【1887】日本国土開発/中計やや未達も、自社株買い30億円規模で総還元性向は90%弱。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1887】日本国土開発(東証プライム) OP

現在値 571円/100株  P/E 7.83  P/B 0.63  5月配当 11月配当 株主優待なし

重機土木工事得意。東日本地震の復旧復興で実績。03年に会社更生手続が終結。


配当金は5月末・11月末の年2回の合計26円で、配当利回りは4.55%となります。

日本国土開発は株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年5月期 売上高 1,185億円、営業利益 103.6億円 EPS 91.3円

■2021年5月期 売上高 1,178億円、営業利益 105.6億円 EPS 88.9円 

■2022年5月期 売上高 1,267億円、営業利益 79.5億円 EPS 88.4円 

■2023年5月期 売上高 1,710億円、営業利益 90.0億円 EPS 71.0円 ce修正

□2022年8月1Q 売上高 284億円、営業利益 7.1億円 EPS 6.2円(10/17)

□2022年11月2Q 売上高 750億円、営業利益 35.0億円 EPS 28.4円 四e

2022年5月の売上高はYoY+7.6%の1,267億円、営業利益はYoY▲24.7%の79.5億円でとなり、3Qの減額見通し並みの着地となりました。期ズレ案件を含む潤沢な期初受注高(1,517億円)を抱えていたものの、工事開始遅延や前年同期の土木好採算案件の剥落の影響を受けました。主な土木の引渡案件は、北茨城市太陽光発電所建設⼯事(大阪ガス、政投銀)、主な建築の引渡し案件は、BIZCORE神田須田町(日鉄興和不動産)、ナリコマフード神戸工場であり、受注高についてはYoY+6.4%の1,556億円となりました。


進行期である2023年5月期の通期予算については、売上高がYoY+34.9%の1,710億円、営業利益はYoY+13.1%の90.0億円を見込んでいます。期初の受注残高はYoY+15.7%の1,756億円、建築事業で名有りとなっている竣工予定工事は、インソース九州ビル(インソース)、GRANODE CHIBA FUJIMI(大和ハウス)のほか、7月には仙台泉区の中腹に温浴施設などを備え付けたキャンプ場・泉ピークベースを開業しています。なお10月17日に1Q決算を開示しており、売上高284億円&営業利益7.1億円とまずまずの進捗となっています。

 

終わった期は3年中計の最終年度であり、計画3箇年で売上高を1,195億円→1,350億円(CAGR5%)へと引き上げる一方、営業利益を145億円→100億円(CAGR▲11%)へマイナス成長を見込んでいましたが、結果的に営業利益は80億円止まりで未達となりました。2019年の上場前後は大型案件や、高採算の東日本復興関連工事が売上の約6割を占めていたことから、不動産やエネルギーといった関連事業への業容拡大を進めたものの、“売上ミックス”の悪化を埋めることは出来ませんでした。

 

今次公表の2025年5月期を最終年度とする新中計については、売上高は1,700億円程度で3年間横ばい想定も、営業利益は80億円→110億円まで引き上げる計画するほか、ROE10%目標(実績9.7%)を設定しています。また、2031年5月期までの“長期ビジョン”では、営業利益を200億円水準まで引き上げることとし、利益内訳も土木・建築事業で80億円、不動産・エネルギーで80億円、新規事業で40億円と更に事業ポートフォリオ分散を推進します。

 

従来型の土木・建築事業については、当社独自の強味でもある機械化/DX化を進める方針であり、「回転式破砕混合工法(ツイスター)」の新型機開発や、ドローン活用による現場のICT化、EPC(設計・調達・建設)方式による一括受注等により採算性の向上を図り、事業利益を6億円→24億円に引き上げます。関連事業については、建築請負ではなく、自社ブックでの不動産開発事業割合を増加させるほか、エネルギー事業既存FITやセカンダリー案件、NonFIT案件まで手を伸ばす方針です。また、新規事業として、既存太陽光施設を有する松島でマイクログリッド工業団地計画を推進しています。

 

なお株主還元については据置年26円の配当を予定しています。当社は実質無借金状態で、自己資本比率も50%程ですが、過去に経営破綻した経緯から保守的な資本政策が採られています。今次中計期間における配当フォーミュラを「DOE2.5%~3.0%」としたため、向こう3年も概ね横ばいが続くとみられますが、本年7月に30億円(5.6%)の自社株買いを公表しており、既に22億円を取得していることから、株主還元にやや前向きになったものとみられます。

 

*参考記事① 2022-04-18 550円 OP

【1887】日本国土開発/工期延期や好採算土木工事剥落で下方修正、中計未達も配当は据置へ。

 

*参考記事② 2021-10-16  599円 OP

【1887】日本国土開発/期ズレ工事で増収も採算性後退、配当ポリシーには微妙な変化も。

 

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