【9783】ベネッセホールディングス/赤字のベルリッツをついに売却、構造改革の進展に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9783】ベネッセホールディングス(東証1部) NT

 

現在値 2,336円/100株 P/E 45.0  P/B 1.47  3月配当優待 9月優待

 

「進研ゼミ」など通信教育最大手。高齢者ホーム、出版等へ多角化。傘下に「ベルリッツ」。

配当は3月末・9月末合計年50円を予想しているため、配当利回りは約2.14%となります。

 

ベネッセホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、単元を保有する株主に対してカタログギフトを進呈しており、ハウスカードのポイント2,600円相当*2回で計算した場合の配当優待利回りは約4.36%となります(※写真は選択商品の直島・地中美術館グッズ)

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。

■2018年3月期 売上高 4,344億円、営業利益 126億円、EPS 128.8円 

■2019年3月期 売上高 4,394億円、営業利益 162億円、EPS 50.9円 

■2020年3月期 売上高 4,485億円、営業利益 212億円、EPS 65.3円

■2021年3月期 売上高 4,275億円、営業利益 130億円、EPS 32.4円 

■2022年3月期 売上高 4,410億円、営業利益 175億円、EPS 0円ce後発修正(2/14)

□2021年9月2Q 売上高 2,174億円、営業利益 129億円、EPS 57.8円 

□2021年12月3Q 売上高 3,284億円、営業利益 232億円、EPS 111.1円(2/7)

 

2021年9月中間期の売上高はYoY+4.0%の2,174億円、営業利益はYoY+58.2%の129億円で進捗し、対前期でも増収増益、対予算も超過となりました。柱の国内教育は、新型肺炎禍の一巡により進研ゼミの在籍数が低下(10.8万人→10.6万人)した一方、学校・塾・教室授業は休校影響が無くなったことから、東京個別・鉄緑会ともに新型肺炎前の水準を回復しています。また、介護・保育事業も新収益基準移行による退去時一括償却増や前受金の戻入増で増収しているものの、入居率の低下で実態は低調となりました。

 

2022年3月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高がYoY+3.2%の4,410億円(※2/14、4,330億円に後発修正)、営業利益はYoY+33.7%増の175億円を見込んでいます。国内教育は進研ゼミが新規取り込み・継続ともに今一つではあるものの、東京個別が好調を維持しているほか、ベルリッツ(※後述)も収益改善が続いています。他方、介護・保育事業も新規開設により施設数を順調に積み増すものの、相次ぐ新設と新型肺炎禍による忌避等により入居率がやや低調に推移する見通しです。なお、2/7に既に3Q決算まで開示済であり、通期計画比で既に過達状態にあることから、4Qに進研ゼミ梃入れ費用を追加的に計上しても、予算上はかなり余裕残しとなっているような状況です。

 

当社は昨年、2026年3月期を最終年度とする5年中計を公表しており、新型肺炎禍の終息が予想される2024年3月期を始期とした3年間で、年率3%の売上高成長&(最終的な)営業利益率8%を目標に据えています。そのため前期と今期の2年間については、V字回復フェーズとしての位置付けけをしており、翌2023年3月期の目標営業利益は260億円と新型肺炎前水準を大きく上回る大変意欲的な計画となっていますが、足許の回復モメンタムが強く、達成が十分視野に入る状況に転じています。

 

新型肺炎禍による特需が剥落しつつある進研ゼミについては、タブレット会員の獲得強化や、「ノングレード」と呼ばれる先取り学習による上位層の取り込み等により、会員歩留まりの改善と採算性の向上を狙います。K&F(キッズ&ファミリー)の特に中国事業については、情操教育中心の当社サービスは中国版ゆとり教育である“双減政策”の対象外になるものの、急速な少子化の進行や過当競争により事業リスクが高まっているため、抜本的な見直しを図るとみられます。

 

また、大リストラを実施したベルリッツについても大幅な拠点縮小やFC化によりかなり筋肉質になっており、赤字脱却が目の前だったものの、去る2月14日に外部売却を公表しています。売却先はカナダで留学事業などの語学教育事業を行うILSCであり、売却額非公表の一方、同社への債権178億円を放棄しています。これによりトップラインが400億円減少するものの、同社利益は中計でトントン想定のため、営業利益までのP/Lに影響はなく、年間30~35億円程度の法人税削減効果が見込まれます。

 

他方、財務の状況については、足許の自己資本比率は29.6%となっており、一定の水準を維持しています。そのため、今次ベルリッツ株売却による売却損により最終利益は均衡圏まで落ちるものの、配当は「安定性維持」の観点が優先され、年50円配が維持される方針です。

 

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