【1780】ヤマウラ/1Qから通期予算はや増額も、株主還元は物足りない水準。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1780】ヤマウラ(東証プライム) NT

現在値 961円/100株  P/E 16.2  P/B 1.01 3月配当株主優待 9月配当

長野県の建築、土木が中心。民間の比率高い。首都圏マンション開発も。
配当金は年2回の合計5円で、配当利回りは約0.52%となります。

 

ヤマウラは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に対して、3,000円相当の長野県特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.64%となっております。なお、本年に限り9月末の単元株主に対して、日本酒の特別優待進呈があります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 237億円、営業利益 13.9億円 EPS 51.3円 
■2021年3月期 売上高 248億円、営業利益 13.8億円 EPS 60.6円 

■2022年3月期 売上高 279億円、営業利益 21.2億円 EPS 79.0円 

■2023年3月期 売上高 230億円、営業利益 15.9億円 EPS 59.1円 ce修正

□2022年6月1Q 売上高 56.7億円、営業利益 3.5億円 EPS 12.3円(8/10)
□2022年9月2Q 売上高 110億円、営業利益 7.0億円 EPS 25.8円 ce修正


2022年3月期の売上高はYoY+12.6%の279億円、営業利益はYoY+53.1%の21.2億円となり、増額後見通しを上回って着地しました。主力の建設事業については、期初受注高が222億円と低調だったものの、物流倉庫・製造工場・流通食品関連工事の積み上げ、期中引渡工事の受注により一転して増収確保となりました。主な完工案件としては、マルヤス機械本社屋、キッツイノベーションセンター、大桑村庁舎などであり、エンジニアリング等の周辺事業も含めた全社ベースの完成工事高についても、YoY+23億円の253億円と増収したほか、ICT施工推進による効率化で利益も想定超となりました。

 

進行期である2023年3月期の予算は1Qで修正しており、売上高がYoY▲17.7%の230億円(期予:225億円)、営業利益はYoY▲25.1%の15.9億円(期予:14.4億円)に増額しています。全社ベースの繰越受注高は、好調だった工場・倉庫といった建築受注の反落のほか、首都圏マンションの競合激化によりYoY▲14億円の166億円と低調な水準に留まっています。計上予定の完工案件は、ひかり味噌倉庫、日本ビューテック倉庫、与田切川上流地点発電所、春近発電所改修工事等が“名有り”となっています。かような状況ではあるものの、施工高の工事消化が想定超であることと、原価低減の合理化の進展により、1Qで増額修正となっています。

 

当社の中長期的な経営計画は非公表であるものの、6年越しの基幹システムと業務フローの改革を完了し、終わった期から営業利益率が一段と改善(約5%→約7%)しています。改善内容は、詳細な工事毎管理といった普遍的なものから、建築情報一元管理のBIMの活用、高度測量可能な3Dレーザースキャナーの導入といったDX化だけでなく、仮設資材等の軽量化・省力化による工数削減等により採算性の改善を実現しています。

 

また今般、土地情報ナビ「TOCHIFUL」や、インフラ情報サイト「インフラ技術ナビ」を開設し、エンド向け情報発信強化による営業面でのDX推進にくわえ、オフィス建築の専門ブランド「@WORQX」や、食品工場ブランドの「Oishild」、工場・倉庫建築ブランドの「i-FAQT」など工事のパッケージ化により、民間比率の高さを生かした建築工事の受注拡大を図っています。


財務状況については、ゼネコンとしては異例の72.6%という高水準の自己資本比率を維持しています。他方、配当性向は10%以下の低還元となっており、自社株買いも殆ど実施せずに、たまに記念優待を実施する程度に留まっているため「広く薄く」の還元姿勢には物足りなさもあります。

 

*参考記事① 2021-08-26 941円 NT

【1780】ヤマウラ/新型肺炎禍で減収もICT活用で大幅増益へ、ICTによる好採算化は想定超。

 

*参考記事② 2018-01-26  949円 NT

再び無借金経営に復帰ながら、株主還元は優待制度に偏重・ヤマウラ(1780)。

 

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