【3837】アドソル日進/エネルギー系顧客の“ペントアップ”設備投資の回復が待たれる状況。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3837】アドソル日進(東証プライム) OP

現在値 1,467円/100株  P/E 17.3   P/B 2.3  3月配当優待 9月配当優待

大企業向け大規模システムの開発に強み持つ。技術水準に定評。
配当は3月末・9月末の年2回で、合計37円のため配当利回りは2.52%となります。

アドソル日進は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末時点で200株以上を保有する株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.86%となります。なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で500円分のクオカードが追加進呈されますので、その場合の配当優待利回りは、約3.20%まで利回りが上昇します。

業績を確認していきます。 

■2020年3月期 売上高 133億円、営業利益 12.1億円 EPS 89.9円 

■2021年3月期 売上高 135億円、営業利益 12.2億円 EPS 89.6円

■2022年3月期 売上高 122億円、営業利益 10.8億円 EPS 84.6円 

■2023年3月期 売上高 128億円、営業利益 11.2億円 EPS 84.7円

□2022年6月1Q 売上高 30.5億円、営業利益 2.0億円 EPS 15.8円(8/4) 

□2022年9月2Q 売上高 62.5億円、営業利益 4.8億円 EPS 34.8円 ce

 

2022年3月期の売上高はYoY▲9.4%の122億円、営業利益はYoY▲15.4%の10.8億円となり、中間時点の減額見通しを更に下回って着地しました。前期の新型肺炎禍のあおりで、期初受注残高がYoY▲10億円減の21.5億円と低調だったほか、主力の社会インフラ事業においてガス分野の“導管分離”案件の計上があったものの、新型肺炎禍で電力分野の制度改革関連案件が先遅りされたことが影響しました。。また先進インダストリー事業についても、先進EV・自動車や決済関連堅調も、メディカルやオフィス関連が低調に推移し、減収減益となりました。
 

2023年3月期の通期予算については、売上高がYoY+4.5%の128億円、営業利益はYoY+2.9%減の11.2億円と増収増益を見込みます。期初の全社受注残高はYoY+6.7%の22.9億円と反転しており、主力の社会インフラ事業では、ガスの“導管分離”案件が剥落するものの、電力や公共向け防災分野が堅調に推移する見通しです。また先進インダストリー事業についても、メディカル関連の回復や決済分野の伸長が見込まれます。なおDX人材育成等の投資を積極化するため利益水準の回復が鈍くなるほか、業績も下期偏重となる見込みです。

 

進行期は2024年3月期を最終年度とする中計2年度目であり、向こう3ヵ年で売上高170億円(CAGR8%)・営業利益17億円(CAGR10%)まで引き上げるほか、創業50周年のとなるその先の2026年3月期には売上高200億円・営業利益20億円を目指します。但し、直近の会社側アナウンスによれば本中計は“見直し検討中“としており、実勢を鑑みれば減額ないし取り下げ公算が高いものと解されます。

 

取組事項としては、コアの大規模SIerサービスに、先進的なデジタル要素や高速開発・クラウド等を組み合わせで顧客のDX化分野を深耕します。重点取組施策として、「エネルギーICT戦略」を掲げ、電力分野の自由化・分社化を契機としたEMSや電力取引システム、新電力向けシステム開発といった既提供商材にくわえ、脱炭素関連・各種スマートメーター、需給調整関連といった新商材を投入します。またAIやセキュリティーの組み合わせによる高度IoT化を推進し、業容拡大を図ります。

 

直近の当社の顧客割合は東京ガス系2社(売上構成比23.4%)、三菱電機(同19.2%)、の順になっており、依然エネルギー系顧客に偏重しています。商材拡充のため、昨年SIパートナー契約を締結した仏大手電機のシュナイダー社(売上高3.7兆円)との協業により、今後は5年程で同社のIoT基盤である「エコストラクチャー」を100社程度に売り込む計画としており、本年7月には2拠点目となる東京研究室を開設しています。エネルギー関連企業は、資源高による調達コスト高やサプライチェーンの混乱で設備投資が“ペントアップ”されているものの、足許でマインドが回復してきているため、一旦はその回復待ちと考えます。

 

財務状況については、無借金かつ自己資本比率70%と盤石な状態を維持しています。株主還元は配当性向35%以上としており、配当金は13期連続の増配となる年37円配(1円増配、配当性向43.6%)を見込んでいます。増収増益記録の更新は一旦ストップしたものの、従業員持株会が大株主(7.9%)ということもあって、会社側はコンスタントに増配していく意思があるものとみられます。

 

*参考記事① 2021-02-09 2,959円 NT 

【3837】アドソル日進/自治体向けテレワークの実証実験を開始、成長ドライバーは豊富。

 

*参考記事② 2020-08-31  2,483円 NT

【3837】アドソル日進/中計は連続で前倒達成、新型肺炎は影響なしの勢い。

 

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