【9783】ベネッセHD/進研ゼミ会員数減少&介護施設は稼働率低位も、ベルリッツ売却で増配。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9783】ベネッセホールディングス(東証プライム) NT

 

現在値 2,151円/100株 P/E 15.3  P/B 1.43  3月配当優待 9月優待

 

「進研ゼミ」など通信教育最大手。高齢者ホーム、出版等へ多角化。傘下に「ベルリッツ」。

配当は3月末・9月末合計年60円を予想しているため、配当利回りは約2.79%となります。

 

ベネッセホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、単元を保有する株主に対してカタログギフトを進呈しており、ハウスカードのポイント2,600円相当*2回で計算した場合の配当優待利回りは約5.20%となります(※写真は選択商品の豊島美術館・レモンフィナンシェ)

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。

■2020年3月期 売上高 4,485億円、営業利益 212億円、EPS 65.3円

■2021年3月期 売上高 4,275億円、営業利益 130億円、EPS 32.4円 

■2022年3月期 売上高 4,319億円、営業利益 201億円、EPS 11.0円

■2023年3月期 売上高 4,260億円、営業利益 250億円、EPS 140.3円 ce

□2022年6月1Q 売上高 1,006億円、営業利益 0.3億円、EPS▲24.1円(8/5) 

□2022年9月2Q 売上高 2,174億円、営業利益 158億円、EPS 92.3円 四e

 

2022年9月期の売上高はYoY+1.0%の4,319億円、営業利益はYoY+54.1%の210億円となり、対予算では減収増益となりました。柱の国内教育は新型肺炎禍の学習意欲低下にくわえ、学習方法の多様化とデジタル活用他社との競合激化等の影響により、進研ゼミの会員数が小中高いずれも減少したものの、学校・塾・教室授業は休校影響が無くなったことから、東京個別・鉄緑会ともに回復しました。介護事業こそ入居率の低下(92.6%→90.1%)で減収減益となったものの、赤字のベルリッツの回復と売却による切り離しにより、利益は一段増となりました。

 

2023年3月期の予算については、売上高がYoY▲1.4%の4,260億円、営業利益はYoY+24.0%増の250億円を見込んでいます。国内教育は進研ゼミの期初4月時点会員数がYoY▲8.3%の249万人と非常に悪い状況であるものの、単価上昇とDM等広告に代表されるコストの削減による利益確保を図るほか、学校・塾・教室授業に関しては堅調持続が見込まれます。介護・保育事業も新設施設の巡行化と、足許の引き合い増加に入居率改善を見込みます。また、売却したベルリッツの赤字が通期で剥落するため、営業利益段階で+30億円が上乗せされます。

 

進行期は2026年3月期を最終年度とする5年中計の3年度目となっており、当初計画では新型肺炎禍前の営業利益212億円を超える「260億円」を目標としていましたが、今次公表の単年予算では、介護施設の入居率低下を理由に「250億円」に減額しているため、実勢は中計比でややビハインドと解されます。なお、翌期~終期までの後半3ヵ年は年率3%の売上高成長&(最終的な)営業利益率8%を目標としています。

 

柱の進研ゼミについては、上述のとおり学習意欲の低下とデジタル領域での競合強化、進路や教育内容の多様化により、従来型通信教育離れと会員数減少が進んでいます。会社側は会員数よりも採算重視路線に振っているものとみられ、既存顧客に向けた周辺領域の開拓(そろばん・アート・プログラミング等)による単価向上と、新規顧客獲得コストの抑制を推進しています。また、K&F(キッズ&ファミリー)の中国事業については、情操教育中心の当社サービスは中国版ゆとり教育の“双減政策”の規制対象外となるため、ロックダウン影響から緩やかな回復基調入りが期待されます。

 

大赤字のベルリッツについては、本年2月にカナダで留学事業等の語学教育事業を行うILSCに対して売却を済ませており、売却額非公表ながらも178億円を債務放棄しています。本件取組でトップラインが400億円減少するものの、営業赤字の剥落と年間30~35億円程度の法人税削減効果が見込まれます。懸案は介護事業であり、足許でも入居率低下に歯止めがかかっていないほか、高水準の顧客獲得費にくわえ、水光熱費のコストアップが収益押し下げ要素となっており、特に足を引っ張っています。

 

財務の状況については、自己資本比率は27.6%となっており、ベルリッツの178億円の“借金棒引き”後でも一定水準を維持しています。ただ会社側では、同30%水準まで内部留保を積み増す方針&配当性向35%とはしているものの、法人税負担軽減によるキャッシュ創出が大きいことから、年10円増配の年60円配当(配当性向42.8%)をガイドしています。

 

*参考記事① 2022-02-21 2,336円 NT

【9783】ベネッセホールディングス/赤字のベルリッツをついに売却、構造改革の進展に期待。

 

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