丸紅系のエムジーリース取込で、業績成長が加速・興銀リース(8425)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8425】興銀リース(東証1部) OP

現在値 2,969円/100株 PER8.5 PBR0.83 3月配当優待 9月配当

みずほ(旧興銀)系。総合金融サービス会社化を目指す。
配当は3月末・9月末の年2回合計80円のため、配当利回りは2.69%となります。

興銀リースは株主優待を導入しており、3月現在の単元株主に対して、3,000円分の図書

カードを進呈しているほか、1年以上保有する長期株主への優遇制度として、1,000円分

を追加した4,000円分の図書カードを進呈しておりますので、配当優待利回りはそれぞれ

約3.70%、約4.04%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年3月期 売上高 3,641億円、経常利益 185億円 EPS 272円 
■2017年3月期 売上高 4,294億円、経常利益 187億円 EPS 291円 

■2018年3月期 売上高 3,997億円、経常利益 199億円 EPS 319円

■2019年3月期 売上高 3,848億円、経常利益 242億円 EPS 388円  

■2020年3月期 売上高 4,500億円、経常利益 253億円 EPS 347円 ce 

□2019年6月1Q 売上高 1,431億円、経常利益 58.4億円 EPS 84.8円(8/7)
□2019年9月2Q 売上高 2,000億円、経常利益 135億円 EPS 184円 四e


2019年3月期の売上高は前期比3.7%減の3,848億円、経常利益は同21.3%増の242億円と

なり、売上高は未達となったものの、利益は大幅な予算超過となりました。積極的な不動

産分野の仕込みにより、営業資産残高については16,830億円→20,214億円となり、“積み

上げ”のペースは飛躍的に加速しました。前期・前々期に計上したREIT/ファンド向けの大

型のブリッジ(ウェアハウジング)の売却が剥落したため、トップラインは続落したものの、

半導体製造設備などの産業・工作機械が堅調に推移したほか、航空機を中心とする輸送

用機械が順調に推移しました。また案件自体の選別受注を推進した結果、ネットレート

(利益率)も改善しました。

 

進行期である2020年3月期の予算については売上高が16.9%増の4,500億円、経常利益

は4.4%増の253億円を予想しており、実績期における営業資産残高の“積み上げ”が通期

で寄与する見込みです。直近の注力分野であるREIT/ファンド向けの不動産ブリッジ案件

については、この1年で資産残高を1,000億円ほど積み増して3,500億円へ増加させており、

半年~1年程で回転するこれらブリッジ案件のイグジットが数多く見込まれており、トップ

インが一段と上伸します。そのほか、産業・工作機械や情報通信などの既存分野も堅調

に推移することが見込まれるため、比較的高い確度での、最高益の更新が期待されます。


今期は本来であれば、第5次3年中計最終年度の位置付けであり、今期の純利益ベース

で124→150億円(+26億円)を目標としていましたが、1年前倒しで達成したため、途中で

ロールして第6次中計を策定しています。計画期間を5年に伸ばした上で、純利益ベース

で166→300億円(CAGR12%)へ伸長させることを目標としており、これまでの業績の成長

モメンタムから一段と成長に弾みがつくような内容となっています。その理由については、

以下に記す一連の資本異動が強く影響しています。

 

当社は本年3月末に丸紅系のリース会社であるエムジーリース(丸紅99%、SMFL1%)の

三者割当増資を約87億円分引き受け、同社を持分法適用会社(50%)に収めています。

同社は当社が注力中である不動産ブリッジファイナンスに非常に強く(丸紅系のUUR、

プライベートリートに対するウェアハウジング等)、当社ともシナジーが期待出来ます。

また、本件三社割の引受に先立って、当社側もみずほ銀行を引受先とする三社割を

実施して約167億円を調達したため、みずほ銀行が当社の筆頭株主(23%)に代わった

ほか、当社の商号も“みずほリース”へと変更する予定です。芙蓉総合リースや東京

センチュリーなど他にもみずほ系で有力なリース会社があるものの、当社がみずほの

ネームを冠したことで、今後みずほFG各社からの案件確保が見込まれるほか、先に

挙げたみずほ系他社からのリプレイスの獲得や調達金利の低下などが期待されます。

 

ただ、「ONE MIZUHO」を掲げ、グループバリューチェーンの強化を目指すみずほFG

の中で“正規軍”的な扱いを受けるようになるとはいえ、みずほ銀行からの出資は2割

強止まりであるほか、当該出資により15%程度希薄化してしまっている点は割引要素

であり、中計達成のベースシナリオはみずほ系取引先増加による自然成長というより、

あくまで今の不動産市況が5年先まで維持されることがキーファクターかと思います。

 

なお、株主還元については今回の中計で現行の配当性向22%から「25%以上を目指す」

に変更されており、今期は2円増配の年80円を予想しています(性向23%)。但し当社は、

本年12月で設立50周年となるため、社名変更記念も兼ねた周年記念配当が実施され

る可能性は高く、表記の80円からいくらか上乗せがなされるものと考えています。

 

*参考記事① 2018-07-21 2,707円 OP

今回中計も順調だが、金利上昇で財務体質の強化が優先か・興銀リース(8425)。

 

*参考記事② 2017-08-09 2,878円 NT

REITブリッジ案件増えるも、東芝向けがネック・興銀リース(8425)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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