【8341】七十七銀行(東証プライム) OP
現在値 1,780円/100株 P/E 5.98 P/B 0.27 3月配当株主優待 9月配当
仙台拠点で東北最大の地銀。預貸率向上が課題。仙台再開発に照準。
配当は年2回・合計80円のため、配当利回りは約4.49%となります。
七十七銀行は株主優待制度を実施しており、1年以上保有を継続する3月末の3単元株主に対して、3,000円相当の地元特産品やクオカードを進呈していますので、配当優待利回りは約5.05%となります。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 経常収益 1,169億円、最終利益 182億円 EPS 247.0円
■2021年3月期 経常収益 1,199億円、最終利益 164億円 EPS 222.9円
■2022年3月期 経常収益 1,181億円、最終利益 222億円 EPS 300.8円
■2023年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 220億円 EPS 297.1円 ce
□2022年6月1Q 経常収益 320億円、最終利益 78.7億円 EPS 106.5円(7/29)
□2022年9月2Q 経常収益 (未定)億円、最終利益 120億円 EPS 162.3円 ce
2022年3月期の経常収益はYoY▲1.5%の1,181億円、最終利益はYoY+35.0%の222億円となり期初予想を上回りました。積極的な資金供給により法人向け、個人向け住宅ローンともに順調に増加し、末残はYoY+4.7%の5兆3,402億円となった一方、貸出金利回りはYoY▲2.0bp.の0.81%に更に落ち込み、預貸金利息差は▲10億円となりました。利益面については、新型肺炎影響の引当金を▲18億円追加的に織り込んだものの、与信費用はYoY▲30億円の46億円に減少したほか、役務取引のローン支払保険料減少、行員数減少による経費率改善により大幅増益となっています。
進行期である2023年3月期の予算については、トップライン未公表も最終利益はYoY▲1.0%の220億円を見込んでいます。貸出金利は依然底這い圏(前提YoY▲1.0bp.)にあるものの、貸出金残高は積極融資による中小企業向けの伸長と、与信費用もYoY▲16億円となる30億円まで改善を見込みます。手数料等の役務取引利益は横ばい、受取利息配当金も減少想定ながらも、全体経費削減等により最終利益は微減予想となります。尚、7月29日開示済の1Qは高水準の株式売却益が反映されているため、高進捗率をマークしています。
当社は2031年3月期を最終年度とする長計「Vison2030」で、向こう10年でコアOHRを62.27%→50%台に改善させるとともに、最終利益を165億円→280億円に引き上げる計画です。利益改善+115億円の内訳は、貸出と役務取引等のオーガニックで+130億円、各種業務効率化で+80億円、その他で為替影響・債権利息減少のバッファ及び税金増で▲95億円を見込みます。なお前半5ヵ年の中間目標として、2026年3月期までに最終利益210億円、コアOHR50%後半の参考値が示されていたものの、終わった期で既に過達状態となっています。
今次中計での取組事項としては①シェア拡大、②生産性向上、③地域支援、④風土改革の4点が挙げられています。①は県内主要行シェアの引き上げ(52%→62%)を目指し、法人のコンサル系営業人員の増員を図っているほか、域外では本年9月に青森営業所を支店に格上げし、プロクレア(青森銀・みちのく銀)に楔を打っています。②については、既に店舗数は5年前比で7割に絞っているものの、“店舗内店舗”方式の推進により、現行の142店舗体制から更に10店舗程を削減し、▲20億円程の経費削減を見込みます。また、各取組事項の横断的なものとして行員のデジタル人材化を推進することとしており、本年8月には融資先のDX化支援のためのデジタルコンサル子会社の設立も明らかにしています。
他方で株主還元については、これまで配当性向20%前後での還元を継続してきたものの、本年1月に「配当性向30%」という還元ポリシーを新たに設定し、2024年3月期までに段階的に引き上げます。そのため、年50円程だった配当金を実績ベースで年67円50銭まで増配させたほか、進行期の予想も年80円と更に上積みする予定です。これでも配当性向は26.8%のため、翌期にかけて再増配公算が高く、年90円までは既定路線とみられます。
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