【1887】日本国土開発/期ズレ工事で増収も採算性後退、配当ポリシーには微妙な変化も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1887】日本国土開発(東証一部) OP

現在値 599円/100株  P/E 7.68  P/B 0.71 5月配当 11月配当 株主優待なし

重機土木工事得意。東日本地震の復旧復興で実績。03年に会社更生手続が終結。
配当金は5月末・11月末の年2回の合計26円で、配当利回りは4.34%となります。

日本国土開発は株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。

■2018年5月期 売上高 1,175億円、営業利益 156.6億円 EPS 137.9円 

■2019年5月期 売上高 1,195億円、営業利益 145.7億円 EPS 140.0円

■2020年5月期 売上高 1,185億円、営業利益 103.6億円 EPS 91.3円

■2021年5月期 売上高 1,178億円、営業利益 105.6億円 EPS 88.9円 

■2022年5月期 売上高 1,500億円、営業利益 102.0億円 EPS 77.0円 ce

□2021年11月2Q  売上高 750億円、営業利益 51.0億円 EPS 39.0円 四e

2021年5月期の売上高は前期比0.6%減の1,178億円、営業利益は同1.9%増の105.6億円で着地し、対前期・対予算ともに減収増益となりました。減収要因については、そもそもの期初受注残が前期末より100億円近い少ない1,331億円だったほか、期中受注が下期偏重となったこと翌期送りになったことが主な要因です。主な引渡案件は、尾幌太陽光発電所(富士電機)、シエリアタワーなんば(関電不動産他JV)、モントーレ香椎浜(西武ハウス)であり、新規受注については郡山砂欠山太陽光発電所、クレヴィアタワー御堂筋本町(伊藤忠都市他JV)等を受注し、受注高自体は同43.8%増の1,419億円と高水準を確保しました。


進行期である2022年5月期の予算は、売上高が27.3%増の1,500億円、営業利益は同3.5%減の102.0億円を予想しており、上述のとおり期ズレ案件を含む潤沢な繰越受注高(1,517億円)が顕在化する形で大幅増収となる見通しです。建築事業で名有りとなっている竣工予定工事は、上述の郡山・御堂筋の2案件にくわえ、駒込ダム(青森県)、安城南整備事業(角文)、新なんばタワープロジェクト(サンヨーホームズ・住友不動産)等となっています。増収の一方で減益となるのは、好採算の復興関連土木工事の縮小が要因であり、各種建築工事の受注増や宮城のメガソーラーの売電収入では埋めきれない格好となります。

 

当社は2018年の再上場時に、時価総額1,000億円(足許585億円)と営業利益200億円の達成を長期目標に掲げる一方、この2022年5月期を最終年度とする短期間の3年中計では、売上高1,195→1,350億円(CAGR5%)、営業利益145→100億円(CAGR▲11%)へと売上・利益ともにマイナス成長を計画しています。これは上場前後に大型の好採算案件が多かったことや、利幅の厚い東日本復興関連工事が売上の約6割を占めており、これら一過性要素の剥落影響が甚大であることがその理由です。それでも、進行期の予算に照らせば超過達成が濃厚な情勢であり、マイナス成長ながら概ね会社側計画どおりとみられます。

 

本中計期間においては、土木事業・建築事業に関連事業をくわえた三事業体制の構築による業績安定化を企図しており、特に注力する建築については大型生産物流施設や中・高層タワーマンションに領域特化し、設計施工のワンストップで受注高の拡大を図っています。関連事業については、構成比3割(営業益30億円)、に引き上げる計画であり、既に巡行稼働入りした松島太陽光発電所(50.4MW)の売電収入も年20億円に上る見通しです。また、次回中計期間の2023年春には延岡上伊形町(12.6MW)の完工が控えているほか、柏IC西整備事業では土地取得による不動産開発を企図するなど継続性の強い関連事業の推進が確認され、一過性要素の強い土木・建築事業に頼る従来型ゼネコンからの脱却は着実に進んでいるようにみられます。

 

株主還元については据置となる年26円配当を予定しています。当社は実質無借金状態で、自己資本比率も50%程ですが、かつて一度経営破綻したことから保守的な資本政策が採られており、配当についても有価証券や固定資産の売却益、減損といった一過性要素を排除した上での配当性向30%が強く意識されていました。然しながら、足許では計算上の予想配当性向が34.0%となるなど配当ポリシーにやや柔軟性が出てきた印象であり、上場来初の増配が意識されるところではあります。

 

*参考記事① 2021-03-22 626円 OP

【1887】日本国土開発/松島完工で太陽光発電100MWが視野、70周年記念配に期待。

 

*参考記事② 2020-10-16  615円 OP

【1887】日本国土開発/減益基調続くも財務体質は依然良好、連続減配で還元物足りぬ。

 

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