【6789】ローランド.ディー.ジー.(東証プライム) OP
現在値 3,330円/100株 P/E 7.29 P/B 1.27 6月優待 12月配当優待
広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランドから親会社ファンドに。
配当金は年2回・合計130円配当のため、配当利回りは4.04%となります。
ローランド.ディー.ジー.は株主優待制度を実施しており、12月末時点の1年以上継続保有の単元株主に対し、3,000円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.80%となります。
業績を確認していきます。
■2019年12月期 売上高 407億円、営業利益 27.9億円 EPS 155円
■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円 EPS 20円
■2021年12月期 売上高 450億円、営業利益 60.5億円 EPS 299円
■2022年12月期 売上高 519億円、営業利益 76.0億円 EPS 441円ce修正
□2022年6月2Q 売上高 240億円、営業利益 26.8億円 EPS 155円(8/5)
2022年6月中間期の売上高はYoY+10.2%の240億円、営業利益はYoY▲9.0%の26.8億円となり、計画を下回りました。主力のプリンターは新型肺炎禍の一巡による設備投資意欲の回復の恩恵を受けたほか、出力需要増加によりインク等サプライ品も伸長し、これに為替の円安効果が加わり増収となりました。エリア別で見ても展開全域で増収を確保したものの、利益面では部材価格・物流費の増加に加え、為替の不利影響を受けて減益となりました。
他方、2022年12月期の通期見通しは中間時点で上方修正しており、売上高はYoY+15.1%の519億円(期予:494億円)、営業利益はYoY+25.5%の76.0億円(期予:73.0億円)に増額しています。主力のプリンターについては、低価格品の供給不足により当社製品への流入が進むとみられ、展開各域で堅調な需要回復基調が見込まれるほか、為替効果も寄与します。一方、利益面では海上輸送ひっ迫による運賃高騰や部品調達難化が続いているため、原価想定を積み増すものの、トップラインにおける為替有利影響(当初113円/$、2Hは131円/$)の方が大きく、期初予算比では増収増益となります。
進行期は翌2023年12月期を最終年度とする3年中計の中間年度であり、足許の好業績を受けて本年2月に増額ロールしています。修正後の計数は計画3箇年で売上高を347億円→540億円(当初:480億円)に、営業利益を5億円→80億円(当初:60億円)に引き上げる計画です。前中計期間で大型プリンター市場の成熟化に伴う需要後退や競合激化というマクロ構造変化の影響を受け、好採算のインク等のサプライ品まで減少したことから、当初そこからの“再興”を目指す色合いの今次中計でしたが、想定超のペントアップの顕在化により事業環境が劇的に好転しています。
今次中計は①拠点集約・固定費削減、②ポートフォリオ転換、の2点を主要取組事項としています。①は既に190名の人員削減を実施したほか、量産機能のあるタイ工場へ生産移管により、早くも年13億円程の削減効果を挙げています。タイ工場は本年2月に倉庫増床して保管機能を拡充したほか、将来の需要増を見据えて9月には4.5億円を投じて新棟建設にも着手しており、“打ち手”はほぼ完了しています。②はプリンター事業において高環境負荷の溶剤インク(ソルベント)のシェアを堅持しつつも、エコ型のUV・水系への置き換えを図るほか、メタルフリー潮流など世界的に審美需要が高まっている歯科領域において、入歯やインプラント土台制作のためのCAD/CAMマシン分野の深耕を目指します。
財務状況については、自己資本比率は71%と非常に高い水準を維持しており、110億円超のネットキャッシュを保有しています。今次中計における株主還元は、「配当性向30%&DOE2%」を基準とした安定・継続的な還元ポリシーとしており、30円増配の年130円配を見込んでいるものの、業績動向によらず財務に余裕があるため、期末にかけて更なる追加還元が期待されます。
*参考記事① 2022-04-26 3,330円 OP
【6789】ローランド.ディー.ジー./3年中計は初年度過達ではや増額、為替の“追い風“も強烈。
*参考記事② 2021-11-18 2,778円 OP
【6789】ローランド.ディー.ジー./欧米急回復、為替効果も追い風で再増額。再増配も濃厚。
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