【3068】WDI/海外エクスポージャー高く、当面は資金繰り優先の経営か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3068】 WDI (東証JQスタンダード) NT


現在値 1,400円/100株 PER--.- PBR9.07 3月優待配当

ダイニングレストランの老舗。パスタ『カプリチョーザ』ほか、海外展開も。
配当基準日は3月末・9月末の年2回ですが、直近実績は無配となっています。

WDIは株主優待制度を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、3,000円分の食事
券を進呈しているため、(配当)優待利回りは約2.14%となります。長期優遇制度も導入しており、5年超保有時には3,000円分を追加進呈しているので、単元保有時の同利回りは約4.28%となります。


業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 271億円、営業利益 14.7億円 EPS 51.6円 

■2018年3月期 売上高 287億円、営業利益 13.3億円 EPS 11.4円

■2019年3月期 売上高 297億円、営業利益 16.8億円 EPS 62.2円

■2020年3月期 売上高 298億円、営業利益 4.0億円 EPS▲98.2円 

■2021年3月期 売上高(未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

□2020年6月1Q 売上高 36.9億円、営業利益▲6.9億円 EPS▲139.9円(8/12)
□2020年9月2Q 売上高 80.0億円、営業利益▲4.0億円 EPS▲94.8円 四e

2020年3月期の売上高は前期比0.3%増の298億円、営業利益は75.9%減の4.0億円となり、増収こそ確保したものの、対予算でも大幅な減益となりました。出店については、好調が続く点心専門店の「添好運」をアーバイン(CA)、新宿に出店したほか、青山に「ウルフギャングステーキハウス」、松戸に「カプリチョーザ」、京都に「ハードロックカフェ」、日本橋室町に「富錦樹台菜香檳」を出店し、計画の10店には届かなかったものの計7店を出店しました。一方、既存店の状況については、昨年秋口の相次ぐ台風や、年明けからの新型肺炎によるインバウンドや団体客の著しい減少を受けて大幅減となったほか、人件費をはじめ米国産牛肉の高騰を中心とする原価増の影響を受け、利益面が大幅に圧迫される結果となりました。

 

進行期である2021年3月期の通期予算については、期初段階より未定としています。去る8月12日に開示された1Qについては、売上高が前年同期比49.8%増の36.9億円、営業利益は同赤転の▲6.9億円で通過しています。4月~5月にかけておよそ半数の店舗を休業させ、残り半数の店舗で短縮営業やデリバリーのみの営業を実施した結果、4月の既存店売上高は国内18.9%・海外7.2%、同5月は国内32.7%・海外9.4%水準に沈みました。出店についてはゼロ想定であり、ピザ等で親和性の高い「カプリチョーザ」を中心にデリバリーの拡大を狙うものの、それ以外のステーキ等の高額業態が苦戦しているほか、海外店舗がより深刻なダメージを受けているため、通期業績は大赤字圏に沈む公算が高いとみられます。

 

当社は7~8年ほど前から、2020年度(この2021年3月期を指す)を最終年度とする長期経営計画を推進させており、最終的に売上高400億円、営業利益率5%を目標に置いていました。実際のところ、2013年3月期に年3億円程に過ぎなかった営業利益は、2019年3月期で約16.8億円を確保するにまでに至りましたが、今次新型肺炎禍により単年度予算すら算定出来なくなったことから、あえなく計画中止(表現上は見直し)を余儀なくされるされる格好となりました。

 

また、本計画の最終年度までに40%まで海外売上高比率を引き上げる目標の下で海外出店を進めていたことも新型肺炎禍で裏目に出ているような状況であり、いくらライセンス(FC)や持分での出資によりリスクが軽減化されているにせよ、海外事業については当面に渡って業績寄与が喪失する公算が高そうです。一方、国内事業については、本計画中に「添好運」や「富錦樹台菜香檳」がヒット業態に育つなどしたものの、「ウルフギャングステーキハウス」をはじめとした高級業態に舵を切りはじめた矢先であるため、此方も接待・パーティ等社用需要喪失により大打撃が予想されることから、国内・外の中長期的な成長シナリオに手詰まり感が強くなった印象を受けます。

 

株主還元については、実績期においても既に通期無配に転落していますが、当社の場合はそもそも非支配株主の持分控除(配当金の支払)により、最終利益がごっそり削られて配当原資が少なくなりがちであり、新型肺炎一巡でも復配は先になるものとみています。BPSは期末に300円ほどあったものの、足許では200円を割り込んで、自己資本比率が7.9%程まで落ち込んでいることから、当面は資金繰り最優先となりそうです。

 

*参考記事① 2019-09-18  1,720円 OP

「添好運」は好調だが、トップラインは伸び悩み傾向・WDI(3068)。

 

*参考記事② 2018-07-30  1,580円 OP

海外事業基盤厚く、外食業界では「勝ち残り」の可能性も・WDI(3068)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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