【1780】ヤマウラ/新型肺炎禍で減収もICT活用で大幅増益へ、ICTによる好採算化は想定超。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1780】ヤマウラ(東証1部) NT

現在値 941円/100株  P/E 14.7  P/B 1.07 3月配当株主優待 9月配当(記念優待)

長野県の建築、土木が中心。民間の比率高い。首都圏マンション開発も。

配当金は年2回の合計5円で、配当利回りは約0.53%となります。

ヤマウラは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に対して、3,000円相当の長野県特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.71%となっております。なお、本年に限り9月末の単元株主に対して、日本酒の特別優待進呈があります。

業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 141億円、営業利益 12.1億円 EPS 43.8円 変則 
■2019年3月期 売上高 323億円、営業利益 19.1億円 EPS 66.9円 

■2020年3月期 売上高 237億円、営業利益 13.9億円 EPS 51.3円 
■2021年3月期 売上高 248億円、営業利益 13.8億円 EPS 60.6円 

■2022年3月期 売上高 225億円、営業利益 18.1億円 EPS 63.9円 ce修正

□2021年6月変 売上高 49.1億円、営業利益 4.4億円 EPS 17.6円(8/11)
□2021年9月変 売上高 100億円、営業利益 8.2億円 EPS 28.0円 ce修正


2021年3月期の売上高は前期比4.5%増の248億円、営業利益は同0.9%減の13.8億円となり、減益なったものの期初予想を上回って着地しました。主力の建設事業において、主として新型肺炎禍前の受注となる医療介護・マンション・流通関連工事の積み上げで増収を確保しました。主な完工案件としては、ケーズデンキ松本宮田店や駒ケ根市地域交流センター、ハチ食品駒ケ根工場増築等がありました。また、エンジニアリング等の周辺事業も含めた全社ベースの完成工事高についても、約30億円増の232億円と増収しましたが、好採算のマンション減少により減益となりました。

 

進行期である2022年3月期の予算については、1Q時点ではや増額しており、売上高が9.4%減の225億円(従予:214億円)、営業利益は30.4%増の18.1億円(従予:13.2億円)と期初の減益予算から一転して3割もの大幅増益予算に修正しています。2020年の新型肺炎禍を受け、全社ベースで持ち越した受注高自体は1年前比で41億円減の222億円と低調だったもの、道路・河川等インフラ関連において既受注の水力発電大型工事が寄与することにくわえ、ICT施工の推進により高採算化が進捗していることから増額修正となりました。計上予定の完工案件は、与田切川上流発電所や、マルヤス機械本社屋、伊那食品サウスエリア店舗、キッツ茅野工場イノベーションセンター等が“名有り”となっています。

 

当社は中長期的な経営計画を公表していないものの、中期的取組として6年越しで推進してきた基幹システムと業務フローの改革を今般完了し、この2022年3月期はトップラインは減収見込ながら、1Qでの通期利益上方修正という形で効率化が顕在化しつつあります。内容としてはきめ細やかな工事毎管理といった普遍的なものから、建築情報一元管理のBIMの活用、高度測量可能な3Dレーザースキャナーの導入などによりDX化を実現しています。
 

また当社は地方ゼネコンながら好財務状況を維持しており、ネット無借金となっています。飯田市でホームセンターと建設事業を営む綿半HD(3199)との株式持合分等も含め、13億円を超える有価証券を保有しており、盤石な財務状況を堅持しています。また人件費に関しても、地方ゼネコンながら、370名を超える単体社員に対して、平均年収720万円を支給しているほか、先述のDX推進により社員の休業日を増やす取組を実行しており、その辺もサスティナブルな印象です。

そしてそのような堅実な経営姿勢もあり、無借金ゼネコンにしては異例の低配当となっており、長年年5円配を据え置いているため、配当性向は10%以下の低還元となっています。その一方、株主優待制度については拡充を進めてきた経緯があり、株主数(35,317名)を鑑みれば、年間およそ1.5億円程度の優待コストがかかっているものとみられますが、これに加えて本年9月には特別優待として単元株主に日本酒を進呈することを公表したため、通常優待と合わせて推定3.0億円程度の『広く浅い還元』となり、増配は遠のいたものと考えています。

 

*参考記事① 2018-01-26  949円 NT

再び無借金経営に復帰ながら、株主還元は優待制度に偏重・ヤマウラ(1780)。

 

*参考記事② 2015-01-25 393円 OP

100株主にも長野県特産品の株主優待を拡充、ヤマウラ(1780)の短評。

 

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