【1887】日本国土開発/松島完工で太陽光発電100MWが視野、70周年記念配に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1887】日本国土開発(東証一部) OP

現在値 626円/100株  P/E 8.35  P/B 0.77 5月配当 11月配当 株主優待なし

重機土木工事得意。東日本地震の復旧復興で実績。03年に会社更生手続が終結。
配当金は5月末・11月末の年2回の合計23円で、配当利回りは3.67%となります。

日本国土開発は株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。
■2017年5月期 売上高 1,091億円、営業利益 74.6億円 EPS 41.1円 

■2018年5月期 売上高 1,175億円、営業利益 156.6億円 EPS 137.9円 

■2019年5月期 売上高 1,195億円、営業利益 145.7億円 EPS 140.0円

■2020年5月期 売上高 1,185億円、営業利益 103.6億円 EPS 91.3円

■2021年5月期 売上高 1,300億円、営業利益 95.0億円 EPS 75.0円 ce

□2020年11月2Q  売上高 605億円、営業利益 52.9億円 EPS 46.5円(1/14)

2020年11月中間期の売上高は前年同期比0.8%減の605億円、営業利益は同28.8%減の52.9億円で折り返しとなりました。期初時点における繰越受注残が前期より100億円近い少ない1,331億円に留まっていたこともあり、減収減益となったものの、概ね計画通りとなった模様です。減収減益となりました引渡済工事については、土木事業では尾幌太陽光発電所、建築事業では、シエリアタワーなんば(関電不動産他JV)を引き渡しました。一方、新規受注については、半田川田雨水幹線工事(三重県)、新大阪オフィスビル(大和ハウス工業)があったものの、元より大型案件が下期に集中することもあり、受注高自体は同41.6%と低調に推移しました。


2021年5月期の通期見通しについては、期初予想を据え置いており、売上高が9.7%増の1,300億円、営業利益は同8.4%減の95.0億円を予想しています。上述のとおり前期の受注高が低調だったものの、期ズレした商談案件の受注顕在化によりトップライン自体は増加する見通しです。建築事業で名有りとなっている竣工予定工事は、WBFりんくうタウンホテル、モントレー香椎浜サーフタワー等があり、これら以外にも不動産事業で野村不動産とのJVにより先進的物流施設「Landport厚木愛川町」が巡航化稼働に入り、共有持分で年間約3億円の賃料収入を得る予定であるほか、自社開発メガソーラーである松島どんぐり太陽光発電所が売電を開始しており、今期は一部寄与ながら大きく利益寄与する見通しです。

 

当社は2018年に約20年振りの再上場を果たしており、長期ビジョンで「時価総額1,000億円(足許では615億円)を目指す」を目指すこととしている一方、翌2022年5月期を最終年度とする3年中計については、売上高1,195→1,350億円(CAGR5%)、営業利益145→100億円(CAGR▲11%)という、マイナス成長を計画しています。これは上場前後に大型好採算案件の引渡しが多かったことや、東日本復興関連工事が売上の約6割を占めていたことから、こうした特需の剥落により構造的に業績が右肩下がりとなってしまうことに由ります。

 

今後は当社の祖業である3way高性能重機“スクレーパ”の活用による工期短縮や、災害対策に親和性の高い“ツイスター(回転式破砕混合)工法”などを武器に、国土強靭化計画や緊急治水事業で予算化された約1.5兆円にも及ぶ治水等災害対策分野を中心に、当社ならではの土木と建築の一体施行をウリにした営業を強化していく方針です。このほか、ストック性の高い関連事業の構成比を3割/営業利益30億円、まで引き上げる計画となっており、今般完工した自社物件の松島どんぐり太陽光発電所(50.4MW)は翌2022年5月期に巡航稼働入りし、年20億円もの売電収入が見込まれます。この松島以外にも、中計期間外の2023年春に延岡上伊形町(12.6MW)の完工は予定されているため、全社発電量100MW規模が視野に入るような状況にあり、営業利益100億円水準の達成蓋然性はかなり高いものとみています。

 

株主還元については、配当性向30%を基準に、今期は5円減配となる23円配当を予定しています。当社は2018年のIPO時の公募増資もあり実質無借金状態となっており、足許の自己資本比率も50%を超過しています。それでも一度経営破綻したことから、保守的な資本政策が採られており、配当についても有価証券や固定資産の売却益、減損といった一過性要素を排除した上での配当性向30%が強く意識されていますが、一方で上場してから32円→28円→23円(予、とずっと減配基調を辿ってしまっていることも事実であるため、そろそろ配当性向段階から見直しを期待したいところです(なお2021年4月で創立70周年)。

 

*参考記事① 2020-10-16  615円 OP

【1887】日本国土開発/減益基調続くも財務体質は依然良好、連続減配で還元物足りぬ。

 

*参考記事② 2020-03-31  539円 OP

【1887】日本国土開発/震災工事は漸減だが、株主還元拡充に改めて期待。

 

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