【3068】 WDI/千駄木ビル売却による多額の売却益で、賃貸マンション2棟を購入。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3068】 WDI(東証STD) NT


現在値  1,858円/100株  P/E --.-  P/B 2.73 3月優待配当

ダイニングレストランの老舗。パスタ『カプリチョーザ』ほか、海外展開も。
配当基準日は3月末、年8円配当のため配当利回りは約0.43%となります。

WDIは株主優待制度を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、3,000円分の食事券を進呈しているため、(配当)優待利回りは約2.04%となります。長期優遇制度も導入しており、5年超保有時には3,000円分を追加進呈しているので、単元保有時の同利回りは約3.65%となります。


業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 298億円、営業利益 4.0億円 EPS▲98.2円 

■2021年3月期 売上高 158億円、営業利益▲14.2億円 EPS 266.2円 

■2022年3月期 売上高 191億円、営業利益▲8.3億円 EPS 114.6円 

■2023年3月期 売上高 240億円、営業利益 5.0億円 EPS 110.5円 ce

□2022年6月1Q 売上高 58.5億円、営業利益 1.0億円 EPS 55.6 円
□2022年9月2Q 売上高 110億円、営業利益 1.5億円 EPS 66.9円 四e

2022年3月期の売上高はYoY+21.3%の191億円、営業利益はYoY+6億円の▲8.3億円と対前で大幅回復したものの、若干予算割れとなりました。直営出店については、錦糸町と渋谷に「カプリチョーザ」等を、横浜に「エッグスンシングス」、池袋に「ロメスバルボア」、浅草に「ちんや」の5店を出店しました。内外の既存店売上高は9月を除いて100%超を確保したほか、営業利益こそ人件費等の高騰影響で予算割れとなったものの、営業外の助成金収入17億円と米国の債務免除益6億円の計上もあり、最終利益は大幅黒字を確保しています。

 

進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY+25.1%の240億円、営業利益はYoY+13億円の5.0億円を見込んでいます。最新の8月度の既存店売上高は国内147.8%・海外116.5%、ひと月前の7月度は国内130.5%、海外101.8%と回復基調にあり、特に海外の戻りが鮮明となっています。利益面については、牛肉高騰は価格転嫁で対応するほか、酒類提供増によるミックスの良化、営業外で助成金・債務免除益の計上が見込まれます。なお、出退店についてはゼロ想定となっています。

 

当社は10年程前から2021年3月期を最終年度とする長期経営計画を推進させており、最終的に売上高400億円&営業利益率5%を定量目標としていましたが、今次新型肺炎禍で断念を余儀なくされています。P/Lだけでなく、自己資本比率が1桁台まで落ち込むなどB/Sの棄損が激しい状況だっただめ、2021年初に千駄ヶ谷の賃貸用ビルを売却し、60億円強の含み益を顕在化させたことで財務体質を一気に改善させています。

 

目下において進行中の中計等は無いものの、外食参入50周年のタイミングで“サスティナビリティ経営”を掲げ、ひとまずは体制再強化を図る方針です。従前長計では40%を目標としていた海外売上高比率は依然20%程に留まっているものの、ヒューストンに「添好運」を合弁で出店するほか、ハワイ2店舗目となる「Wolfgang’s Steakhouse」をマウイ島に出店予定となっており、合弁・持分・FCなどの多彩な展開スキームを活かして拡大を図るとみられます。

 

国内事業については、主力の「カプリチョーザ」を居抜き中心で出店するほか、昨年から市ヶ谷や千駄木で数十億円規模の賃貸マンションを相次いで取得しており、側面的な収益安定化も進めています。今次売却した千駄ヶ谷ビルのように、当社は外食企業の中では珍しく自己勘定による賃貸用不動産運用を行う傾向がみられ、やや特殊な業績変動要素が存在しています。

 

株主還元については、記念配当の5円を落として、年8円配を予想しています。当社は非支配株主の持分控除(配当金支払)により、最終利益が大きく削られて配当原資が少なくなりがちであるものの、目下においては助成金や債務免除益の計上により潤沢な状況となっており、再度の無配転落は一旦遠のいたものと考えています。

 

*参考記事① 2020-08-21  1,400円 NT

【3068】WDI/海外エクスポージャー高く、当面は資金繰り優先の経営か。

 

*参考記事② 2019-09-18  1,720円 OP

「添好運」は好調だが、トップラインは伸び悩み傾向・WDI(3068)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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