【9728】日本管財 (東証1部) NT
現在値 2,800円/100株 P/E 18.6 P/B 1.77 3月配当優待 9月配当優待
ビルの設備・警備・清掃を中心とした総合管理会社。再開発物件に強み。
配当金は3月末・9月末の合計54円配当のため、配当利回りは1.93%となります。
日本管財は株主優待を導入しており、3月末・9月末の単元株主に対して、各回2千円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.35%となります。なお3年以上の長期保有により株主優待が3千円分にグレードアップし、その場合の配当優待利回りは約4.12%となります。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 964億円、経常利益 63.7億円 EPS 129円
■2019年3月期 売上高 979億円、経常利益 67.6億円 EPS 125円
■2020年3月期 売上高 1,063億円、経常利益 73.2億円 EPS 117円
■2021年3月期 売上高 1,041億円、経常利益 81.2億円 EPS 141円
■2022年3月期 売上高 1,060億円、経常利益 83.0億円 EPS 149円 ce
□2021年9月2Q 売上高 498億円、経常利益 40.5億円 EPS 91円
□2021年12月3Q 売上高 753億円、経常利益 61.0億円 EPS 127円(2/3)
2021年9月中間期の売上高はYoY+0.9%の498億円、経常利益はYoY+35.4%の40.5億円となり、対計画では減収増益で進捗しました。主力のBM事業については、既存契約が契約更改時の業務領域拡大や仕様変更による単価増で伸長した一方、工事受注が減少したためトップラインが伸び悩みました。他方、住宅管理事業については、大規模修繕の回復等により工事が回復したほか、原価見直しにより増収増益となりました。また、利益段階においては、海外関連会社が順調に進捗したほか、持分法利益取込で円安も寄与し、経常利益は一段増となりました。
なお2022年3月期の通期見通しについては、期初のものを据え置いており、売上高がYoY+1.8%の1,060億円、経常利益はYoY+2.1%の83.0億円を予想しています。新型肺炎禍でオフィス・商業の空室率が高くなっており、家主のコスト削減意識が働きやすいものの、上下水道等の環境施設
が好調に推移しているほか、人件費等のコスト増加を顧客契約に転嫁する動きにより、採算性改善が見込まれます。2月3日開示済の3Qによれば、売上高753億円&経常利益61.0億円と概ね計画インラインの進捗が確認されます。
当社は中長期的な業績の定量目標を掲げていないものの、①PFIやPPPに代表される公共需要の獲得、②海外展開、③ITによる効率化、の3点を重点取組事項として掲げています。①については、これまで上下水道管理施設やごみ焼却施設等の管理で多くの実績を有しており、独自の施設管理システムが高いコスト競争力を保持しています。既受注の沼田市(123件)・筑西市(65件)・湖西市(80件)・明石市(158件)・芦屋市(53件)等にくわえ、本年4月からは神戸市(東部154件)・大阪市(東部247件)といったネームの強い自治体から受注を獲得しています。
②の海外事業については、持分法で抱える加州KPPM社(50%)や、豪州PICA社(50%)にくわえ、2020年に株式取得したハワイ最大の区分所有物件住宅管理シェアを持つハワイアナ社(50%)なども新型肺炎禍でも“エッセンシャル業種”に分類されることから、多少の不透明感はありつつも堅調に推移しており、足許の円安効果も相俟って、想定超で業績貢献しているものとみられます。③については、DX化による遠隔コントロールや共有アプリ等によるコスト削減だけではなく、①で囲い込んだ自治体等包括管理(群管理)顧客に対し、RPAによる担当職員業務の負荷削減や管理計画やLCM策定により高付加価値化を図る計画です。
財務面については、有利子負債を差し引いたネット現金で約300億円を保有しているほか、約145億円の有価証券も保有しているため、じゃぶじゃぶの財務状態となっています(自己資本比率は74.5%)。他方、配当については2円増配の年54円配当を予想しているものの、配当性向は36.0%に過ぎず、財務体質を鑑みれば還元不足は明らかです。会社側はCG対応として、投資有価証券の入替と非営業目的の持合解消を進める方針としているため、進捗に期待したいと思います。
*参考記事① 2021-09-15 2,749円 OP
【9728】日本管財/価格転嫁で採算性良化も、資本政策の“踏む込み不足”は明らか。
*参考記事② 1,945円 OP
【9728】日本管財/さくらREIT取られるも、国内外ともに順調増で安心感。
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