【9728】日本管財/工事受注低調も、公共需は手堅い。株主還元姿勢の変化に期待したい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9728】日本管財 (東証プライム) NT

現在値 2,572円/100株 P/E 17.1  P/B 1.57 3月配当優待 9月配当優待

ビルの設備・警備・清掃を中心とした総合管理会社。再開発物件に強み。
配当金は3月末・9月末の合計54円配当のため、配当利回りは2.10%となります。

日本管財は株主優待を導入しており、3月末・9月末の単元株主に対して、各回2千円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.65%となります。なお3年以上の長期保有により株主優待が3千円分にグレードアップし、その場合の配当優待利回りは約4.43%となります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 1,063億円、経常利益 73.2億円 EPS 117円 

■2021年3月期 売上高 1,041億円、経常利益 81.2億円 EPS 141円 

■2022年3月期 売上高 1,037億円、経常利益 82.7億円 EPS 165円 

■2023年3月期 売上高 1,080億円、経常利益 85.0億円 EPS 149円 ce
□2022年6月1Q 売上高 256億円、経常利益 24.7億円 EPS 43.6円(8/4) 

□2022年9月2Q 売上高 518億円、経常利益 41.0億円 EPS 72.2円 ce

2022年3期の売上高はYoY▲0.4%の1,037億円、経常利益はYoY+3.7%の82.7億円となり、期初予算水準で着地しました。主力のBM事業は既存契約の更改が順調に進捗した一方、大規模修繕等工事の受注低調により減収となりました。他方、住宅管理事業は公営住宅の修繕工事が増加したほか、環境施設事業も新規受託が増加したため、両セグともに増収を確保しています。利益面では感染症対策への追加的な費用により採算悪化したものの、経常利益段階では在外関連会社の利益増加と円安による取込利益の増加により、減収ながらも増益となっています。

進行期である2023年3月期の予算は、売上高がYoY+4.1%の1,080億円、経常利益はYoY+2.7%の85.0億円を見込んでいます。主力のBM事業については、在宅勤務の増加傾向によりオフィス空室率が上昇傾向にあることから、家主側の修繕工事削減等コスト意識が強いとみられるものの、住宅管理事業の公共施設受注や環境施設事業の上下水道施設などは堅調な推移が見込まれることから、全体では微増収・微減益想定となります。尚、8月4日開示済の1Q決算によれば、売上高256億円&経常利益24.7億円と好調な進捗が確認されます。

 

当社は来年4月に持株会社制への移行を公表しているものの、中長期の経営計画は特に開示していません。一応の中期取組事項としては、①PFIやPPPといった公共需獲得、②海外展開、③ITによる効率化、の3点が掲げられています。

 

①は上下水道管理施設やごみ焼却施設等の管理で首位級の地位を活かし、自治体施設の“包括的民間受託”の獲得を推進しており、直近では神戸市(東部/計154施設)、大阪市(東部/計247施設)などネームの強い大都市からの大型案件を受託しています。また、本年7月にはJTBアセットマネジメントの4割の株式を取得し、公共向けに強いJTBのリソース活用により、PFI/PPPの受託に弾みがつくことが期待されます。

 

②の海外事業は持分法の加州KPPM社(50%)や、豪州PICA社(50%)にくわえ、2020年にはハワイ最大の区分所有物件住宅管理シェアを持つハワイアナ社(50%)の株式も取得しており、いずれも円安による為替効果が追い風となっているほか、KPPMについては新型肺炎禍でも好調な北米戸建市場の恩恵を受ける形で、オーガニックに成長しています。③については、DX化による遠隔操作や共有アプリ・クラウド等の活用による自社コスト削減だけではなく、①の公共系顧客に対して、RPA等活用による職員負荷軽減も図れるような高付加価値サービスとしての提供を図ります。

財務面については、ネット現金で約320億円保有しているほか、約175億円の有価証券も保有しているため、じゃぶじゃぶの財務状態となっています(自己資本比率74.8%)。他方、配当については据置の年54円配当を予想しており、財務体質を鑑みれば還元不足は明らかな状況です。会社側では非営業目的の持合解消に取り組んでいるものの、単なる“営業目的有価証券への組替”を意図している可能性もあり、株主還元の原資とするかどうかは微妙なところです。


*参考記事① 2022-03-08  2,800円 NT

【9728】日本管財/大阪市や神戸市等の有力自治体から群管理を受注、公共需の取込進む。

 

*参考記事② 2021-09-15  2,749円 OP 

【9728】日本管財/価格転嫁で採算性良化も、資本政策の“踏む込み不足”は明らか。

 

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