「添好運」は好調だが、トップラインは伸び悩み傾向・WDI(3068)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3068】 WDI (東証JQスタンダード) OP


現在値 1,720円/100株 PER43.5 PBR4.52 3月優待配当

ダイニングレストランの老舗。パスタ『カプリチョーザ』ほか、海外展開も。
配当は3月の年1回12円で、配当利回りは0.70%となります。

WDIは株主優待制度を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、3000円分の食事

券を進呈しているため、配当優待利回りは約2.44%となります。


業績を確認していきます。

■2016年3月期 売上高 276億円、営業利益 15.1億円 EPS 72.9円 
■2017年3月期 売上高 271億円、営業利益 14.7億円 EPS 51.6円 

■2018年3月期 売上高 287億円、営業利益 13.3億円 EPS 11.4円

■2019年3月期 売上高 297億円、営業利益 16.8億円 EPS 62.2円

■2020年3月期 売上高 310億円、営業利益 14.0億円 EPS 39.4円 ce

□2019年6月1Q 売上高 73.5億円、営業利益 0.1億円 EPS▲17.5円(8/9)
□2019年9月2Q 売上高 147億円、営業利益 8.5億円 EPS 55.3円 四e

2019年3月期の売上高は前期比3.6%増の297億円、営業利益は26%増の16.8億円となり

期初予算との比較では減収増益となりました。新店は主力の「カプリチョーザ」4店をFCで

出店したほか、直営の「添好運」を日比谷・ワイキキ・NYに3店、「ハードロックカフェ」の

物販店舗を成田空港・浅草に2店出店するなどした結果、出退店をネットした期末時点の

店舗数は前年比5店減の185店となりました。予算比で減収となったのは、このネット閉店

超による店舗数減少要因と天候不順が主因であり、利益が上振れたのは食材費原価が

想定以下だったことや、その他経費削減策が奏功したことに由ります。


進行期である2020年3月期の予算については、売上高は4.1%増の310億円、営業利益は

17.0%減の14.0億円と増収減益を見込んでいます。好調が続く点心専門店の「添好運」を

アーバイン(CA)、ヒューストン、ラスベガス、ロンドン、及び国内1ヵ所に出店する予定と

っている他、「カプリチョーザ」「ハードロックカフェ」「ウルフギャングステーキハウス」

といった主力業態もそれぞれ1店出店し、国内外トータルで10店ほど出店する計画です。

なお、去る8月9日に開示済みの1Q決算によれば、売上高は前年同期比1.0%増、営業利

益は同96.7%減、とかなりのビハインドに見えますが、「添好運」を新宿サザンテラスと、

ヒューストンに出店したほか、「ウルフギャングステーキハウス」を南青山に出店したこと

による開業初期費用が嵩んだ可能性があり、1Q時点での判断は難しいかと思います。

 

当社は6~7年ほど前から、2020年度を最終年度とする長期経営計画を推進させており、

最終年度の2021年3月期に売上高400億円、営業利益率5%を目標に置いていました。

2013年3月期に年3億円程に過ぎなかった営業利益は、実績期で約16.8億円となるなど、

かなり順調な利益成長を実現してきましたが、積極的に不採算店の閉鎖を進めてきたこ

ともあり、トップラインの伸びは甘く、今般この長期経営計画の目標をロールしています。

基本的には達成時期を2年後ろ倒しにした格好となっており、2023年3月期を最終年度と

して、売上高400億円、営業利益率5%という目標値を改めて置きなおしています。

 

主な施策としては、人件費や原材料費の原価増の影響を受けにくいFC(売上に対し4~6%

のロイヤリティをチャージする形式)での展開や、国内外で高い人気を誇る「添好運」を

出店していくとともに、長計最終年度に海外売上高比率40%(足許30.9%)まで引き上げる

計画となっています。「添好運」がヒット業態に育ったこともあり、“次の矢”を高単価業態

である「ウルフギャングステーキハウス」に据え、熊本あか牛などに代表される高級和牛

にフィーチャーした上級業態を開発するなどしており、人件費高止まり傾向に備えて採算

性を重視した展開を進めていくものとみられます。そのため、ロール後の長計に掲げる

売上高400億円というハードル自体は高くないものの、届かない(会社側が半ば意図的に

届かせようとしない)可能性も考えられ、その辺は留意する必要があると思われます。

 

なお、株主還元については、非支配株主の持分控除(配当金の支払)により、最終利益が

ごっそり削られて手残りが少なくなるため、今期の配当も年12円の据置を予想しています。

一応、実績期ではBPSが膨らんで、367→412円へ45円積み増すことに成功したため、

自己資本比率がコンスタントに20%台(足許は19.6%)をキープ出来るようになれば、増配も

視野に入ってくるものと考えられます。

 

*参考記事① 2018-07-30  1,580円 OP

海外事業基盤厚く、外食業界では「勝ち残り」の可能性も・WDI(3068)。

 

*参考記事② 2017-08-21 1,417円 OP

海外を含めた出店拡大意欲が強まる、WDI(3068)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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