなります。大赤字のベルリッツは昨年切り離しに成功したため、営業赤字剥落&年間30億円超の法人税削減効果が発現しており、残る懸案は介護事業となっています。入居率は9割前後と低水準で顧客獲得費用が追加的に必要となる一方、原価の高騰により構造的な手詰まり感が出ているような状況です。

 

財務状況については、ベルリッツの▲178億円の“借金棒引き”後でも自己資本比率3割程度を維持しています。会社側では、同30%水準まで内部留保を積み増す方針としながらも、配当性向35%を還元方針としています。進行期はベルリッツ切り離しによる法人税負担の軽減効果が大きいことから、年10円増配となる年60円配当(配当性向50.3%)を予想しています。

 

*参考記事① 2022-10-01 2,151円 NT

【9783】ベネッセHD/進研ゼミ会員数減少&介護施設は稼働率低位も、ベルリッツ売却で増配。 

 

*参考記事② 2022-02-21 2,336円 NT

【9783】ベネッセホールディングス/赤字のベルリッツをついに売却、構造改革の進展に期待。

 

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